なんてことない非日常 -38ページ目

なんてことない非日常

スキビ非公認二次創作サイトです。
駄文ばかりの辺境館ですが、広いお心で読んでいただける方歓迎しております。

§ルートX   45





 (結局、『美緒』が根暗で引きこもりで引っ込み思案で大人しくて・・・でも、時として激しく『美月』や『嘉月』に敵対して家族の黒い歴史を世間に晒そうとする・・・・・変な子だってことは良くわかっただけで・・・・・・・さらに『美緒』という人物がわからなくなってしまったのよね・・・・・・)



蓮に『美緒』について理解できたか聞かれても、キョーコは結局返事をすることが出来なかった。


悶々とキョーコが考え込んでいると、飯塚が万を辞して現れた。

ラスボス登場のような雰囲気に、スタジオが凍りつき皆一斉に飯塚とキョーコを代わる代わる見つめた。



「・・・最上さん」



考え込んでしまっていたキョーコに蓮が声をかけると、キョーコは勢いよく顔を上げた。



「!?・・あっ!・・・は、はじめまして!!もが・・じゃなかった・・・・き・・京子と申します!!」



飯塚の前に歩み出て、綺麗なお辞儀を勢いよくするキョーコを飯塚は一瞥くれただけだった。



「・・・・あなた・・・」



「はい!?」



「・・『美緒』を理解できてるんでしょうね?」



「!?」



それは飯塚が今まで『本郷 美緒』役の者達に訪ねてきた質問で、今まさに蓮から答えを求められていた言葉だったためキョーコは驚いて蓮を振り返った。



「どうなの!?」



「あ・・・そ・・れは・・・」



戸惑うキョーコに、蓮は小さく頷いて返した。



「はっきりしなさい!理解できてるの!?出来てないの!?」



飯塚の大きくビリビリと響く声に、キョーコは一度首をすくめるとやや小さな声で返した。



「・・・・理解・・・・できていません・・・・」



キョーコの答えに一同、大きなため息をついた。



「そう・・・ならお帰りなさい、ここ(現場)に来たということはその役を理解してオファーを受けたということ・・・突然決まったことはなんの言い訳にもならないわよ」



飯塚の放った言葉で、その場が水を打ったように静まり返った。



「・・・そうかも・・しれません・・・」



キョーコの返事に、周りの空気も『またか・・・』というものに変わろうとしていた。

だが



「ですが・・・もう少しで謎が解けそうなんです!!」



「・・・・・・・はあ?!」



突然そう叫んだキョーコに、飯塚が目を剥いてすっときょんな声を上げると今までにない空気に変わり皆が驚いた。



「もう少しで・・・こう・・・喉に刺さった小骨が取れそう・・といいますか・・・『美緒』の本当の姿がわかりそうっていうか・・」



「な・・・何を言ってるの!?ここに来ている時点で、その小骨も『本当の美緒』とやらも解決していなくてはいけないのよ!?」



「そうなんでしょうけど・・理解していたと思っていた姿が・・ここに来てどうやら違うということに・・気づいてしまって・・・・」



「はあ!?」



今までにない展開で、飯塚だけでなくスタッフや共演者全員がキョーコの言動に呆気に取られているのを蓮は面白そうに眺めていた。



(・・・本当に・・君って子は・・・)



今までの子達とは違う、飯塚と言い渡っている姿に蓮は早くキョーコが『本当の美緒』を見つけてくれたらと心の中で応援した。



「~~っとにかく!ここに来たのなら『美緒』を理解してるかどうか試させてもらうわよ!?」



「え!?」



少し強引な事の運びに、キョーコが青ざめるとすかさず蓮が間に入った。



「待ってください、飯塚さん・・・まだ監督も回復していないですし・・せめて監督が戻ってくるまで待っててもいいんじゃないですか?・・彼女を起用した理由も知りたいですし・・・」



そう蓮に言われると、飯塚は渋々頷いた。



「わかりました・・・ただし、緒方監督が戻ってきたらすぐに!テストを始めますからね!?」



物凄い剣幕で睨まれたキョーコは、若干腰を引けつつも頷いて返した。



「はい!それまでに『本当の美緒』を探してきます」



「・・・ふん!」



キョーコから思いっきり顔を背けた飯塚は、助監督にいつになったら戻ってくるのかと当り散らされているのを見てキョーコは気の毒だったなと思いながらも首の皮一枚つながったことに安堵した。



(・・・いえ・・・全然よくないんだけど・・・)



現状は最悪なままでいることに、キョーコは大きなため息をついた。



「・・キョーコちゃん・・」



「あ!コ・・・敦賀さん、先程はありがとうございました!」



「あ・・・いや・・・」



小声で声をかけてきた蓮に、キョーコは後輩の仮面をつけて頭を下げた。

それに蓮は少し寂しさを感じながらも、頭を切り替え先輩に戻ることにした。



「・・・・最上さん、『美緒』のわからなくなったところって・・どこかな?」



「・・・・その・・・なんで・・・・美緒はこんなにも憎しみに囚われているのかな?・・って・・根暗で引きこもっていて・・大人しくて引っ込み思案・・・・・そんな彼女が突然、嘉月や美月を口撃したり家族に影ででも表立ってでも厭味や時として行動で攻撃するのに・・・これじゃあまるで・・・・・・まるで、気が強いお嬢様みたいで・・・」



すると蓮は、ポン・・とキョーコの頭に手を乗せた。



「うん、やっぱりキョーコちゃんはすごいね」



「・・・へ?・・・」



「それがわかっているなら大丈夫、君が『美緒』だ」



「へ!?」



すると蓮はニッコリと笑って、呼びに来たスタッフの元に行ってしまった。



「え・・ええ~~!?・・・」



確信が持てないキョーコは置き去りされてしまったことで呆然と蓮の背中を見送ると、入れ替わりで社がやって来た。



「蓮がああ言うならきっとそうなんだと思うよ?」



「そ・・そうなんでしょうか?」



「うん、キョーコちゃんは何が不安になっているの?」



「・・・違和感・・でしょうか・・・?」



「違和感?」



「・・・はい・・・でも・・漠然と・・・・・」



社にそう返そうとしたキョーコは、ある一点を見つめて固まった。



「キョーコちゃん?」



起動停止したキョーコの目の前に手をかざして、フルフルと振って見せると突然その手をキョーコに掴まれた。



「わかったかもしれません!」



「へ!?」



「ちょっと行って来ます!!」



「え!?どこに!!?」



「戻ってきますから!待っててください!!!」



「えええ!!?キョーコちゃん!!?」



突然勢いよく掴まれた手をキョーコに振り回されて目を白黒させているうちに、社の前からキョーコは姿を消してしまった。


スタッフと打ち合わせしている蓮を遠めに眺めて社はただただ青ざめるしかなかった。



「・・・・どう説明したら・・いいんだよ~・・・・・・・」




46へ









《第二弾です!

連日なのは、書きかけリメイク品だから☆


こちらもなんとなく書きたいのとは違う・・・・。

と、お蔵入りしていたものです。


楽しんで頂けると嬉しいです♪(もちろんフリー。需要なくてもふりー!)

いい逃げのユンまんまでした。》



§窮猫、獅子を噛む





 大敵の猫に追い詰められた弱い鼠は、絶体絶命に陥るととんでもない反撃にでる。


とは、こういうことを言うんだろうな・・・

社 倖一は、目の前の状況に思わずそう心で呟いた。




「本当に大丈夫ですからっ!もう構わないでくださいっ!!敦賀さん!!!」


「目の前で女の子が荷物持っているのに、手ぶらで歩くほど無神経じゃないよ?俺」


「でもっこれはラブミー部の仕事で敦賀さんにはなんの関係もありませんからっ返してください!」


「・・・・・・・・・・・同じ事務所なんだし、なんの関係もないなんてことないよ?」


「だって、敦賀さんが自分の仕事に責任を持てって仰ったじゃないですかっ!!」


「言ったよ?でも、他の事務所の人に手伝われそうになるより俺が手伝った方が責任を全う出来るんじゃない?俺がちゃんとある程度行ったところで返すし」


「で、でもっもうすぐそこに・・」


「ああ、君が話しかけるから・・・はいっ、じゃ・・あとは頑張って」


「また私のせいですか!?・・あっ!?あ、ありがとうございました・・」


「どういたしまして・・・今日はそれを渡したら終わり?」


「あっ、はい」


「じゃあ、今夜夕食がてらにこの間言ってた台詞の練習する?」


「はわっ・・あの・・・今日はモー子さんの家でお夕食会でして・・ようやくオッケーもらって・・・天宮さんも来てくれるしっ・・その・・」


「・・・先約なら仕方ないね?じゃあ、近いうちに・・・」


「・・・その・・台詞の練習も・・モー子さんの家で・・・」


「・・・・・・・そっか、ちょっとお節介し過ぎたかな?」


「そっそんなっ!?相談しておきながら・・・すみません・・・」


「・・・・・・・・・いや、役に入り込むヒント見つかるといいね?」


「・・・・はいっ!!」


ペコリと笑顔を交え、いつものように姿勢よく去っていくキョーコに社は心の中で絶叫していた。


今、この猛獣と二人にしないでくれええ!!!!


「どうしました?社さん」


「いっ・・・いや?・・・・な、なあ・・・蓮・・・」


尽く獲物に攻撃を交わされ、数箇所のダメージを負い獲物を逃した獅子・・・・・蓮に、社は恐る恐る疑問に思っていることを口に出した。


「あんな状態になったのって・・・アノ生活してからだよな・・・・・」


アノ生活とは、病んでいて禍々しい設定の偽兄妹を演じるために一緒のホテルで過ごしている生活のことだった。
通常はその話を出来るだけしないようにしているのだが最近、『敦賀 蓮』と『最上 キョーコ』として一緒にいると先程のように過剰なまでにキョーコが蓮の行動に目くじらを立て逃げていくため社は心配でならなかった。


「・・・まさか・・・お前・・キョーコちゃんを追い詰めるような何かしたんじゃ・・」


社の疑惑の目に、蓮は苦笑いを溢した。


「社さんが思っているようなことにはなっていませんよ・・・それに・・・・・」


「それに?」


「あれぐらい反応してくれたほうが嬉しいですし」


ホクホクとした蓮の笑顔に、社は一気に無表情になり別の世界に視線を向けるのだった。




゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


キョーコは、ホテルのある一室に入る前に一つ深呼吸をして今の姿にあった感情を自分の中に入れ込んだ。


(私は雪花・・・兄さんを愛しすぎている女の子・・・)


ふう・・・と呼吸を落ち着かせると、役を乗り移らせ中に入った。


『ただいま・・・兄さん』


中は薄暗いライティングの中、男は缶ビールをちびちび口に運びながら帰って来た雪花を見た後ベッドサイドにあるデジタル時計を確認した。


『・・・・遅かったな・・』


と、いってもまだ夜の8時。
キョーコにとっては断腸の思いで、奏江や千織と別れ部屋でカインとなって待っている蓮のためにスーパーに寄って帰って来たのだ。


『・・そう?』


少しこちらの思いも汲んで欲しいと、雪花は少し不貞腐れて食材を冷蔵庫に片付けるのを口実にカインの方などに向かずに返事をした。


『・・・・お前がいないと寂しくて酒も旨くない』


ミニキッチンの前に立ち、サラダの支度のためレタスを洗い始めた雪花の細い腰に鍛え抜かれた腕が巻きついてきた。


(に”ぎゃっ!!)


ここ最近頻回になったスキンシップをすると、無表情の雪花の口端から小さな叫び声が上がるのをカインは聞こえない振りをしながら楽しんでいた。


『・・・そんなに美味しくないなら飲まなきゃいいのに』


『飲まないとやってられない』


体は逃げたいのだろう。
雪花の衣装は露出が多く、ちょうどカインの掌があるところは剝き出しになった雪花のお臍の真上だった。

少しだけ冷えたお腹へ直に伝わる温かいカインの掌に、無意識にお腹を引っ込める雪花。
しかし、これ以上引っ込めようがない程薄いお腹はカインの掌の温度から逃げれるわけもなく余計にぴったりとくっつかれてしまった。

まるでそこから熱を与え続けられているかのように、体中がカッカと熱くなってくる。


『・・・・兄さん・・・そんなに引っ付くと調理できない』


『俺を独りにした罰だ』


『・・・・ちょっと買い物に行ってただけでしょう?』


『買い物には一緒に行くと言っただろう?』


『兄さんと買い物に行くと目立つのよ・・』


『それの何処が悪い』


昼間のようには行かず、キョーコはどうにかしてカインを引き離したかったのだが・・。


『・・・そういえば・・・昼間、猫に噛み付かれた』


『え?・・・猫?兄さん、猫に触ったの?』


突然話が変わり、雪花は首を傾げながら軽くカインを振り返った。


『触ろうとしたら物凄い剣幕で返された』


見上げる雪花にカインはニッと笑ってそう言うと、雪花の中にいるキョーコがピンと勘付いた。


(・・・もしかして・・・私のこと?!)


『・・・無理やりかまうからよ・・』


したり顔で、追い詰められていたところから反撃にかかった。


『可愛いから仕方ない』


あっさりかわされて、ちょいと頭を小突かれた気分にされる。


『!?っ・・・か・・わいいからってかまうもんじゃないわ』


『誰だって気に入ったものにはかまいたくなるもんだろ?』


回された腕はさらに閉じ込めるように雪花を抱きしめにかかった。
言葉で内のキョーコ自身を構い、行動で雪花を逃そうとしない蓮にグルグルと目を回しそうになりながらキョーコは必死に反撃した。



『に・・・兄さんはっ!』


剥がれかかった雪花を憑けて、キョーコはべりっとその腕をはがすとカインをギロッと睨みつけた。


『うん?』


『私だけをかまっていればそれでいいの!他の女なんか見ないで!!』


渾身の一撃・・・・のつもりだったのだが、カインにはこれほどにない褒美の言葉だったらしく固く単調な表情がフワリと解れた。


『わかった・・・・お前だけしか見ない・・・だから・・・今夜も一緒に寝てくれるか?』


今日こそは逃げようと思っていたのにっ・・・と、キョーコ自身が心の中で叫んでも役の人物はそれをおくびにも出さずそれはそれは嬉しそうににっこりと笑った。


『当たり前でしょ?・・・ただし・・』


『ただし?』


『この夕飯をちゃんと食べたらね?』


カプリと最後になけなしの反撃を食らいながら、カインは深いため息をついた。


『・・・仕方ない・・・・ガンバル・・・』


『・・・・・・・・・・』


(食事に関するところを突っつくとこうも簡単に降伏されたんじゃ、酷く強要できないじゃない!)


きゅうん・・・っと項垂れる兄の姿に内心トキメキスイッチ全開で撫で回したくなるのを押さえながら、ため息をわざとらしくついた。



『・・・今日は兄さんの好きなものにするから・・・』



根負けしたようにそう言うと、カインの垂れた耳が上がった。・・ように見えた。



『愛してるよ、セツ』



(!!!!)



ちゅうっと耳すぐ傍の頬にカインの唇が押し付けられ、変な叫びも上げられないほど雪花が硬直すると餌を確保できた獅子は上機嫌で風呂場に向かっていった。



「~~~~~っつ・・・・」



パタンと風呂場の扉が閉まった途端、雪花はその場にへたり込んでしまった。



(・・・もう・・・勝てる気がしない・・・)



窮猫は追い立てられ、獅子に小さな歯で噛み付いたのだが・・・その行動さえ嬉しそうにされてしまう事実にもう成す術無しと白旗を上げるしかないのだった。





「そうだわ!先に寝ちゃえばいいのよ!!」



白旗を揚げてしまったのだから・・・と敵前逃亡に切り替え、早業で食事を作り終えるとベッドに潜り込んだ雪花がどうなったのか・・・・。


ここで語ることは出来ないが獅子の恐ろしさに、深夜叫び続けた雪花は生ける屍状態でカインに抱えられるように撮影に現れたことで想像していただくことを願うのだった。





end
















こんばんは~


気がつけば5月になっていたことに丸一日近くたって気づいたユンまんまです。



早いものでこちらで人生初のブログ&二次カキカキをはじめて三周年目に突入です!

もっと早くに消えてなくなっている予定でしたのに・・・。

調子にのってここまで来てしまいました!!


下の子を出産後、少し落ち着いたな~とはじめたのですが・・気づけばその子も今じゃすっかり『あまのじゃく~!!』と熱唱できるほどに成長しました。(何のことかわからない方は、『おかあさんといっしょ』をご覧くださいww)

そんな娘の後姿を見つつ、カキカキするのも少々大変な時もありますが半ばライフワークになりつつありますのでもうしばらくは続けようと思います!!


とにかく放置品の消化が先ですね・・・って、去年も言ってたよね!?

消化できたのはわずか2~3個ですが、今年は・・・いや、今年もちょっとずつ消化していきたいと思います。(もう、夢を見るのは止めよう。妄想は全速力で頑張りますよ!?)



先程アップしましたが、今月中にフリー作品を出来るだけ多く上げたいと思います。

ルートを待ってくださる方もいらっしゃいますので(・・・たぶん)、同時進行で上げられる程度になると思いますがもし欲しいなあ~と思っていただけるものがございましたらお持ちくださいね。

その時の注意事項ですが、二次の二次加工や転写の転写などはご遠慮くださいね?(全くもってなんのお得にもならないものなので)


それでは今月はささやかですが、今までお越しくださいました皆様に少しでも恩返しをさせていただく月間とさせていただきまっす!!


これからもぼっろぼろの断崖絶壁館に、お顔を覗かせていただけると嬉しいです。


五月病になる暇のないユンまんまでした。