ナザレ(2)

受胎告知教会(a)

 

ナザレの町の中心部に

受胎告知教会が建てられています。

この教会はマリヤが御使いガブリエルから

イエスの懐妊を告げられたことを

記念して建てられました。

(ルカ1:26-38)

 

↑フラ・アンジェルコの「受胎告知」

 左奥にエデンの園を追放された

 アダムとエバが描かれている

 

受胎告知教会が建てられている場所は

「聖なる洞窟」と呼ばれ、

御使いからのお告げを受けた

マリヤの家の跡であると言われています。

 

ここにはAD1世紀に礼拝の場所がありました。

4世紀にコンスタンティヌス帝の母

ヘレナの要請によって教会が建設されました。

その後イスラム勢力との戦いの中で、

何度も破壊と再建が繰り返されて来ました。

 

現在の教会は14年かけて建設され、

1968年に完成、翌年3月に献堂されました。

受胎告知教会は、高さ78m、奥行40mで、

中東最大の教会堂と言われています。

 

↑受胎告知教会はナザレのシンボル的存在

 

受胎告知教会は比較的新しい教会で、

モダンで斬新なデザインとなっています。

教会の円錐形の大きな黒い屋根は、

遠くからでもよく見えます。

この三角屋根や教会正面のデザインは

「アヴェ・マリア」の頭文字Aを

モチーフにしたものです。

 

↑受胎告知教会の正面

 教会の屋根の柵の形や

 正面の小窓の配置がAとなっている

 

教会正面の壁の上部には、

ガブリエルとマリヤのレリーフがあり、

その下に福音書の著者マタイ、マルコ、

ルカ、ヨハネのレリーフがあります。

更にその下にラテン語が書かれています。

“VERBUM CARO FACTVM EST

ET HABITAVIT IN NOBIS”

これはヨハネ1:14の言葉です

ことばは人となって、

私たちの間に住まわれた

 

↑上の左が御使いで右がマリヤ

 下の左からマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ

 それぞれを象徴する動物も描かれている

 

この「ことば」とは神のことであり、

イエスのことを指しています。

ですからこの文は「神が人となって、

この世界に来られた」という意味です。

イエスは人となって来られた神なのです。

つまりイエスは100%神であり、

100%人間であるということです。

 

教会正面の左側の扉には、

アダムとエバ、ノアの箱舟、

イサクをささげるアブラハムなどの

創世記の場面が描かれています。

 

↑教会の左側の扉のレリーフ

 上から、エデンの園のアダムとエバ

 罪の呪いを受けたアダムとエバ

 (労働と出産の苦しみ)

 大洪水とノアの箱舟

 イサクをささげるアブラハム

 (左側に身代わりの羊がいる

 それは神の小羊イエスにつながる)

 

教会正面の入口の扉には、

受胎告知から十字架までの

イエスの生涯が描かれています。

 

↑教会正面入口の中央の扉

 左上から下に、イエスの誕生

 エジプトへの逃避

 少年時代のイエス

 右下から上に、イエスの受洗

 人々に教えを説くイエス

 十字架にかかられたイエス

 

聖書のテーマは神の国の回復です。

神は最初の人間アダムとエバを

エデンの園という神の国に置かれました。

しかし、彼らは罪を犯してしまったため、

エデンの園から追い出されてしまい、

神の国は失われてしまいました。

 

しかし、神は再び神の国を回復するという

計画をお立てになりました。

そして、人間を罪と滅びから救い出し、

神の国に導き入れると約束されました。

その計画と約束を実現する存在として、

アブラハムの子孫イスラエル民族が選ばれ、

神は彼らと「契約」を結ばれたのです。

その契約が記されているのが旧約聖書です。

 

↑受胎告知教会を囲む塀の内側には

 各国の教会から寄贈された母子画がある

 それぞれの国柄が出ていて面白い

 

神の国の回復と人間の救いという

計画と約束を実現するために、

神はご自分の御子をこの世に遣わされ、

イスラエル民族から生まれさせました。

そのお方が人となられた神イエスです。

 

受胎告知教会正面入口の扉のレリーフは、

神の救いの計画という

壮大なストーリーが描かれているのです。

 

↑受胎告知教会を横から見たところ

 手前にある小さな建造物は洗礼堂

 

(つづく)

 

シャローム!!

 

パスター

 

春日部グレイスチャーチ