過食嘔吐のはじまり
センタ-試験に失敗し国立大を諦めるも、
私立大学の二期という狭き門を突破して夢に向って歩きはじめた私に
前触れもなく伝えられたその一報は今までで一番辛いものでした。
せっかく受かった私立大学の入学を泣く泣く辞退し
就職を決めた19歳の春
それは「小さな頃からの夢である小学校教師をあきらめる」という
生まれて初めての大きな挫折でした。
いつの時にも
「文武両道だ」
「心優しく面倒見の良いいい子だ」と
褒めそやされて自信を持っていた私には
なかなか受け止められない事実でした。
それまで小学校の教師という夢が叶わないかもしれないと思うことや、
自分が他の職業に就くことなど一度も想像したことはありませんでした。
だからなおさらこの挫折は私の心を蝕んでいったのでしょう。
冬のある晩
夕食を食べすぎたにもかかわらず、
いただき物のケ-キを3つも食べてしまった。
ただ食べ過ぎただけだった。
苦しくてしばらく動けなかったが、トイレへ行きたくなった。
トイレで吐き気をもよおし、下を向いたがなかなか吐けない。
楽になりたくて、手をつっ込んで無理矢理吐いた。
胃が軽くなるととても楽になった。
でも吐く時は苦しいし、ずっと下を向いているから頭に血がのぼり
さらに涙が出て、吐いた直後は目が腫れ顔がむくむ。
母と妹はトイレから出てきた私の顔を見て心配した。
食べ過ぎて吐いたことを伝えると「バカだねぇ」と笑っていた。
私も「もったいなかったわ」と笑った。
せっかく食べたのに吐いてしまって
親に申し訳ない気持ちになったし
食べ過ぎて吐くことなんてこの先絶対無いだろうと思った。
その頃の3ケ月間のことは
何が起こったかは鮮明に覚えていても
それが何月何日頃のことなのかは覚えていない。
自分が意識していたより
受験やスト-カ-の事がストレスになって溜まっていたのかもしれない。
今思い返してみても記憶が前後している感じで時間の感覚が確かではない。
周りから「怖いほど小さい頃からの出来事に関する記憶力良い」
と言われてきた私には信じられないことだ。
だから、再び食べて吐いたのが
受験が終わった直後なのか
挫折を経験した直後なのかはわからない。
大して食べたくもなかったのに夕食後お菓子をたくさん食べた夜があった。
その後、大して食べたくもなかったのにみかんをたくさん食べた。
以前吐いた時のようにお腹が苦しくなった。
ふと「このまま寝たら太る」と思った。
その頃私はそんなに食べてもいないのに
受験のストレスからか秋より太った気がしていた。
身長がそれなりにあり、骨や筋肉がしっかりしている私は、
少し痩せようが太ろうが見た目そんなに変わりなく「健康」に見える体型だった。
それでもやっぱりそれ以上太りたくはないと思った。
一度心が決まるともう吐くしかなかった。
前回と同じようにトイレへ行って吐いた。
「前回と今日はたまたま食べ過ぎただだけ。
明日はきっと食べ過ぎない」と思った。
1週間も過ぎたのだろうか。
気づけば食べ過ぎて吐くのが毎日の日課のようになっていた。
そんなに食べたくなくてもなぜか食べてしまう。
苦しくなるまでそれは止まらない。
ご飯一口も入らないくらい苦しくなったら
食べた事を後悔し始める。
「吐かなくちゃ」と思いたってトイレへ行く。
全部吐き出したいけど<br>無理に吐いていると家族にバレてしまうから
簡単に出せる分だけ吐く。
それでもトイレから出てきた私の顔を見た妹は
「姉ちゃんまた吐いたしょ」とあきれた顔をした。
吐くのは一日1回夜だけだった。
家族にバレないように一度ふとんに入って寝たふりをして
夜中に起きて吐いたりもした。
その頃撮った写真は体型は変わっていないのに
顔がむくんで目が少し吊り上がり、まるで別人のように見える。
始めのうち、父も母も
私の異常な食欲(たいして食べたいわけではないから
食欲とは言わないのかもしれない)を心配していたが、
毎日食べては吐いていることを知ると
「吐くなら食べなければいいのに」とあきれて怒った。
今考えるとまったくそのとおりだと思う。
せっかく食べたものを吐くなんて食べた意味がない。
食べたものだってタダじゃない。もったいない。
でも、なぜかその頃の私にはそんな当たり前の感覚が無くなっていた。
ただ、本当に食べたくて食べて「美味しい」と思う感覚はまだあった。
と思う。
私立大学の二期という狭き門を突破して夢に向って歩きはじめた私に
前触れもなく伝えられたその一報は今までで一番辛いものでした。
せっかく受かった私立大学の入学を泣く泣く辞退し
就職を決めた19歳の春
それは「小さな頃からの夢である小学校教師をあきらめる」という
生まれて初めての大きな挫折でした。
いつの時にも
「文武両道だ」
「心優しく面倒見の良いいい子だ」と
褒めそやされて自信を持っていた私には
なかなか受け止められない事実でした。
それまで小学校の教師という夢が叶わないかもしれないと思うことや、
自分が他の職業に就くことなど一度も想像したことはありませんでした。
だからなおさらこの挫折は私の心を蝕んでいったのでしょう。
冬のある晩
夕食を食べすぎたにもかかわらず、
いただき物のケ-キを3つも食べてしまった。
ただ食べ過ぎただけだった。
苦しくてしばらく動けなかったが、トイレへ行きたくなった。
トイレで吐き気をもよおし、下を向いたがなかなか吐けない。
楽になりたくて、手をつっ込んで無理矢理吐いた。
胃が軽くなるととても楽になった。
でも吐く時は苦しいし、ずっと下を向いているから頭に血がのぼり
さらに涙が出て、吐いた直後は目が腫れ顔がむくむ。
母と妹はトイレから出てきた私の顔を見て心配した。
食べ過ぎて吐いたことを伝えると「バカだねぇ」と笑っていた。
私も「もったいなかったわ」と笑った。
せっかく食べたのに吐いてしまって
親に申し訳ない気持ちになったし
食べ過ぎて吐くことなんてこの先絶対無いだろうと思った。
その頃の3ケ月間のことは
何が起こったかは鮮明に覚えていても
それが何月何日頃のことなのかは覚えていない。
自分が意識していたより
受験やスト-カ-の事がストレスになって溜まっていたのかもしれない。
今思い返してみても記憶が前後している感じで時間の感覚が確かではない。
周りから「怖いほど小さい頃からの出来事に関する記憶力良い」
と言われてきた私には信じられないことだ。
だから、再び食べて吐いたのが
受験が終わった直後なのか
挫折を経験した直後なのかはわからない。
大して食べたくもなかったのに夕食後お菓子をたくさん食べた夜があった。
その後、大して食べたくもなかったのにみかんをたくさん食べた。
以前吐いた時のようにお腹が苦しくなった。
ふと「このまま寝たら太る」と思った。
その頃私はそんなに食べてもいないのに
受験のストレスからか秋より太った気がしていた。
身長がそれなりにあり、骨や筋肉がしっかりしている私は、
少し痩せようが太ろうが見た目そんなに変わりなく「健康」に見える体型だった。
それでもやっぱりそれ以上太りたくはないと思った。
一度心が決まるともう吐くしかなかった。
前回と同じようにトイレへ行って吐いた。
「前回と今日はたまたま食べ過ぎただだけ。
明日はきっと食べ過ぎない」と思った。
1週間も過ぎたのだろうか。
気づけば食べ過ぎて吐くのが毎日の日課のようになっていた。
そんなに食べたくなくてもなぜか食べてしまう。
苦しくなるまでそれは止まらない。
ご飯一口も入らないくらい苦しくなったら
食べた事を後悔し始める。
「吐かなくちゃ」と思いたってトイレへ行く。
全部吐き出したいけど<br>無理に吐いていると家族にバレてしまうから
簡単に出せる分だけ吐く。
それでもトイレから出てきた私の顔を見た妹は
「姉ちゃんまた吐いたしょ」とあきれた顔をした。
吐くのは一日1回夜だけだった。
家族にバレないように一度ふとんに入って寝たふりをして
夜中に起きて吐いたりもした。
その頃撮った写真は体型は変わっていないのに
顔がむくんで目が少し吊り上がり、まるで別人のように見える。
始めのうち、父も母も
私の異常な食欲(たいして食べたいわけではないから
食欲とは言わないのかもしれない)を心配していたが、
毎日食べては吐いていることを知ると
「吐くなら食べなければいいのに」とあきれて怒った。
今考えるとまったくそのとおりだと思う。
せっかく食べたものを吐くなんて食べた意味がない。
食べたものだってタダじゃない。もったいない。
でも、なぜかその頃の私にはそんな当たり前の感覚が無くなっていた。
ただ、本当に食べたくて食べて「美味しい」と思う感覚はまだあった。
と思う。