うちの職場には、係長がいます。
女性用トイレでトラブル発生!直ちに現場へ急行せよ!
お客様の女性用トイレで設備不良があり、
手洗い場周辺が濡れて使えない状態になっていました。
現場でお客様を誘導しながら係長にヘルプコール。
状況説明と、お客様がお一人、お召し物が濡れてしまったことを報告。
係長 「分かった。すぐ行く。」
私 「お願いします。着いたら連絡下さい。」
係長 「分かった。僕では中に入れないから、それまで宜しく」
お客様に、責任者が直ぐに参ります。とお待ち頂き、
清掃部門へ連絡。清掃作業を依頼。
急いで来てもらわないと、他の方も同じようなことになってしまう。
あ、部長にも報告を。
あ、新人ちゃんに後始末がつくまでの誘導係を頼まないと。
「主任~…、しゅ、主任~?」
あ、係長忘れてた!
トイレの入口際きわの所から、か細い声で呼んでいる。
慌てて出ていったら、自分が中を見ないように入口横の壁にへばりついていました。
下手な張り込みとか尾行みたい。
私 「ごめんごめん。」
係長 「電話が繋がらないから困ったよ。」
服が濡れたお客様より困った顔である。
女性用トイレ前というだけで居心地悪そう。
係長 「着替えのフォローをして欲しいんだけど、主任も一緒に動ける?」
私 「大丈夫です。」
ちょうど新人ちゃんも駆けつけてくれたので、現場を任せてから
自分と係長でお客様のフォローに当たりました。
トイレを離れてからの係長は、うってかわって頼もしくキビキビ対応してくれます。
着替えとクリーニングの手配に、お客様のお見送りまで実にスムーズ。
こんなに親切にして頂いてありがとう、なんてもったいないお言葉をいただいて、
2人でホッとしたのでした。
いや~、大事にならなくてよかったねぇ。と、一仕事終えた気分で通常業務に復帰。
なかなか良いところを見せられたな~、係長やるじゃん♪
なーんて思っていたら。
「主任~…」
さっき以上の困り顔をして係長がカムバック。
私 「何かあった?」
係長 「うん。さっきの件で」
私 「えー?大きいクレームにはならなかったよ?」
係長 「お客様じゃなくて、僕が」
私 「へ?」
係長 「女性用トイレを覗いてたの?ってフロアの販売員さんに半笑いで言われた…(涙)」
それは男として辛い。
私 「もちろん事情はちゃんと話したでしょう?(半笑いの時点で知っていただろうが)」
係長 「話したら分かってくれたよ。でも、何人も聞いてくるんだよ…(シクシク)」
私 「たまたま何人かに見られただけだって(みんなにイジられたか)」
係長 「お客様に不審者だと思われたかも…(メソメソ)」
私 「スーツ着て名札付けてるんだから、従業員だって分かったはずだよ(多分)」
係長 「そうかな…。せっかく穏便に対処できたのに、プラスマイナスゼロだよー(ウジウジ)」
ぐぅ。ガラスのハートはなかなか回復しない。
結局、イジケ虫のまま係長は館内呼び出しを受けてピョコピョコと歩き去りました。
落ち込んでいても、歩き方が楽しそうなのが不思議だ。
まぁ、しばらくしたら、
係長 「□□さんに誉められた~(キラキラ)」
なんてご機嫌さんで再会したので大丈夫でした。
□□さんは係長憧れの、笑顔が素敵な優しい美人さんです。
やっぱり□□さん効果は高いなぁ。
わ~い♪と陽気に去って行きました。
『係長の正確で迅速な対応のお陰で、クレームを最小限に留められたんです。』
と、□□さんに吹き込んどいてヨカッタ。
こちらとしてもプラスマイナスゼロ気分である。
来月、□□さん寿退社するけど。