後継ぎ育成アドバイザーで、株式会社ジリリータジャパン代表の鹿島です。

 

5月10日に2024年版の中小企業白書・小規模企業白書が閣議決定されました。

 

中小企業診断士にとって、これらの白書は1次試験で頻出なので、必死で特徴を勉強した記憶が蘇ってくるんです。

 

今となっては懐かしい気もします。

 

中小企業診断士として独立してからは、セミナーや研修の資料の基礎となる白書なので、よりきちんと読むようになりました。

 

この記事を書いている段階(5/12 午前10時時点)では経済産業省や中小企業庁のホームページにも概要しか公開されていませんので、ご留意願います。

 

経済産業省によると、2024年度版の白書の特徴は、以下の通りです。

 

○中小企業白書:

「成長する中小企業の行動を分析すると、企業の成長には、人への投資、設備投資、M&A、研究開発投資といった投資行動が有効である。また、成長投資に伴う資金調達手段の検討も必要である。」とのことです。

 

事業承継については、事業承継が進んで経営者の年齢が若返っている一方、75歳以上の高齢経営者の占める比率は最も高い水準となっています。

 

加えて、後継者不在率の推移をみると、2018年をピークに緩やかに下りつつあるものの、以前54.5%の中小企業で後継者がいない状況が続いています。

 

○小規模企業白書:

「小規模事業者は、中小企業と比べ厳しい経営環境にある中で、コストを把握した適正な価格の設定や、顧客ターゲットの明確化に取り組むことで、売上高の増加につながることが期待できるほか、支援機関の活用も効果的である。また、新たな担い手の参入も生産性向上の効果が期待できる。」とのことです。

 

(引用先:https://www.meti.go.jp/press/2024/05/20240510002/20240510002.html )

 

 

タイミング良く、5月12日の日本経済新聞の1面に「チャートは語る 人手確保へ都市に対応」という記事が掲載されています。

 

その記事によると、従業員10人~100人未満の企業を対象に、2018年から2023年にかけての賃上げ状況を比較していました。

 

宮崎県の13.2%を筆頭に、高知県、愛媛県、茨城県、秋田県、京都府、宮城県、和歌山県、長崎県、青森県、岩手県、大阪府、東京都となるそうです。

 

コロナウィルスの収束に伴う経済の回復に、インバウンド客の増加や、2024年問題といわれる労働時間の規制強化、少子高齢化など複数の要素が絡みあい人手不足を感じている事業者は数多くいます。

 

宮崎県は昔から交通の便が悪い陸の孤島と揶揄されていましたが、熊本に台湾のTSMCが進出するのと相まって、交通網が整備され、結果的に県外の企業との人材の奪い合いが始まり、賃金を上げざるを得なくなっているのが実情です。

 

事情はどうであれ、地方都市から若者の都会への流出に加えて、近隣の自治体との人材獲得競争はさらに激しくなります。

 

ただ、売上が利益の増加が伴わない賃上げは長続きすることはできませんよね。

 

白書がいうように、人への投資、設備投資、研究開発投資による成長が不可欠です。

 

全て自前でやることは時間もおカネもかかるので、M&Aを活用することも有力な選択肢といえますね。

 

人手不足への最終的な解決方法は、IT化・機会化だと思います。

 

ただ、投資余力に乏しい規模の小さい企業に直ぐにIT投資しろとか、設備投資しましょうといっても無理があります。

 

そのために、賃金以外の会社の魅力を高める工夫をしていくことが重要だと思います。

 

働きやすいではなく、働きたくなる職場づくりが大切になりますね。

 

そんなお手伝いができたら嬉しいなと思っています。