†必然の運命~物欲~ | なんてことない非日常

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†必然の運命~物欲~







『シューヘー・・・私・・・・』



ジュリはまだ心配そうに見つめる周平の視線に居心地悪く俯いたまま小さく呟いた。



『・・・・・・私も・・・作ってくる・・・』



『・・・ん?・・・何が?』



首を傾げた周平にジュリは名案とばかりに顔を上げて頷いた。



『私、作ってきてあげる!!日本食!!』



『えっ!?・・・どうしたの?急に・・・』



『・・・・迷惑?』



目を潤ませ、小首を傾げるジュリの姿に周平はぐっと黙り込むと、数秒の後大きなため息と共にその提案を受け入れた。



『わかった・・・だけど、無理するなよ?』



『わかってる!!・・・・シューヘー、リクエストある?』



『リクエスト?・・・・日本食なんだろ?・・・・やっぱり・・・肉じゃが・・・かな?』



『ニクジャガ・・・・了解!!明日もって来るね!!』



急に元気になったジュリに面食らいながらも周平は明日を楽しみにするのだった。






***********



『シューヘー!!持ってきたよ!!』



まだ撮影が終わっていないのに入ってきたジュリを軽く叱りながら、周平はジュリを控え室へと誘った。



『後からくるから・・・ちょっと待ってて』



『・・・・ごめんなさい・・・』



しょんぼりするジュリに周平は軽く微笑み頭を撫でると収録に戻っていった。



主はいないながらも周平の気配のする控え室でジュリはそわそわしながら待っている自分の姿を偶然、鏡で見て顔を赤くした。



(こ・・これは・・・そう!緊張よ!!上手くできてるかわからないから・・・)



顔をぺちぺち叩いていると、周平が部屋に戻ってきた。



『本当に作ってきたんだ?・・・・どれどれ?』



席に着きながら周平はジュリから容器を受け取るとジャガイモを一つつまんで口に入れた。



[ごりゅ・・・]

という音共に周平は笑顔のまま動きが止まった。



『・・・・・こ・・これは・・・・煮た?』



『ちゃんと煮たわよ!・・・日本のソースで!!』



『・・・・・・ちなみに・・・何・・ソース?』


『え?日本のスーパーで買ったソースよ黒いの』



『・・・・・・・・・・・・・・』



固まる周平にジュリは心配そうに顔を覗き込んだ。



『・・・・ダメ・・・だった?』



『い・・・いや・・・・肉じゃがは日本のソースでもソイソースを使うんだ・・・・』



『わかった!!明日はちゃんとしたの作ってくる!!』



『ええっ!?明日!?ってジュリ!?』



あっという間にいなくなったジュリに周平は呆然と、残されたミラクルなニクジャガを見つめた。







『・・・・・・・うん・・・煮えてるし、ソイソースで煮てあるけど・・・・・・ソイソース・・・のみだね』



周平は真っ黒な物体に顔を引く付かせながら何とか完食すると肉じゃがの作り方を改めて聞いてみた。



『・・・ジュリ・・・君は肉じゃがの作り方を知ってるの?』



『食べたことはないけど、日本のテレビでやってたわ』



『・・・・・・日本語・・・聞き取れないよね?』



『うん、だから見て』



『・・・・・・・・・・・』



絶句というより白くなっている周平を余所にジュリは立ち上がった。



『わかった!!今日は日本食を食べて研究してくる!!』



『え?・・・・ま・・まさか・・』



『明日、その研究結果を持ってくるからね!』



周平の心の絶叫も届かずジュリは来る日も来る日も周平に肉じゃがもどきの差し入れをした。



『・・・・・・蕎麦屋に・・・行って来たんだね・・・・』



半ば無我の境地で周平はジュリに出された物を平らげるのだった。



『ヤクミというものが料理のアクセントになるってタイショウが!!』



『・・・・・茗荷に生姜が入っているそば出汁の肉じゃがは初めて食べたよ・・・』



『・・・タイショウに分けてもらったのに・・・・これも違うの?』



『・・・・・・・・・・・・』








『・・・・・・・・・今日の肉じゃがは・・・目にくるね・・・・』



目頭を押さえながら食べる周平にジュリは嬉しそうに寿司屋に行ったことを話した。



今日は屋外の撮影のため簡易ベンチに腰掛けている二人を新人のスタッフが一人笑顔で近づいてきた。



「いいですね~おっ!美味しそう!!いただきます!!」



「あっ!!!」



若い男はひょいっと周平の持っている容器からジャガイモを一つつまむと慌てる周平を前に口に入れた。



「!!!??」



その後すぐに男は二人の目の前で悶絶を打ち始めた。



「まっ・・不味・・・・」



そう言いかけた男に周平は笑顔でお茶の入ったコップを差し出した。



「ほら、もういいだろ?これからは勝手に人の物に手を出すなよ?」



笑顔は素晴らしいほどの晴れやかさなのに今すぐ暗雲を呼べるほどのオーラを放ち新人の男を追いやると、しょんぼりとするジュリを見た。



『・・・・やっぱり・・・上手く出来なかったんだ・・』



『・・・・・いいんだ・・・俺には美味いから・・・・』



目頭を押さえながらもちゃんと完食する周平にジュリは憎まれ口も忘れてただ嬉しい気持ちを押し隠すように困ったように笑うのだった。












next・・・・・・