【G-2】ゾルンホーフェンとは | 【化石×旅】 KASEKIYA店長の旅日記

【化石×旅】 KASEKIYA店長の旅日記

世界で化石の仕入れや化石採取、ちょっと普通と違う旅(?)

2015年秋のはなし~

 

 

前回のブログで

ドイツで化石採取に行くことに決めました

天気がよいといいのですが
悪いと化石採取ができません。
ゾルンホーフェンの町のパン屋さんで、アンモナイト型のパンを売っているとの
情報を知り合いから聞いたので、
化石採取が出来なければ、パン屋さん探しでもしようか・・・

ちなみに今回行く化石採取場は一般の人でも
お金を払えば化石採取ができる場所です。
ハンマーやタガネのレンタルもあります。

出発までもう少し、
気持ちが盛り上がっているわけですが、

そもそも

「ゾルンホーフェンってなに?」

ってことです(笑)

ゾルンホーフェン
ゾルンフォーフェン?
ソルンホーフェン???

Solnhofen


◆世界有数の化石産地【ゾルンフォーフェン】とは?

ゾルンフォーフェンはドイツバイエルン州の中央付近に位置する小さな町です。 
ミュンヘンから北に100kmほどはなれた場所にあります。 
周辺のアイヒシュテットやメルンスハイム、ティッティングといった町を含めて 
世界的に有名な化石産地なんです。

この地域には「白ジュラ」と呼ばれる石灰岩が分布しています。 
この石灰岩は水平な層理(平衡層理)が発達しており、 
層理に沿って石板状に剥がれるように割れ、 
古くから建材として世界中で利用されています。 

また、19世紀ごろから石板印刷(リトグラフ)にも使用されてきました。 
この石板石石灰岩(プラッテンカルク)は日本でも「ジュラストーン」とよばれ、 
広く建材として出回っています。 

これら、ジュラストーンの中には化石が保存されていることもあり、 
しばしば、日本の住宅の庭先などで、 
ゾルンフォーフェンの化石が見られることもあります。 
ゾルンフォーフェン周辺の化石は建材として利用するために切り出された 
石板石石灰岩の石切場から見つかったものが多いんです。

「白ジュラ」こと石板石石灰岩の起源は 
ジュラ紀後期(約1億6000万~1億4500万年前)です。 
「白ジュラ」および、そこに含まれる生物の化石化作用についての 
見解は諸説ありますが、その一例を簡単に説明します。 

当時この地域は亜熱帯の暖かい海が広がっていたと考えられています。 
当時のゾルンフォーフェン近郊は浅瀬で外海から隔てられた 
礁およびラグーン(潟湖)が形成されており、 
外海と隔離された海水は、塩分濃度が高い状態であったり、 
酸素不足の状態であったと考えられています。 
つまり生物にとっては非常に生息しにくい環境だったのです。 

浅瀬とはいえ、水平な地層が堆積しているわけですから、 
波の影響を受けない深度よりは深い場所 
(少なくとも静穏時波浪作用限界水深、約二十m以深)で 
堆積した地層と考えられ、ラグーンはそれなりの深さがあったと考えられます。 

時折、嵐などで海水と共に生物が外海からラグーンの中に流されてきます。 
ラグーン内に流されてきて外海に戻れなかった生物はそこで息絶えてしまいます。 
この生物が生息しにくい環境は死骸を分解する生物も少なく、 
また、地層をかき乱す底生生物(ベントス)や死骸を食べる 
腐肉食者(スカベンジャー)も少なかったと考えられています。 
さらに、生物の死骸の表面を覆うバクテリアが保護層になったとも考えられています。 
ゾルンフォーフェン近郊で産出する素晴らしく保存状態のよい化石はこのような条件が重なった結果と考えられています。

ゾルンフォーフェンから産出する化石は多種多様です。 
魚、海生爬虫類、甲殻類、棘皮動物、アンモナイトなどの海に生息する生物の他に、 
始祖鳥や翼竜、植物、昆虫、そして恐竜など、陸上の生き物の化石も産出します。 
近くに森があり風などによって海面に押し付けられた翼竜や 
昆虫が沈んで化石になって発見されるのだと考えられています。 

ゾルンフォーフェンの町を世界的に有名にしたのが 
始祖鳥( Archaeopteryx)化石の発見です。 

始祖鳥ベルリン標本(レプリカ、KASEKIYA所蔵)

 

始祖鳥の化石は現在14例(?)程度しか報告されていません。 
1860年に羽毛の化石が発見され、 
その後1861年にゾルンフォーフェン近郊のLangenaltheimで 骨格化石が発見されました。 
最初に発見された羽毛の化石は現在、 
ベルリンのフンボルト自然博物館に所蔵されています。 
 

始祖鳥ゾルンホーフェン標本(レプリカ、KASKEIYA所蔵)

 

始祖鳥アイヒシュテット標本(レプリカ、KASEKIYA所蔵)

 


その後に発見された骨格化石は現在、ロンドン自然史博物館(大英博物館)に所蔵され、「ロンドン標本」と呼ばれています。 
ちなみに教科書などによく掲載されているのは「ベルリン標本」と呼ばれる始祖鳥の化石で1877年にアイヒシュテットのブルーメンベルクで発見されました。 
こちらの標本も現在ベルリンのフンボルト自然博物館に所蔵されています。 
最新の標本は2014年に発見されました(2015年現在)。

 

恐竜と鳥の中間のような形の始祖鳥化石の発見は

ダーウィンが進化論を発表した時期とも重なり

ゾルンホーフェンの地名は世界中に知れ渡ったのでした。

 

 


すいません。
長い文章を読んでいただいたかた
ありがとうございます。

 

つづく