夫と、散歩していた時 時々散歩中の人が、連れて歩く犬に出会った。



その犬は、私に向かって 吠えて来る。この犬が私には、とても苦手なのだ。



トラウマとなった 犬の思い出が、たくさんあるからだ。



その頃は、野良犬が そこら辺を歩いているのは 珍しくなかった。



私は、小学生の時 遠くにある学校まで歩いて通っていた。


ある日、小学校までの道を歩いていると 大きな犬が、私の方に向かって タッタッタッタッと歩いて来る。


私は、怖くて怖くて 心臓がバクバク鳴った。

そして、持っていた上靴袋を 思いきり犬に 投げつけた。


犬は上靴袋の匂いを、嗅いでいる。

その間に 私は力一杯走って逃げた思い出がある。



そして、大人になってからも怖い思いをした。

職場まで歩いていた時、途中にある家の前に 犬小屋があって、繋がれている犬がいた。


私が通り過ぎようとしたら 急に飛び出して来て、ウ~ワンワン ウ~ワンワン 牙をむいて吠えている。


犬小屋に繋がれている鎖が、今にも切れそうなぐらいの 勢いだ。


怖い 怖い 物凄く怖い。


私は通りすがり、 何もしてない。

この犬は、私が犬嫌いな事が 分かるのだろうか?


こんなに吠えるから、ますます嫌いになってしまった。



母親になってからもあった。

長男が、三年生になって 私は窓から手を振って送り出した。


長男の近くに、飼い主が連れて歩いていた犬がいた。


見ていると 犬はよって来て、突然

長男のお尻を、ガブリと噛みついたのだ。


私は、あわてて外に出て 長男を病院に連れて行った事がある。


飼い主さんがいても、そんな事が起きるのだ。

だからトラウマになってしまった。



散歩中、犬が私のそばを通る時 夫は、いつも私の前に立って 守ってくれた。



今、一人の私 犬に会ったらどうしようか?

守ってくれるのは飼い主さんだけだ。

飼い主さんは、犬に向かって こらこら ダメだよと言っている。


犬は、そんな言葉には おかまいなしに、ウ~ワンワンと吠えて来る。


私は、吠えられる度に 心臓がキュッ キュッと縮まる思いだ。


そんなに吠えないでよ。

何もしていないでしょ と思いながら犬を、避けて通りすぎる。


そして、遠ざかる犬を見ながら、

ホッと胸を撫で下ろしているのだ。





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