2024年は、仮想通貨関連の採用や開発が加速します。これはフィデリティ・レポートによるものです。
米国の金融大手、フィデリティは12日、「2024年のデジタル資産展望」と題するレポートを公表しました。
フィデリティは、暗号資産（仮想通貨）業界を超高層ビルにたとえ、長期間の基礎工事を終えてから加速的に建設が進むように、2023年は基盤構築に焦点を当てた年だったとし、「2024年はデジタル資産の採用、開発、関心、需要が高まる“加速”の年になる可能性は十分ある」と主張しました。
フィデリティは、暗号資産の導入が促進される要因として、米国財務会計基準審議会（FASB）が昨年9月に企業の仮想通貨保有に関して、評価額を反映する時価主義会計への変更を承認したことを挙げています。
この変更により、「企業がデジタル資産を保有しやすくなる可能性がある」とフィデリティは述べています。
さらに、米国証券取引委員会（SEC）がビットコイン現物ETFを承認したことで、ビットコインを取り扱う市場が広がり、ビットコインの長期保有がより多くの米国人に可能になると指摘。
「ビットコインの普及と成熟にとって歴史的な大きな節目となる」と述べました。
フィデリティはまた、2021年にビットコインを法定通貨として採用したエルサルバドルの事例に触れ、昨年12月に同国のビットコイン投資がプラスに転じたことを「初期の結果はポジティブだ」と評価しています。
しかし、価格は単なる指標に過ぎないとして、エルサルバドルの大統領であるナジブ・ブケレ氏はビットコインへの長期投資戦略の変更はなく、「ボルケーノ債」が今年第1四半期に発行される計画であると述べました。
エルサルバドルの財政の強さは、2023年1月に8億ドルの国債完済が示され、昨年11月にはS&Pグローバルによる短期・長期ソブリン信用格付けがCCC+/CからB-/Bに改善されたことで確認できます。
フィデリティは最後に、「ブケレ大統領が、2024年に他の国々が追随可能なビットコインの青写真を築いたのかもしれない」とまとめました。
ステーブルコインについては、規制の不確実性やアルゴリズムのリスクが続く可能性がありますが、2024年もさまざまな分野での採用とユースケースが拡大するとフィデリティは予測しています。
国際送金や決済分野が普及の鍵であり、伝統的な金融機関がステーブルコインを採用することが最も重要だと同社は見ています。
加えて、ステーブルコインは分散型金融（DeFi）のアプリ基盤として機能しているため、「2024年を通じて引き続き勢いを増すことが予想される」としています。
ステーブルコイントップ２のテザー（USDT）とUSDコイン（USDC）は、2024年を通じてその地位は揺るがないとフィデリティは予想していますが、新たなプロジェクトやテクノロジーの登場によって市場シェアを巡る競争は激化するでしょう。
最後に、米連邦準備理事会（FRB）による利下げが実現すると、DeFiの利回りが伝統的金融（TradFi）を上回る「魅力的な」ものになる可能性があるとフィデリティは指摘しています。
新たな発展があれば、金融機関がDeFi領域に興味を示すことも考えられ、その場合、DeFiの参入口としてステーブルコイン市場の勢いが一段と加速するかもしれません。
また、イーサリアムについても、年利が約4%で年換算のボラティリティが39%であることを考慮すると、バリデータに支払われる実質利回りは「より魅力的なものになる可能性がある」と述べています。
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