§罰ゲーム | なんてことない非日常

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§罰ゲーム








 「また私の勝ちですわね?お姉さま」



「う~~~~・・・・・参りました・・・・・・」




満面の笑顔のマリアの前で項垂れるのは最上 キョーコで・・・。


二人の前にはボードゲームが広げられていた。



『大富豪ゲーム』を先日、ドラマの打ち上げのビンゴ大会で当ててしまったキョーコがラブミー部に遊びに来たマリアに見せた事から一緒にやることになったのだが。



「も~~~!!どうして!?現実でも貧民なのにゲームの中でも大貧民にならなきゃいけないの~~!!??」




泣き崩れるキョーコを気の毒に思いながらもマリアは最初にした約束をお願いし始めた。



「お姉さま・・・・それでも・・約束は約束ですわ」



「・・・・・・わかってます・・・・それで?マリアちゃんのお願いって?」



「ふふふふ、お姉さまには私になっていただきますわ」



「へ?」



満面の笑顔のマリアにキョーコは目を丸くして了承したが、これをのちのち酷く後悔するのだった。





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「おお!!マリア!最上君を見なかったか?・・・!?」



ローリィーは正面からやってきたマリアに手を上げたのだが、その動きを途中で止めた。



「おじい様!!・・・・ほら!お姉さま!私と同じようにしてくださいませ!!」



マリアの後ろから、マリアのようなフリルたっぷりの衣装に、髪型もウィッグで同じにしたキョーコが現れたためローリィは二人を凝視した。



「マ・・マリア?一体・・・何を最上君にさせているんだ?」



白目をむきながらマリアに引きずられているキョーコを眺めているローリィにマリアは笑顔で答えた。



「これは罰ゲームですわ!一時間、私と同じようにしていただくんですのよ。ね、お姉さま」



「そ・・・そうですわよ?・・・お・・・・おじい様・・・(ごめんなさい!!社長さん!!)」



心の中では土下座をしまくっているキョーコだったがそれをおくびにも出さないでにっこりと笑うとマリアのようにスカートを軽く持ち上げ挨拶をした。



「・・・・・・また・・君は・・・えらいのにいつも捕まるな・・・・」



「・・・・・・・・は・・はあ・・・・」



申し訳なさそうな、同情のような表情をするローリィにキョーコは空笑いで返した。



「お姉さま!?行きますわよ!!」



「あっ!まって・・・くださいませ~マリアちゃん!!」



バタバタとアリアを追いかけるキョーコをローリィはただ呆然と見送るしかなかった。






「あ!!椹のおじ様~~~!!」



「!!!(ぎゃああ)」



マリアが事務所内を歩いている椹を発見して走り寄るのをキョーコは泣きながら追いかけた。



「おお!マリアちゃん・・・・・・!?」



アリアに振り返った椹はマリアそっくりの姿になったキョーコを見て顎が外れそうなほどに口を開けた。



「ご・・・ごきげんよう・・・・さ・・・椹・・・のおじ様・・・」



ギシギシと錆付いたブリキのおもちゃよろしくキョーコがマリアのように椹に挨拶をすると、椹はようやく意識を取り戻した。



「ど、どうしたんだ最上君!この姿はっ」



「そ・・・それが・・・・罰ゲーム・・でして・・・・」



疲れきった表情でキョーコが今までの経緯を説明すると、椹は心の底から同情した視線をキョーコに投げて寄こした。



「ま・・・まあ・・・がんばりなさい・・・・しかし、君は毎度毎度こういったものに捕まるなあ・・・」



「・・・・・感心しないでください・・・・・・」



がっくりと項垂れるキョーコの背中からマリアの声が響いてきた。



「お姉さま~!!行きますわよ~!!」



「はっ!はあ~い!!」



走り去るキョーコの背中を椹はドナドナされる子牛を見送る気持ちで眺めるのだった。





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「・・・マ・・・マリアちゃん・・・もうそろそろ時間なんじゃない?」



事務所内を闊歩した二人(一人は渋々)は玄関ホールへとやって来た。



「あと5分ですわ・・・・・・・・・!!あっ!!」



マリアの一際大きな声で下ばかりを向いていたキョーコは顔を上げて青ざめた。



(げげげっ!!!!)



「蓮様~~!!!!!」



マリアの走って行く方向を見たキョーコは一気に青ざめた。


そこには走り寄るマリアに微笑んでいる蓮と社の姿があったからだ。



「蓮様!抱っこ抱っこ!!」



「クスクス・・・はい、こんにちはマリアちゃん」



蓮はいつものようにせがまれるままマリアを抱き上げた。



「えへへへ~やっぱり蓮様良い匂い~」



マリアは蓮の首元にゴロゴロとなつくと蓮がくすぐったそうに微笑んだ。


いつもならその光景をほほえましく見守るキョーコなのだが今日は違った。



今にも逃げ出したい気分で立ち尽くしていると、蓮を堪能したマリアが一向にキョーコが来ないので大きく手招きをした。



「お姉さま!!早くいらっしゃって!!」



「え!?最上さんがいるの?」



マリアの見る方向を蓮と社も見ると、柱の影からマリアのような姿のキョーコが現れた。



「ええええ!?キョーコちゃんなの!?(マリアちゃんの大人バージョン!?)」



「マリアちゃん・・・これは一体?」



マリアを抱き上げたまま驚きを隠せない蓮がマリアに訊ねると、マリアは満面の笑みで答えた。



「罰ゲームですわ!私のように振舞っていただいてますのよ?」



((自分のように振舞うのを罰ゲームにするって・・・マリアちゃん・・・・))



笑顔のマリアに蓮と社は心中を複雑にしたのだが、キョーコには十分効果のあるものだとわかった。


なぜなら、がっちがっちに体を強張らせ真っ赤にした顔を引きつらせながら蓮の元へやってきたからだ。



「こんにちは、最上さん」



いつものように挨拶をした蓮にキョーコは瞳を潤ませながらチロリと見上げると意を決したように両手を広げて蓮に突き出した。



「ごき・・げんようですわ・・・れ・・・・れ・・蓮様・・・・・」



「!!!」



「だ・・・・・だっこ・・・・・して・・~~~~~~っつ無理~~!!!マ・・マリアちゃん!!時間は!?」



もう我慢の限界だったキョーコが助けを求めるようにマリアを見たがマリアは非情に首を振った。



「あと2分ありますわ」



その言葉に愕然とキョーコがしていると、無表情だった蓮がようやく意識を取り戻しマリアを下におろし、へたり込んでいるキョーコに歩み寄った。



「そういうことなら・・・」



「へ?・・・・!!?つ、敦賀さん!!?」



にっこりと微笑んだ蓮はキョーコに手を伸ばすと、キョーコは蓮によってふわりと抱き上げられてしまった。



「こんにちは?・・・・・・キョーコちゃん?」



「!!!!???な!?」



「だって・・・マリアちゃんと同じように接しないといけないんだろ?」



にっこりと楽しそうに笑った蓮にキョーコはこれ以上ないほど真っ赤になった。



「も・・・もう・・・おろして下さいっ!!」



「・・・・・・ダメ・・・・ほら・・・マリアちゃんの真似をすんだろ?・・・見てたよね?さっきもマリアちゃんしてたよ?俺の首元に顔・・・くっつけてたでしょ・・」



「!!??む・・・無理です~!!」



「『役』になったつもりでも?」



「!?・・・『役』・・・・ですか?」



「そう、『マリアちゃん役』・・・・君はまた出来ないとすぐ諦めるのか?」



「!!・・・・・わ・・・わかりました・・・・」





蓮に良いように言いくるめられたキョーコが蓮の首元に顔を埋めてマリアのようにしているのを、マリアと社は少し離れて見ていた。



「・・・・もう・・とっくに時間は過ぎてますのに・・・お姉さま・・・」



「まあまあ・・・・・これで蓮はこの後の仕事をすこぶる順調に終わらせる事が出来るから・・もう少し待ってやってくれない?」



社の言葉にマリアは頷くと、どう見てもバカップルにしか見えない二人を見守る事にしたのだった。






後日、蓮と会うたびにキョーコは抱っこしなくても良いのか聞かれ大泣きするのだった。




「もう!!絶対にゲームなんてしません!!!!罰ゲームなんて・・・嫌いだ~!!」











end