プロ野球のセ・パ交流戦が終わった。

 

 

 

 私は大のプロ野球ファンで、野球を覚えた子どもの頃から応援してきているのが『ライオンズ』だ。九州・福岡市を本拠地としていた前身の西鉄ライオンズ時代から応援しているからファン歴は65年を超える。

 

 

 

( 右から今シーズンから指揮をとる松井稼頭央監督、エースの高橋光成投手、主将の源田壮亮選手。)

 

 

 

 5月末から約3週間にわたって行われたセ・リーグ6球団との交流戦・18試合を、我が埼玉西武ライオンズ(以下ライオンズ)は6勝12敗で終え、12球団の中で最下位だった。

 

 

 2勝1敗で勝ち越したのは阪神だけで、巨人には3戦全敗、他の4球団には1勝2敗と負け越した。

 

 

 要するに ”惨敗” だった。

 

 

 

 その間、ネット上でのライオンズファンからの書き込みや投稿は凄まじいものがあった。それだけライオンズの戦いぶりを不甲斐なく感じていたのだろう。

 

 

 ネット上にライオンズの試合結果や戦いぶりに関する記事やブログ、YouTube等が投稿されると、好調だった頃よりもはるかに多いコメントが集中した。その大半は厳しい内容のものだった。

 

 

 

 その8割は、次のような批判的なコメントだった。

 

 ・監督、コーチ陣の采配や指導への不満や批判、そして監督の休養・交代の要求

 ・1軍選手と2軍選手の入れ替えが少ないことへの不満や進言

 ・1軍でほとんど出場せずベンチを温めているだけの選手への批判

 ・ここ数年主力選手のFA(注)流出が続いているのに、効果的な補強ができない球団フロントへの不満や批判など

 

(注)FA・・・フリーエージェントの略。1軍登録選手として規定の年数を経過すれば与えられる資格で、その資格があればどの球団とも選手契約を結ぶことができる。

 

 

 

 65年を超すファン歴の中で、ライオンズのこうした浮き沈みを何回も何回も見てきた私は、その書き込みや投稿を読みながら「気持ちもわかるけど・・・」と思いながらも、「監督は与えられた選手を使って、最大の結果を出すことを求められているのだからあまり責めないでよ。ファンの我々が知らない様々な事情もあるだろうから、もっと長い目で見てあげようよ・・・」と心の中で呟いていた。

 

 

 

 しかし、その一方でコメント等の投稿者が持っているライオンズに関する情報やデータは、昔とは比べものにならないほど詳細で充実しているなあ・・・と感心していた。

 

 

 

 それはやはりネット時代の反映だ。

 

 

 

 私も時々専門チャンネル等で観戦するが、2軍の試合もほとんどネット配信されている。配信されなくても数時間後には試合結果や選手のデータはネットで確認できる。だから熱心なファンは2軍の選手の誰が最近いい成績を残しているか、成長しているかよく知っている。

 

 

 だからこそ 「1軍で不振の選手と入れ替えて、○○選手に活躍の場を与えろ!」 と監督にネット上で迫るのだ。

 

 

 

( ライオンズの本拠地「ベルーナドーム」。右下に見えるのが第2球場の「CAR3219フィールド」と室内練習場。多摩湖と狭山湖に挟まれた緑豊かなエリアにある。)

 

 

 

 昔は球場にプロ野球観戦に行けば、ファンからの不満や批判が球場内に響く ”ヤジ” もひとつの楽しみだった。

 

 

 

( 最近はどの球団の応援も素晴らしいが、阪神タイガース、広島カープは昔から熱狂的な応援風景で知られる。私はセ・リーグでは、”縁あって”この2チームを応援している。)

 

 

 

 

 ここ数年はコロナ禍で声出し応援が禁止されていたが、解禁されても激励の声援は聞こえても、いわゆる ”ヤジ” を聞くことはなくなった。

 

 

 昔に比べ観客に家族連れが多くなり、子どもへの影響を考えて ”汚いヤジ” は禁止されたようだ。

 

 

 

 人気番組「笑点」ではないが、思わず 『座布団3枚!』 と声を掛けたくなるような気の利いた ”ヤジ” も昔は多かった。そうした ”ヤジ” を聞けなくなったオールドファンには、最近の球場観戦は少し寂しい気がしないでもない。

 

 

 

 しかし考えてみると、当時はスマホもパソコンもなくネット情報が何もなかった時代、また、ネット上で文字にして監督や選手に文句や不満を伝えることなど、想像もしなかった時代だったのだ。

 

 

 

 スポーツ新聞や週刊誌、そしてラジオ、テレビで仕入れたネタをもとに、”ヤジ” という生の声で、選手たちとファンの人間味あふれる交流が成り立っていた時代だった。また、大きな声で ”ヤジ” を飛ばすことは、観客のストレス発散でもあった訳だ。

 

 

 

( 前身の西鉄ライオンズの本拠地だった福岡市にある「平和台球場」での応援風景。昭和30年代か。観客席にはまだ女性や家族連れの姿はほとんど見られない。昭和25年博多生れの妻は小学生の時、父親に連れられて何回か観戦に行ったらしい。)

 

 

 

 

 最後にライオンズの現状に戻ろう。

 

 

 昨年のメンバーから、攻撃と守りの柱だった森友哉捕手がFAでオリックスに移籍して、攻撃力の低下が心配された中での開幕だった。

 

 

 そのうえ5月には、4番バッターの山川穂高選手がグランド外の不祥事で謹慎することになり、昨年と比較してライオンズの打線は、いわゆる『飛車角落ち』の状態となった。

 

 

 さらに開幕以来打線を引っ張ってきた大ベテランの中村剛也選手が脇腹を痛め離脱して、1軍経験豊かな先発野手は、源田壮亮選手・外崎修汰選手だけになってしまった。

 

 

 

 要するに打撃陣が緊急事態になったまま交流戦に突入し、上記の ”惨敗” で終わってしまったのだ。

 

 

 

 ライオンズはこれまで64試合を消化し、首位オリックスに12ゲーム差の最下位にいるが、データで見てもらおう。

 

 

1試合平均の得点順位はダントツの最下位。当たり前といえばそれまでだが、得点順位がそのまま現在の順位だ。

 

 ①オリックス3.83点 ②ソフトバンク3.82点 ③ロッテ3.47点 ④日本ハム3.24点 ⑤楽天3.20点 ⑥西武2.80点

 

 

1試合平均の失点順位は5位ながら、上位とそれほどの大差はない。

 

 ①日本ハム3.12点 ②オリックス3.18点 ③ロッテ3.27点 ④ソフトバンク3.39点 ⑤西武3.44点 ⑥楽天3.97点

 

 

 

 要するに相手を3.44点に抑えているのに、相手から2.80点しか取れないという数字になっている。

 

 

 言い換えれば 「3点取られると、もう負けを覚悟しないといけない」 ともいえる。

 

 

 投手陣は頑張っているが、打線が振るわない・・・まさに現在低迷しているライオンズを象徴している数字だ。

 

 

 

 

 ところで6月18日(日曜日)、マツダスタジアムで交流戦の最終戦・広島戦が行われた。この試合でライオンズはなんと 11対4 で勝った。

 

 

 それまで7連敗していたライオンズは勝って交流戦を終えた。今シーズンの最多得点、2回目の2桁得点での見事な逆転勝ちだった。

 

 

 その試合でライオンズは4発のホームランを打った。外崎選手のほかに、長谷川信哉選手(21歳)、渡部健人選手(24歳)、岸潤一郎選手(26歳)の3人が打った。この3選手は開幕時は2軍にいて、最近1軍に昇格してきた選手たちだ。

 

 

 

 

 

 

 余談になるが、私の妻も博多生れだから昔からライオンズファンだ。先日ライオンズの試合をテレビ観戦しながら面白いことを口にした。

 

 

 「最近のライオンズのメンバーを見ても知っている選手がほとんどいない。西武を出ていった(浅村)栄斗君、(炭谷)銀(仁朗)ちゃん、(秋山)翔吾君は元気にしてる? 涌井(秀章)君や岸(孝之)君はどうしてる?」

 

 

 私は次のように答えるしかなかった。

 

 「皆さん、他のチームの中心になって頑張っておられます」

 

 

 

 

 さて23日(金曜日)から、プロ野球はまたセ・パに分かれて再開する。

 

 

 

( 松井稼頭央監督。現役時代は走攻守揃った名遊撃手だった。)

 

 

 

 ネット記事によると、ライオンズの松井稼頭央監督は、中村剛也選手や2軍で好調な打撃を見せている呉念庭選手の1軍復帰や、ドラフト1位・蛭間拓哉選手(22歳)の1軍初昇格を予定している。蛭間選手は高校・大学時代から日本代表を経験し、2軍でも3割を打って現在打撃成績2位につけている。

 

 

 

 この松井監督のリーグ再開に向けた選手の入れ替えニュースが流れた後の、ファンからの書き込みをふたつ転記しておこう。

 

 

 ”・・・「ドシッと構えて戦っていきたい・・・」相変わらず具体性に欠けるコメントで先が思いやられます。戦力不足は理解するけど、選手の入れ替えやそれによるチームの活性化など勝つためにやれることをやってこなかった点が、低迷の一因ではないだろうか。今回蛭間も呉も合流するとのことでそこは楽しみ。監督の勝負勘の乏しさにはもう諦めに近い感情を抱いていますが、これから先は渡部、長谷川、鈴木らを我慢強く使い続けて、その上で勝利することができたら希望も見えてくる。例え弱くてもせめてファンが納得できるようベストを尽くす努力をしてほしい”

 

 

 ”・・・この際、今年は優勝が見たいなんて贅沢は言いません。というより現実的に難しい。期待したくなる若手がチラホラ出てきたことですし、今年は監督も含め土台作りの年に切り替えていただきたい。この若手が育てばまた近いうちに打撃のチームになって。”新・山賊打線”と言われる日がくることを願いたいものです”

 

 

 

 ライオンズの残りはまだ79試合もある。私にとっては若手の成長等まだまだ楽しみな2023年シーズンだ。

 

 

 

 妻がテレビで応援している私を見てよく呟く・・・「本当にファンって、ありがたいものね」

 

 

 私は返した・・・「おっしゃる通りです」

 

 

 

 

( 数年前、当時のメットライフドームに観戦に行った時、中村剛也選手が満塁ホームランを打った。その直後の様子。)

 

 

 

 ・・・・・ファンとは今も昔も、応援するチームが低迷を続け負け続けると、そのチームを強くしたい一心で時には厳しい声も投げかける。しかし、大好きなチームが強いチームになることを誰よりも願い、チームが勝てば誰よりも喜んでくれる人たちなのだ。

 

 

 

 

(注)最後の写真を除き、写真はネットよりお借りしました。ありがとうございました。