A子71歳 P23 | 風合瀬のブログ

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「キャー!お父さん、何してるのー!」


    近所の町中華屋、よく知っている店の主が店に火を放ち亡くなった。店で働く娘さんが泣きながら叫んでいる。コロナ禍で店がやってゆけず東京都や区に助成金を申請したが、書類の不備で申請が通らず、切羽詰まった故の行動。


    私は、悔やんだ。私ならどうとでも出来たからだ。役所の申請書類なんて知っていればどうとでもなる。でも、一般の人たち、特に個人商店でその腕だけで頑張ってきた人たちには、役所の書類はとても厄介である。お店は30年以上この町で愛されてきた。この町の一つの憩いの場でもあった。利益を求めず、ただお客さんに喜んでもらうためご主人とご家族が頑張ってきたお店。そんなひたむきに、ただ真面目に頑張ってきた主が人生の最期をこんな形で迎えなければならない現実。


    私のいた官の人々なら


「利益の取れる仕事をしなければならなかったし、今回の新型コロナウイルスのような不測の事態を考え、蓄えを確保しておかなければならなかった」


などと言うだろう。でも、そう言うことじゃない!お客さんありきで、お客さんが喜ぶ姿を見ればそれでいい…、そんな真心を国は見ちゃいない!だからこそ私は、官僚を辞めた。世の中

杓子定規で計れるほど簡単ではないし、持ちつ持たれつで成り立っていることがある。悪いことをしているわけではないのに、責められて、それでも歯をくいしばりながらいくつもの山を乗り越えて、最期の最期がこの始末。


    主は悔しかったんだと思う。一所懸命頑張ってきたことを、まるで認められず朽ちて行く自分を。