紫雲膏 漬け込み | 松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

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紫雲膏 漬け込み

 

紫雲膏の在庫が少なくなってきたので、冬季の需要を見越して、いまから紫雲膏を漬け込みます。

 

これは、去年、患者さんのお歳暮代わりに配った、紫雲膏のサンプル。

このクリムゾン色の軟膏は、どうやって作るのでしょう?

 

上から、「黄耆」「当帰」「紫根」、3種の生薬を、食用油に半年ほど漬けておきます。

 

主薬は「紫根」

             紫根

「紫根」は、ムラサキ科の植物、ムラサキの根。

化学染料のできる前は、この「紫根」がムラサキ色の染料でした。

時代劇で、病弱の若殿さまが熱を出して、紫色のハチマキをしてるのを見たことがありませんか?

「紫根」は、「血」の熱を冷ます働きがあるので、こじれて「血熱」になった熱病には、ムラサキ染めのハチマキが良いとされたのでしょう。

 

          当帰

「当帰」は、「紫根」とは逆に、「血」を増やして温める作用があります。

 

           黄耆

本来の「紫雲膏」は、「紫根」「当帰」の2味しか入れないのですが、皮膚に栄養を与えて修復を早めるつもりで、「黄耆」を加えています。

 

 

手ごろなサイズのジャムの瓶などに生薬を入れ、

 

 

食用油、400グラムに漬け込みます。

 

 

 

空気が入らないように密封して、

 

 

新聞紙で瓶を包んで、一応の遮光をして、暗い場所に置いておきます。

新聞紙の外側にも、<2023.9.14 紫雲膏> と書いておきます。目につかないところに置くと、漬け込んだこと自体を忘れますので。

12月になったら、油を濾し取って、軟膏に仕立てます。

 

 

   <さて、紫雲膏は何に効くのでしょうか?>

 

 

紫雲膏が何に効くかというと、簡単にいうと、「皮膚が損傷して痛むとき、皮膚を修復して治します。」

皮膚に温かい「血」を集めて、痛んだ皮膚を修復します。

 

さっき「当帰」の効能は、「血」を増やして「血」を温めると言いましたが、「紫根」のところでは、「血」の熱を冷ますと、言いました。

温めるものと冷やすもの、両方が入っているのはおかしいではないかという意見が出るでしょう。

昔の本草書には、「紫根」の効果は、「涼血」と「活血」とあります。「涼血」は「血」の熱を冷ますことですが、「活血」は、「血」のめぐり「血」の通りを良くすることです。

停滞した古い「血」を除く作用が有ると考えてはどうでしょうか?

「当帰」と「紫根」、両方の作用で、「血」のめぐりを良くして、皮膚の修復を行うのでしょう。

 

火傷・切り傷・冬のヒビ・赤切れ・シモ焼ケ・肌荒れ・床ずれなど。

粘膜の痛みなら、切れ痔・脱肛・口内炎。

皮膚の異常で起こる、イボ・魚の目・円形脱毛・アトピー・ニキビ・白斑など。

赤ちゃんの皮膚病全般、おむつかぶれ、汗も・アトピーなどに特によく効きます。

 

小さな火傷なら、水で冷やしてから、紫雲膏をバンドエイド貼りつけると、数分で痛みが無くなります。

 

広い範囲の皮膚病に効果がありますが、苦手とするのは、痒みの強い湿疹。紫雲膏は皮膚に温かい「血」を集めるので、熱感の強い皮膚病には逆効果です。

また火傷・切り傷も、化膿し始めたり、浸出液が出てくるとうまく効きません。

 

紫雲膏が出来あがるころに、またお知らせします。