1月27日、白血球数が2100しかなくて抗がん剤が打てなかった夫だったが、30日は2600、2月3日は3100と復活し、無事打てることになった。

 

 髪の毛はというと、少し伸びて髪の流れができている。これ以上伸びるかどうかはわからないが、夫に言わせるとこれだけでも全然安心感が違うらしい。

 看護師さんに聞いたところ、このアムルビシンの場合は脱毛については本当に個人差があるらしい。やっぱり全部抜ける人もいれば、まったく抜けない人もいる。そして夫のように、一度抜けてもまた生えてくる人もいるそうだ。

 

 夫的には髪の毛が無いことが結構淋しいようで、

「できればどこかで1回、休薬して髪の毛が生える期間が欲しいなあ」

と言っている。

 副作用が辛いとかじゃなくて、髪の毛が無いことがとてもとても淋しいらしい。

 この先、休薬なんてあるのかなあ……と思ったけれど、

「うーん、そのうち薬が変わって、免疫チェックポイント阻害薬だったらそういう期間もあるかもしれんねー」

と言っておいた。

 

 さて、そんな髪ガチャ抗がん剤である『アムルビシン』だが、副作用として「食欲不振・下痢」がある。

 夫の場合、7日目ぐらいから下痢の兆候が表れ始め、それから4日間ぐらいずっと下痢だったが、食欲不振とは無縁だった。

 もともと夫は食べることが大好きで、寝ることや遊ぶことを我慢することはできても食べることは我慢できないタイプなのだ。

 なのに2月4日、二日目に打って帰ってきたあと、夫が

「食欲がない……」

と言い出した。

 絶対にしている夕方の間食もスルー。夜は夫が作ったラーメンを二人で食べていたが、途中で

「駄目だ、もう食えない」

と言って捨ててしまった。

 

 これには相当慌ててしまった。食べることが大好きな夫が食べ物を捨てるなんて!

 食べられないとなると栄養がとれなくなり、また昨年1月のような入院騒ぎになってしまう。どうしたらこういう場合でも栄養が取れるのだろう、やっぱりゼリー系だろうかと少し考え込んでしまった。

 この日は「プリンは食べられそう」と、これまた夫が自分で作ったプリンをちまちまと食べ、かなり早めに就寝した。

 

 翌日、よく寝たのか少し調子は戻り、お茶漬けぐらいなら食べられるようになっていた。食べると胃が落ち着いて気持ち悪くなくなった、と言っていた。

 なんでも昨日のラーメンのときは、胸とお腹が気持ち悪くてどうしても食べ物が受け付けなかったらしい。

 

「まさかこの俺が『食欲が無い』なんてセリフを言う日が来るとは……」

 

と、本人もショックを受けていた(微妙にショックの受け方がズレている気もするが)。

 そのあともちょっと気持ち悪くなることはあったが、食べると胃腸が落ち着くということがわかったので、そのとき食べられるものをきちんとお腹に入れるようにした。

 すると何だか慣れたらしく、途中で止めてしまうようなことにはならなかった。

 

 下痢については、前回の反省から6日目の日曜の夜から下剤を飲むのをやめた。

 すると月曜日からグルグルが始まり、かといって水便ではないちょうどいい感じの排便になった。やはりどうしても頻度は高くなるが、お尻が痛くなることもなく無事に乗り切った。

 下痢の方は昨日、10日目ぐらいで治まり、再び便秘傾向に向かっていったので今日から下剤を飲み始めた。

 

 白血球数に関しては、12日の木曜日(10日目)に1400だったためフィルグラスチムを打つことになった。

 看護師さんによるとジーラスタには良い白血球を作る力があるので本当はそっちの方がいいらしいのだが、

「どのタイミングで打つのがいいのかよくわからないから」(担当医・談)

という理由でとりあえず無しになった。

 

 そして本日、金曜日。

 夫は元気いっぱいで

「ゲーセンに行きたい!」

とうるさい。

 

「今日はダメ」

「何で?」

「白血球数が低くて昨日今日とフィルグラスチム打ったでしょうが」

「だから上がってるって! ほら元気、元気」

「前に大ハズレだったから当てにならない」

「いや、今度は大丈夫!」

「何の大丈夫だ! 明日の採血で2000以上だったら明日行こうよ」

「今日行きたいー」

「ダメー」

 

 ……はたして、折れるのはどっちだろうか。