《久しぶりの更新です。
久しぶりすぎて感じが掴めない。》
†必然の運命~真剣~
会いたいときに会えない。
会うのを躊躇うと会ってしまう。
運命の皮肉さに周平はため息しか出なかった。
『・・・あの時のバケモノ!』
『・・・バケモノで悪かったね・・・』
ジュリの言葉に顔を引きつらせながら周平は流暢な英語でそう返すと、ジュリは目を見開いた。
『英語・・・話せるの!?』
『・・・・・・・・俺・・・これでもアメリカ人の血も混じっているんでね・・・』
呆然とするジュリの周りを周平はきょろきょろと見渡した。
『・・・・・御付の方は?お嬢さん・・・』
『・・・・・・・・・・』
一人でテレビ局の出口に向かっていた様子のジュリにそう訊ねると、ジュリは周平からふいっと顔を背けて歩き出そううとした。
『ちょっと!!離しなさいよ!!!セクハラよ!?』
周平は無表情で騒ぐジュリの首根っこを捕まえてテレビ局内に入っていくと、ジュリの母親が血相を変えて走っているのが目に入った。
『ジュリ!!打ち合わせはまだ終わってないのよ!?』
『・・・・・・・・・・もう!!余計なことしないでよ!!』
周平の手を振り払ったジュリに周平は睨みを聞かせた。
『たとえ子供でも、この仕事は関係ない・・・君はプロなんだろ?・・・・仕事を放り出すようなこと・・・してはダメだ』
『っつ・・・・・子供じゃないわよ!!もう18になるわよ!!・・・・別に・・・放り出してないわ・・・ちょっと気分転換に外に・・・・・って・あなたに関係ないじゃない!?』
いぃ~っと歯を剥いて憎たらしい顔をするジュリに周平はため息をついた。
『この業界の先輩として話してあげてるんだ・・・・せっかくの可愛らしさが台無しな顔をするな』
周平がすっと目を細めて寂しげに言うと、ジュリは急に勝ち誇った顔つきになった。
『もしかして・・・私に惚れちゃったの?』
胸の前で腕組みをして、嫌味な表情を作るジュリに周平はにっこりと笑った。
『ああ、食堂で会ったときは天使が舞い降りてきたと思ったけど・・・どうやら俺はから揚げの食い過ぎによる幻覚を見ていたようだ・・すまなかったね?』
『か・・らあげ・・・・幻覚?!・・・・ちょっと!!これでもトップモデルのジュリエラよ!?私の美貌を崇拝するならともかく、幻覚・・・しかもから揚げの食べすぎによる幻覚ですって~?!』
怒り心頭のジュリに今度は周平が馬鹿にしたような表情を作った。
『自分で崇拝しろとか・・・ああ・・俺、最近働き過ぎたかな~・・こ~んな悪魔ちゃんが天使に見えるなんて・・』
『ぬあんですって~~!!そんなに言うなら今から私のウォーキング見ていきなさいよ!!あんたなんかひれ伏すんですからね!?』
『・・・・・・そんなに豪語するなら見てやってもいいけど・・・俺も仕事なんでね・・・悪いけど、君の似非天使のヨチヨチ歩きに付き合ってる暇はないんでこれで失礼するよ?』
爽やかな風を振りまいて、呆然と立ち尽くすジュリを余所に周平はテレビ局の奥へと消えていった。
その背中を見送りながら、ジュリは怒りに体を震わせた。
『ジュ・・・・ジュリ?』
心配そうに顔を覗きこんだ母が見たのは今まで見たことのない娘の凶悪なまでの表情だった。
『何が・・・似非天使の・・・ヨチヨチ歩きですって~~!!』
周平がドラマのスタジオ内にいる俳優やスタッフに挨拶をしていると突然、ものすごい形相のジュリに肩を掴まれた。
『ふざけないで!!あんたこそ、あの事務所から私を追っかけているストーカーの癖に!!』
『・・・・酷い言いがかりだな・・・俺の所属事務所に俺がいて何がおかしい?このドラマの主演でこのテレビ局に来た俺を捕まえて・・・』
ものすごい速さの英語で会話をする二人を周りの人々が呆然と眺めていると、ジュリは周りをきょろきょろし始めた。
『え・・・・?所属・・事務所?・・・・ドラマの・・・主演?』
『そ、俺は俳優の保津 周平・・・』
『ええええ!?・・・・大食いファイターじゃないの!?』
『・・・・・・・』
二人の会話が分からないスタッフが心配そうに様子を伺っていたのに気づいた周平は、追いかけてきたジュリの母の方へ呆然とするジュリを押しやった。
『君もまだ仕事があるんだろ?俺はこの仕事に真剣に取り組んでいるんだ、君のように打ち合わせ一つ満足にこなせない者に邪魔、されたくないんでね・・・出て行ってくれ』
『っつ・・・・・・』
ジュリはスタジオからはじき出されるように周平に押されると閉まる扉を呆然と眺めるのだった。
「い・・いいんですか?今の・・モデルのジュリエラじゃあ・・・・」
スタッフの心配そうな声に周平は笑顔を見せた。
「どうやら迷子のようだったから説明してここから出て行ってもらっただけだよ・・・」
「そ・・・そうなんですか・・・・・でも、保津さん!英語ぺらぺらなんですね!?」
少し興奮したスタッフに苦笑いをした周平だったが外のジュリを思い大きくため息を付いた。
収録が終わったのはそれから4時間以上経っていたのだが、スタジオから出てきた周平は廊下で腕組みして待っていたジュリに目を見張った。
『・・・・まだ、なんか用事?』
わざと冷たい言い方だったのにジュリは目を輝かせ挑戦的な表情を周平に見せた。
『私だって、この仕事を真剣にやってるわ!・・・・・でも、みんな私自身は見てくれないのよ・・・・・』
寂しそうに俯いたジュリの手を周平は無意識に引いて歩き出した。
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