《ぼちぼち更新中ですが、アメンバー様400人と450人突破を放置してしまっていました。(まだ350人目様のリクをようやく手をつけたところなので・・)
なのでまずは400人突破フリーでございます。
そして例の如くダラダラと書いたので前後編です。
それではどうぞ!!》
§カイホウ 前編
「聞いてますか!?・・敦賀・・しゃんっ!!」
「・・・・・・・・はい・・・・」
煌びやかなパーティーを尻目に、完全に困惑した表情で蓮は質の良い金銀の刺繍を施された一人がけ用ソファーに座らされ両サイド深いスリットの入ったドレスを身に纏ったキョーコに跨れ説教されていた。
蓮のシルバーのタキシードに黒の細めのタイは襟元を掴み上げるキョーコによってぐしゃぐしゃになり、アルマンディブランドの見る影もなかった。
キョーコのドレスも蓮と同じ素材でシルバーのロングドレスなのだが、マーメードラインのスカートの脇は太腿の深い部分までスリットが入っていた。
通常の動きだけなら歩いた時膝裏が垣間見えるほどなのだが、今キョーコは蓮の座るソファーに膝を付き蓮の脚を跨ぐように中腰になっているため太腿全開になっている・・・・のを蓮がスリットの布部分を引き閉じるように握り締めて他に見えないようにしていた。
「いつもいつも・・・そうやってぇ!私をのけ者にするんれすね!?」
呂律の回らないキョーコに内心頭を抱えたいものの、両手をキョーコのドレスを握り締めることに全力を注いでいるため酔って視点の定まらない瞳で睨みつけるキョーコからも顔を逸らせずため息も漏らせない。
「聞いてるんですか!?つ・る・が・しゃんっ!!」
蓮がぐらぐらと襟元をつかまれキョーコになすがまま揺らされていると、蓮の太腿の上に俯いてぺたんとキョーコは座り込んでしまった。
「も、最上さんっ・・・とりあえず落ち着こうか?」
いくらスーツ越しでもキョーコの柔かな下肢と臀部の感触が伝わってきそうで、蓮は慌ててキョーコの脇を抱えあげるように自分の足の上から退くように促した。
オフショルダーのドレスは蓮が脇を抱え上げたため胸元が緩くなってしまい鎖骨から下がチラリと見え蓮の視線を攫った。
「・・・・わかってます・・・私にこんなドレス似合わないことぐらい・・・」
俯いたキョーコからくぐもった声が発せられ蓮は、無理やり視線をキョーコの顔に移し抱え上げるのを止めた。
「・・・・違うよ・・・そんなこと・・」
「じゃあ!どうしてさっきあんな事言ったんですか!?」
「・・それは・・・」
キョーコは怒りも顕に蓮を正面に見据えると、蓮は口ごもって視線を反らした。
「・・・・・そうやって・・・いつも私を子ども扱いするんですね!?・・・私だってもう二十歳なんですよ!?お酒だって飲めるんですっ」
「・・・・のまれているようじゃ・・・ねえ・・・」
つい蓮はため息と共にそう呟くと、キョーコは掴んだ蓮の襟元の手にまた力を込めた。
「・・・・・やっぱり・・・子供・・・ですか?」
「・・・・・大人の女性はこんな風に男の体の上には簡単に跨らないよ?」
「・・私が・・・無防備だから・・・事務所を代表してパーティーに出ることは反対なんですか?」
「・・・・そう、こんなに酔って他の男どもに絡まれたら・・・」
「・・・絡まれたら?」
「俺は・・・・・」
「・・・・・・・」
周りのざわめきなど始めから無かったかのように、音もなく見詰め合っているとキョーコが突然きゅっと眉根を寄せて俯いた。
「最上さん?」
「・・・敦賀さん・・・・ぎもぢわるい・・・・」
「・・・え!?」
「うっ・・・・」
「ちょ!?ま、待って!!」
この後の予想が付いた蓮の前で両手で口元を押さえたキョーコはその後、醜態を蓮に曝してしまうのだった。
+++++++++++++++
「うっ・・・うんっ?・・・・ここ・・・どこ?」
自分の部屋でも、蓮のマンションでもない調度品に見覚えのないものばかりが並ぶ部屋の真ん中に置かれたキングサイズのベッドの上で目を覚ましたキョーコは体をゆっくりと起こしたが、途端に激しい痛みが頭を襲った。
「いったあ~~~っ・・・・なんで・・・・・・・!!!わ、わたしっ!?」
キョーコは頭を抱えながら倒れる前のことを走馬灯のように思い出した。
今日、蓮とキョーコは映画祭のレセプションパーティーに来ていた。
LME事務所の代表と銘打って蓮はキョーコをエスコートしたくてローリィに頼み込んで画策したのだが、その画策がキョーコには違う意味で伝わってしまったらしい。
キョーコは高校を卒業すると、徐々に仕事の内容も変わりテレビへの露出度が増え可愛らしい役から妖艶な役、やんちゃな役と様々な役をこなすキョーコは業界のみならず徐々に日本全土に顔が知られるようになっていった。
役のイメージが先行する事も多いが、素の姿も磨かれてきたためタレント『京子』自身がイベントに出るたびに蓮が気を揉むほど馬の骨を量産していた。
そのため、蓮は少しずつでもキョーコの周りに現れては自分の存在を植えつけていっていた。
今回もそんな地道作業の一環だったのだがキョーコには数年前に言われた蓮の言葉を思い出すたび、どんなに世間に名女優と言われようとも、どんなに美しい女性になったと言われようとも蓮にとって自分は子供のままなのだと勘違いしていった。
それはパーティー中、少しだけ蓮がキョーコの側を離れた時のことだった。
キョーコが知り合いの男優に肩に手を回され料理の並べられているテーブルの前に連れてこられたところで、蓮にその男優と引き離された。
「敦賀さん、この後皆さんで会場を変えられて舞台の話などをしてくださるんですって」
「・・・・・そう、でも残念だ・・・このあと事務所に戻って社長に報告しないといけないから・・・・すまないね?」
蓮は男優にこれでもかというほど似非紳士スマイル光線を放ち追いやると、キョーコはぶすっとむくれて俯いた。
「・・・・敦賀さん・・・この間のドラマの打ち上げでもそう言って事務所に戻っても社長さんに報告なんてしないで私をマンションに送って下さったじゃないですか・・・・・もしかして・・・私が子供だから皆さんのように大人の会話に入れないと心配してらっしゃるんですか?!」
「え?・・・・・・」
悔しそうにキョーコから離れていく男優にほっとしていると、腰に廻している手を解かれてそう言われ睨まれてしまった。
「違うよ・・・・君を送った後にちゃんと社長に報告したよ?あんまり遅くに一人の家に帰るなんて心細いだろ?」
「・・・・一人の家に帰るなんて慣れてます・・・・」
「・・・・・・それでも・・・少しでも早く帰してあげたいんだよ」
「だから・・・私は子供じゃないです!」
「・・・・・・あんな見え見えの誘いに乗りそうになっているなんて十分子供だね」
つい、蓮がそう言い返すとあっという間に口論に火がついた。
「やっぱり!!今日のドレスだって私じゃなくてモー子さんとかの方が似合うと思ってたんですよね!?」
「!?・・・どうしてそんなことを・・・」
「だって・・・こんな体のラインがわかってしまうようなもの・・・私には似合わないし・・・本当はここに来るのは私じゃなくてモー子さんだって椹さんから聞きました・・・」
「!・・・それはっ・・・・でも、琴南さんは仕事で・・・」
「知ってます・・・モー子さん・・最初からここには来たくないって言ってたし・・・ドラマの撮影で海外に行く方を迷わず選んで私に押し付けるし・・・」
「・・・・・・・・・」
そう話しを組んでいた方が、キョーコが受けやすいと思っていたのだがまさか文句を言われるとは思っていなかった蓮は、どうしたものかと考え込んでいた。
すると、キョーコはウエーターがもってきたカクテルを勢い良く掴むとグイっと一気にそれを煽った。
「!!最上さんっ」
蓮がグラスを取り上げた頃にはその中身は一滴もなくなり、キョーコはしばらくするとアルコールで上気した顔を手で仰ぎながらテーブルに並べられたシャンパンも煽った。
「最上さん!!いい加減にしないかっ!?」
半分ほど残ったシャンパングラスをキョーコから奪い怒鳴る蓮をキョーコはじろりと見やった。
「敦賀さんにはわかんらいんれす!!・・・・・いつまでも子供扱いされる私の気持らんて・・・」
テーブルに手をついて、アルコールが回り始めた体を支えながらそう呟くキョーコに蓮はため息をつくとパーティー会場から離れたラウンジを指差した。
「あっちでゆっくり酔いでも冷ましながら話そう?」
ふらつくキョーコの腕を掴み、引きずるように一人がけソファーに促し酔い冷ましの水でも取りに行こうとした蓮をキョーコは反動をつけるように引っ張り自分と入れ替わるように蓮をソファーに無理やり座らせるとその上にすかさず跨り、逃げ道を塞いだ。
「私は・・・・そんなに信用れきませんか?」
「・・・え?・・・」
覆いかぶさるように上から潤む瞳で見下ろしてくる苦しそうなキョーコの表情に蓮は今まで培ってきた、優しい先輩の称号をかなぐり捨て今すぐにでも自宅へ連れ帰りたい衝動に駆られていた。
「らって・・・モー子さんのときは・・・ちゃんと離れて挨拶して・・・私は・・・一人で挨拶をさせることも出来ないほど・・・子供なんれすか?」
キョーコは以前、偶然別の仕事で入れなかったパーティーを奏江に会いに来るついでに見ていたのだ。
「私は・・・・そんなに・・・敦賀さんの手を煩わせる・・・子供なんれすか?」
今にも大粒の涙を落とすのではないかというほど苦しそうに眉間に皺を寄せ、アルコールにより上気した頬は天井の明かりを背にしているため魅惑的な影を作って蓮を魅了した。
息を飲んでキョーコの行動を見つめている蓮に痺れを切らしたキョーコは冒頭のように暴れたのだった。
後編へ