私の目の手術の時、長男は私を心配して、しばらく居てくれた。

 

会社はというと、リモートで仕事が出来るそうだ。

だから、出社しなければならない時以外は、リモートで仕事をしている。

昔では考えられなかった。今はいい時代だなと思う。

 

 

長男がいる時は、夫がいた時の様に夫の好んだ食事を、作ってあげていた。長男の体重が少しずつ多くなって来ている体を見てそうしていた。

 

私「お父さんも、この位の年令で体重が増えて来たんだよ。食事に気をつけないとね。」

 

長男「大丈夫だよ。考えて作ってくれる人がいるから。」

 

私「この煮物ね、お父さんの好物だったんだよ。こんな物が好きでね 美味しいって言ってくれたわ。」

 

長男「うん、美味しいよ。母さんの味がする。みそ汁の味もうすいし、天ぷらの衣もうすいね。

全体的に全てがうす味だね。

 

私「若い人だったら、物足りないんじゃない?」

 

長男「いやぁ、ぜんぜん これで充分だよ。美味しいよ。」

 

長男はいつも私の作った物を、喜んで食べてくれる。

夫と同じだ。

いつも母さんの作る物は うまいなと言ってくれた夫を、思い出していた。

 

今は目の前の長男が、嬉しそうに食べてくれている。作りがいがある。

 

夫の葬式の時、夫のお姉さんは長男を見て言った。

 

お姉さん「長男さんは、この横顔が弟に似ているね。面影があるわ。」と言った。そう言われると、そんな気もする。

 

 

今長男は、夫の着ていたパジャマを着て寝ている。

 

寝顔を見ながら、お姉さんの言葉を思い出していた。

 

 

長男の出産の時の事。

冬の寒い夜、私に陣痛が来てしまった。

夫は夜勤で間に合わす、痛いお腹を抱えながら、一人で荷物を持って 病院へ行った。

初めての出産に不安ながらも助産婦さんの手をかりて出産した。

がんばって生んで 良かったなぁと思いながら寝ている長男を見ていた。

 

 

夫が亡くなった今、夫に代わって心配してくれる子供達がいる。

 

はなれて暮らしていても、私の心は、子供達に守ってもらっている 

と言う 安心感がある。


子は宝と昔の人はよく言った。

本当にそう思う。

 

 

 

 

 

 

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