夏の焼き牡蠣
「牡蠣」は、カキとは読まずに、ボレイと読みます。
見た通りのカキ殻です。
これも漢方薬の大事な生薬の一つです。
カキ殻なら、海辺のカキの養殖場にいけば、産業廃棄物としていくらでも貰えるでしょう。
この写真では、よく見えませんが、カキ殻のそのままでは、無いのです。
左が問屋から送ってきたままの、生の「牡蠣」
右が、それを焙烙の上で3時間、焼いた「牡蠣」
ガラス瓶のなかの焼いた「牡蠣」が、もう100グラムも無くなってしまいました。
その年に使う「牡蠣」を焼くのは、冬の間の仕事でした。
500グラムの袋を、3~4個、焼いておけば、たいだい1年分は足りるはずなんですが、今年は、何か、そんなに「牡蠣」を使わないのではないかと予測したのでしょうか。
気がつけば、この梅雨の終わりくらいになって、残りが100グラム。
せめて、梅雨が明ける前に、1袋でも焼いておかねば。
1袋、500グラムを焙烙に入れて、
蓋を2重にして、ガスの火をいちばん強くして、3時間、焼きます。
右側のステンレスの流し台に、汚い雑巾がかけてありますが、これは、びしょ濡れにした雑巾で、流し台が焼けないように防いでいます。
コンロの左の調剤台も濡れ雑巾を2重にかけていますが、こちらは表面の化粧板が熱で変形して、めくれてしまいました。
焼き始めて、1時間後。
コンロの上の窓は全開にしてあるのに、その横に置いた温度計は、もうすぐ40℃。
これが、「牡蠣」を焼くのは、冬の仕事としてある理由です。
この部屋に入ると、熱さで吐き気がしそうです。
プロパンガスは、長時間、大量のガスが流れ続けると、自動でガス栓が閉まるようになっています。
それを、復旧するのに手間取りますから、1時間ごとにタイマーをかけて、1度、ガスを止めて、5分休憩。また、点火。
これを2回、繰り返して、、夏の「焼き牡蠣」が出来あがりました。
さてこの「牡蠣」、何に使うのか。
「牡蠣」は、こちらの「龍骨」とペアで使われることが多いのです。
「龍骨」とは、古代の哺乳類などの化石です。
カキ殻も化石も、どちらもカルシウム分が主成分だから、カルシウム不足で緊張の高まった、神経や精神の緊張を緩めて、動悸やイライラ、不眠症、などを治療する、「桂枝加龍骨牡蠣湯」、「柴胡加龍骨牡蠣湯」などの処方に配合されます。
生のカキ殻を3時間も焼くのは、カキ殻の中のタンパク質やケラチンなどの有機物を焼き切って、カルシウム分だけにするためだろうと思っています。