次世代アーティスト FANTASTICS from EXILE TRIBEが 新境地に臨む“新感覚フェイクドキュメンタリー” 今、最も注目を集めるフレッシュでスタイリッシュな ダンス&ボーカルグループのメンバーが、 リアルとフェイクの間で紡ぎ出す物語(公式サイトより引用)




実在するアイドルやグループが、本人役を演じる作品というのは、昔からたまにありました。大抵はファン向けに作られたもので、それ以上でもそれ以下でもありません。


なので、このファンタのフェイクドキュメンタリーも、あまり期待せずに見てみたら(すみません)、意外にこれが面白かったんですよね。


舞台は都内のとある男子寮。世界さんと大樹くん以外のメンバー6人が3部屋に分かれて暮らしています。いわば、ファンタというフォーマットを借りたフィクション。


八木くんの黎弥くんを見つめる目が、やけに熱を帯びていたり、服を買いに行った夏喜くんはショップの店員さんと思いがけず良い感じになったり。


一応ふわっとしたストーリーラインはあるものの、見始めてすぐにこれは、箱庭ゲームならぬ箱庭ドラマであることに気づきます。 


箱庭ゲームは自由度が高く、牛からミルクとって売ることもできれば、住民と交流したり、町の発展につくしてもいい。そんな風に、気楽に視聴者が好きなサイドストーリーを選んで楽しめる、ありそうでなかったフェイクフィクションだなと感じました。


寮の片隅で繰り広げられるBL展開など、どこ吹く風で、無邪気にジェンガソングの作曲に勤しむ颯太くんなんか、まさにそれ。ルーフバルコニーでメンバーが仲良く筋トレに励む姿を眺めるも良しで、見方の自由度が高いです。


個人的に秀逸だと思ったのが、夏喜くんとショップ店員さんとの初デートシーン。普通のドラマはきっちり台詞があって間も計算されているものですが、このドラマは台本があるはずなのに、会話が続かなくて不格好に押し黙ってしまう気まずさとか、何か話さなきゃいけないのに、思わず「はあ」とか漏れちゃうあの情けない感じを、あまりにリアルに再現。


おそらく私が見てきたドラマの中で、一番現実の初デートに近いリアルさでした。なぜわざわざドラマで、こんないたたまれない気持ちにならなくてはいけないのか。そう思いたくなるくらい、よくできたデートシーンで感心しちゃいましたね。


八木くんは『美しい彼』でも演技経験浅いながら、ハッとするよう表情を何度も見せてくれましたが、今回は演技の荒さみたいなものがすっかり取れていて、改めて俳優としての有望さを感じました。下手な俳優って10年やろうと棒のままですけど、上手い人は最初から上手いか、短期間であっという間に成長します。八木くんは間違いなく後者でしょうね。


他のファンタのメンバーもシットコムで鍛えているので、演技が思いのほか自然で、それがよりドキュメンタリーちっくな生っぽさを発揮していて良かったです。


最終話のラストはすごいところで終わったので、続編があるのか気になります。


まさに“新感覚”。掘り出し物的な面白さでした。