さて、猛獣動物園ラジコン戦車も落ち着いたので解説編へGo
まずコイルガンとは何か
「コイルに電気を流すと磁力が発生、その磁力によって磁性体を吸引・加速させ投射する」
こう書くと非常に難しそうな原理に見えるが理解してしまうとそうでもない。
訳:鉄などの磁石にくっつく物を強力な電磁石で吸い込んだ勢いで発射する。
コイルガンにも種類はあるが、今回は最も単純な吸引式にした
↓の図は1/35Tiger後期型に搭載した物の簡略図
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190704/13/kasumi-koubou/a2/08/j/o0801047414491290133.jpg?caw=800)
しかし、物を撃ち出すにはいくつかポイントがある
1・磁力は単なる吸引力ではなく、通電し続けると逆方向へ引き戻す力になる
2・物体を発射するには高電圧を必要とする(1.5V程度では転がる程度)
3・コイルの太さ、長さを発射する物に応じて最適化する必要がある
弾が中央に来た時の磁力の図(予想)
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190704/13/kasumi-koubou/9f/40/j/o0803036414491290140.jpg?caw=800)
磁石のS極N極などの極性は磁性化していない鉄には関係ない。
S極に吸い込まれた鉄はN極の吸い込む力で再び内側に戻ろうとして減速する
(極性は関係なく、+-を入れ替えれば逆の極性になる・・・はず)
コレを解決するには二つの方法が思いつく
1・中心へ近づく前に電力を使い切ってしまう
2・電子制御で最大加速に達した時点で電力供給を停止する
Tigerの場合は内部スペースや開発環境が貧弱なので1の方法を選択した
複数のコイルのサンプルを作りキャパシターの容量を増減させ試射する。
といってもコンマ.数秒の世界、見ただけでは何も分からない
(60fpsで撮影しても飛翔する弾は録画できなかった)
実際に物を撃って対象物の移動距離で威力を判定、数値化して最も良い結果の物を採用した。
電圧(昇圧回路、キャパシター)
これは比較的簡単に解決できる
以前のブログの記事にある通り、使い捨てカメラから昇圧回路とキャパシター(コンデンサー)を確保
基板は邪魔なので回路部品を基板から取り外し、部品同士を直接ハンダ付けした。
この昇圧回路の電圧は330V(1.5V入力時)とかなり強力でうっかり触ると非常に危険。
手が感電した場合、常時ONになっていると握り締めて放れない、腕まで感電して押し付けて放せない等
感電した場合の危険性は非常に高い。
(実験用回路は最低限の安全確保の為にプッシュスイッチを使用)
昇圧した高電圧はキャパシターへ蓄える。
キャパシターの見かたは○○V-○○μF(マイクロファラッド)
電圧は高ければ良いという訳ではなく、静電容量とのバランスが大切
Fは静電容量、これが多いほど容量が多くなり放電時間が長くなる
Tigerは軽量なボールベアリングを撃ち出すだけでいいので330v100μFを並列3個にした
(単純に飛び出す程度なら330V100μFでも十分)
JagdTigerは2.5ミリ×15ミリと重い弾なので280V100μFを並列4個とした
(JTは昇圧回路の電源が1.2Vなので昇圧しても280~300V程度、)
発射制御
発射に関しては今回はトライアックを使用
一種のリレーのような物で、きっかけを与えると電気が流れる仕組み
通常のスイッチ(リレーを含む)では端子が耐えられない&効率が落ちるのでこれは必須
火花が飛び散りバチバチ喧しいのはあまりよい物ではない。
回路は電気の勉強をして作成すると良いでしょう
今回は秋月でBTA24-600CWを購入、直接キャパシタへハンダ付けした
砲身作成
砲身の材料はエバーグリーン製プラパイプ
加工しやすくタミヤ製より粘りがあるので少々の事では折れたりしない
精度もそれなりに良く、サイズも豊富で価格も安い。
特に重要なのは摩擦抵抗で、エアガンやガスガンと違い
コイルを通過した時点で弾は空気抵抗により減速を始める
ある程度の長さは必要だが、過剰に長くすると効率が悪化してしまう
Tigerの場合は砲身内部を3~3.5ミリに拡張
エアガンのように全長90ミリの砲身に対して、60ミリの内部砲身を埋め込んだ
コイル
コイルはホームセンター等で売っている普通のエナメル線(恐らく0.35~0.4ミリ)
極端に太すぎても細すぎても長すぎても短すぎてもダメ
太さ、長さは色々実験してやってみるしかない
前回のJagdTigerの際に6種類20パターン程度は実験済み
今回の物だと0.4㍉-10㍍/330V300μFが適当な落とし所と判断、欲は失敗の元である。
コイル巻きのコツは
・ボビンを丈夫に作る、理由は↓
・エナメル線を常に引っ張り、きつく巻き付けていく
・巻き始めが肝心、手間が掛かっても1巻1巻を綺麗に隙間なく巻いていく
・両端にできるだけ隙間ができないように巻く、両端に隙間があると乱れの原因となる
・無理な力を入れて(線をねじる、折り曲げる)皮膜が剥がれないように気をつける
・1時間くらいは覚悟する、時間が掛かっても納得のできる作業を。
当然綺麗に巻いたほうが多く巻けるので無駄がない
見た目にも美しく見栄えがいいのである(´∀`)
最後に
これで弾が出る程度の物は作れると思います
(回路図や構成部品などは勉強して覚えましょう)
之は作成した物の解説であり、あまり参考にしないようにry
マネをして感電等の事故で死傷及びその他被害が生じても自己責任です
正しい知識と安全管理、正しい心で楽しい電子工作を楽しみましょう。
昔は死なない程度に色々怪我したなぁ(゜-゜)