秋という漢字の成り立ちは、
稲の穂が実り、やがて頭を垂れる姿と、
燃える火の形、
そして、昔の人が占いに使っていた「亀の甲羅」の象形が重なったものだそうです。
火をつけて、ひび割れた亀の甲羅を読み、
これからの運命を占う。
そんな神聖な時間と、穀物の収穫期が、
どちらも「秋」と呼ばれるようになった背景にあるのだとか。
秋は、ただ涼しくなるだけの季節じゃない。
何かが「実る」こと。
その実りを、ちゃんと受け取ること。
そしてそれを静かに見つめる、自分自身の“うつろい”の季節でもある気がします。
こんな言葉を聞いたことがあります。
青春は単なる花盛りではなく、
来るべき結実の秋への準備の季節である。
ずっと前に読んだ本の一節だったと思います。
その時は、へぇ…としか思わなかったけれど、
いま、ようやく少しずつ、
この言葉の意味がわかるような氣がしています。
私はいま59歳で、会社勤めを卒業して、
自分の手で、自分の好きなことを仕事にしはじめました。
自分で道を選ぶというのは、思ったよりも自由で、
そして、思ったよりも、勇氣がいります。
だけど、
それまで心の中で静かにくすぶっていた
“ほんとうの想い”のようなものが、
少しずつ、輪郭を帯びてきて……
ああ、やっとここまで来たんだなって、
そんなふうに感じられることがあるんです。
若いころの「勢い」はもうないけれど、
その代わりに、「静かな覚悟」みたいなものが、
この歳になって、胸の中に灯るようになりました。
だから、もし今、
チャレンジの途中で心が折れそうな人がいたら、
こう伝えたいです。
大丈夫。
いまはまだ、花が咲いていないだけ。
だけどね、ちゃんと水をあげていれば、
いつか必ず、実る日がくる。
あなたの“秋”は、
きっと、とても美しいと思うから。
この言葉が、読んでくださった方の心にジワーっと沁みますように。
