10.2 呪符について
呪符や護符といわれるものには、大変多くの種類があります。
そのほとんどが、災難よけや現世利益を成就するためのおまじない的な呪文や記号を記したものです。
中世から近世にかけて山伏(修験者)や陰陽師など修行を積み霊験を得た行者が、これらの呪符の作成にあたっていたようです。
和紙や符板に墨書か朱砂(しゅしゃ)で記して作成します。
この使用方法としては手元に持ったり家に飾ったり、また願い事によっては地中に埋めたりもします。
現在でも、ネットで調べますと呪符を販売している業者を数多く容易に探すことができます。
呪符は、それを作る人の霊験や、その呪符を使う人が、どれだけその呪符の力を信じるかによって願いが叶うかかなわないかが大きく左右されます。
半信半疑では効果を得るのは難しいようですが、おまじない感覚で自分で作ることも可能ですので、試してみるのも良いかもしれません。
但し、その場合も自作した呪符を持って神社仏閣に参拝して、神仏のご加護を得ることができるように斯く斯くしかじかと御祈祷することが望ましいでしょう。
一応、呪符の例を一、二紹介します。
テストの時に、あがったりしない呪符です。
試験場に入ったら、椅子に座り丹田呼吸を五、六回繰り返します。
息を吸うときは手をゆっくりと握りしめ、息を吐く時は手をゆっくりと開きます。こうすることで、副交感神経が優位になって、緊張がほぐれます。
そして、ポケットに入れた呪符をそっと押さえてみると良いです。
災難除けの呪符です。
上記のように書いた紙を、できれば半紙などで作った白い封筒に入れて、お財布の中などにお守りとして持っていると良いでしょう。
この呪符の中の「日」は太陽を、「口」は星を表すものです。
口急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)は、もともと中国・漢代の公文書に書かれていた言葉です。
「こちらの指示したことを法律のように早くしなさい」
と急がす言葉だったようです。
これが、修験者や陰陽師が使う呪文の結びの言葉として使われるようになります。
呪符を使用したり、呪術の際に唱えることで呪力アップの効果を発揮したことで、早急に術や目的を成就させるための常套句となります。
そして、「早急に物事を成せ」という意味が転じて「正しい道理に基づいているので早急に望みを叶えよ」と
の意味も込められるようになりました。
参考文献:宮家準著『修験道儀礼の研究』春秋社
今回も最後までお読みいただき有難うございました。
次回は、呪符の回のしめくくりとして、陰陽道で最高の守護符とされ、除災開運に絶大な霊力を発揮したと
いわれる秘法の霊符「鎮宅七十二霊符」についてその作成方法も含めて紹介したいと思います。