続きです
まだまだAさんの旦那さんに対する罵倒は続きます
「もっとちゃんと(お尻を)抑えろぉぉ~」
「そこやない」
「役立たずぅぅぅぅ~~~~」
「お前なんてどっかいけぇぇーー」
誇張ではなく、弱弱しい声でもクレッシェンドとビブラートを使いこなすAさん
そして、陣痛室でAさんのその罵倒を延々と何時間も聞き続ける羽目となったやすみん一家
私は陣痛を19時間体験したので、そのうちの16~17時間・・・つまり半日以上は優に暴言を聞き続けていたわけです、はい
自分に対するものでなくても、暴言を聞き続けるのは辛い
ただでさえ体力がガリガリ削られているような状況下で、更にメンタルもガリガリと削られていくのですから
他人である私でさえいたたまれなくなっていたのに当の旦那さんはどんな思いでそれを聞いていたのか
あ、でも、すごく優しい旦那さんで、それを全部受け入れていたのかも
どちらにしても、出産時の暴言で夫婦仲が微妙になったとかいうパターンがあるのも何だか納得できるような気もせんでもないです
でも、Aさんの嵐のような暴言のお蔭様で私は旦那くんや母を罵倒することもなく、八つ当たりすることもなく、逆に言葉遣いに気をつけることとなったのです
いや、暴言を吐かなくて済んだのはある意味、Aさんのお蔭かもしれない
未だに強烈に記憶に残っている上に私と旦那くんの中では、最早、
息子の出産の記憶=Aさんの暴言
とまで言い切れるぐらいです
ちなみに先ほど、母に
「陣痛室にいた時に向かいのベッドにいた夫婦のこと覚えている」
と聞くと、
「あぁ、(旦那さんが)ずっと怒られていたよね」
「ずっとお尻を押してあげていたのに『そこやない』とか言われていたよね」
とバッチリと覚えていましたとさ
それほど強烈やったんでしょうね
そして、このAさん・・・ご主人さんを罵倒するだけでなく、痛みに弱い方なのか、
ひたすら「痛いぃ~」、「痛い痛いぃー」
と陣痛が来る度に絶え間なく叫んでいるのです
聞いているだけでホラー
いや、まぁね、そりぁ痛いよね。
うん、分かるよ。
うちも痛いもん
子宮口があまり開いていないから歩けと言われ、陣痛室前や新生児室前を和泉元彌バリにそろりそろり歩きましたが、あまりにも痛いので、
こんなに痛いのに歩ける訳ないやん
と心の中でひっそりと毒づいていたりしました
ですが、私は前の記事で書いた通り、そこそこ痛みには強い方でして
陣痛が来る度に何故だか持っていたフェイスタオルを握りしめ、そこに顔を埋め、声を噛み殺して痛みをやり過ごしていました
そして、たまにくる看護師さんはと言えば、「痛い」、「痛い」と連呼していたAさんの方ばかり行き、子宮口が何センチ開いているかばかり見ていました
つまり、黙って痛みをやり過ごしていた私は放置されていた訳です
これは後で旦那くんに聞いた話ですが、どうやらお腹につけていたモニターを見ていると、陣痛の波が来て私が痛がっているのにモニターがお腹の張りを感知していないというタイミングが結構あったみたいです
(なんじゃソレ・・・・)
例えば、3分おきに実際に波が来ているのにモニターの波形を見ていると、6分間隔でしか来ていないことになっていたとか
もしや、これは騒いだもの勝ちなのかと途中で気づいた私は、
「痛い」
と少しは言うようにしました
そしたら、まさかのまさか
本当に看護師さんが来てくれました
そして、子宮口を確認してもらったところ、
まさかの全開
「え」と急に焦る看護師さん
Aさんは何度も看護師さんに診てもらっていましたが、あまり子宮口は開いていなかったみたいです。
逆にずっと黙っていた私は「一気に開いた」みたいになっていました
慌てた看護師さんに連れられて分娩台に登り・・・一時ですが、Aさんの声から逃れることができたのでした
この時、学んだことは、
ホンマに「騒いだもの勝ち」
ということでした
はい、大切なことなので、もう1度言います
SAY
「騒いだもの勝ち」
思えば、学生時代、クラスで声が大きい子や自己主張が強い子ややんちゃな子ほど先生は構ったり、気にかけたりしていたなぁ~と
私も数年前まで教員をしていたのですが、そういう子たちは向こうからコミュニケーションをとってくれるので関係性を築きやすく、有難いのも確かです
でも、私はやんちゃな子たち同様にクラスで黙って座っているような子が何を考えているかが物凄く気になり、積極的に話しかけるうようにしていました
そういう大人しい子の方が中々自分から悩みを言えなかったり、抱え込んでいる場合もありますしね
でも、やっぱり大体は自己主張が強い人の声の方が届く。
まぁ、そもそも主張しないと相手が何を考えているのか、どのような状況かなんかエスパーでもあるまいし分かる訳ないですもんね
生徒とか子どもたち相手の場合はこちらが汲んであげることがとても大切ですが、大人の場合は自分で主張することも大切なことですよね
そのことに気付かされた一件でした
我慢は美徳と言いますが、我慢のし過ぎはいけませんよね、やっぱり
しかし、これは言わば、一時の休憩でしかありませんでした
そう、やはりAさんから逃れることはできなかったのです
続きます