青年は大学生の頃に男友達とルームシェアをしていた、1LDKに男二人はとてもじゃないが快適とは程遠い生活だった…。
…友人は‘‘N’’としよう。
Nと共にコンビニへ夕飯を買いに行った時…青年とNはそこで出会う…
凛とした艶やかな黒髪の女学生に。
(まあ、そんな違和感のある時間じゃないし…)
2人はコンビニを後にし、帰路につく。
2人には日課がある、散歩をしながら音楽を考える事だ。
彼らはバンドを趣味としていたのだ、
散歩中見えた見慣れたコンビニ…………居た。
心配とは別の感情が芽生える…
堰を切ったようにNが言う。
「あれって、これ?」
彼は腕を曲げ手首だけを下にぶらんと下げた。
「そんな訳ないだろ」 信じたくない。
とは言え、女の子1人こんな場所ではと思ったのは至極当然の感情である。
Nはお調子者であり、人見知りをしない…
結果はお察しだ、連れてファミレスへ直行した
もちろん保護である…説教の対象でもある。
「君のしている行動にどれだけのリスクがあり
僕達が悪い人間の可能性だってある」
口から説法を垂れる青年をNは止める。
(震えて…いる?)
よくよく考えるとおかしいのだ…雨が降っていないのに綺麗な黒髪は少し濡れていて雨なのか涙か分からないがテーブルを光らせている。
昨日ホラー映画を見た事を後悔した…。
だが、その心配はすぐに杞憂になる。
よく聞くと家出だそうだ、
空が黒くなる頃にコンビニの前に1人、聞くまでもなく色々と察することは出来る。
話は深く聞かずオムライスを3人で食べた、食欲があって安堵したのを覚えている。
最後に名前だけを教えてくれた
なぜ教えてくれたかは分からない
何か意味があったのだろうか
「ここで」
そう彼女は言い捨てると 送り届けた閑静な住宅街へと紛れていった。
それから数週間経った頃に青年達の生活に少しだけ変化が訪れた。
おそらく近くに猫が住み着いたのだ。
最初に発見した僕は思わず笑ってしまった、
野良猫なのに黒く凛とした艶やかな毛並みをしていたのだ。
そう、あの子のように。
それから管理人に悪いと思いつつ餌をあげる生活が始まった。
「今日もご飯だよ ‘‘ユキチャン’’」