先月、東京国立博物館で開催中の
『本阿弥光悦の大宇宙』展
を観てきました。
2024年3月10日(日)まで東京国立博物館で開催中です。
本阿弥光悦は江戸時代初期に生きた芸術家です。
展覧会のキャッチフレーズ
『始めようか、天才観察。』
とあるように、書や陶芸、茶道、漆芸などをこなした天才。マルチクリエイターでした。
総合芸術流派の「琳派」を興こした人としても知られます。
彼の活躍にはふたつの要素があり、
①刀剣鑑定、研磨を行う名門家系に生まれた。
日本刀は刀以外の鍔(つば)や鞘(さや)にも木工や蒔絵など様々な技術を要し、彼は幼い頃からその家業に従事してきた。
②法華宗への深い信仰をもち、京都の職人たちと血縁と信仰をかさねて強いネットワークを築いた。
高い審美眼と技術でつくりあげられた作品のなかには国宝、重要文化財に指定されたものもあります。
一番印象にのこった作品はやっぱりメインビジュアルにもつかわれている
国宝 船橋蒔絵硯箱
です。
フタの中央がふっくらと隆起し角がなく、恐れながらも『この手で触れてみたい』と思わせるフォルムです。
金の部分には舟と水流が描かれており、中央の黒い部分は橋をあらわしています。
後撰和歌集にある歌が銀字で散りばめられているのも、彼の知識の高さと洒落感をかんじさせます。
(チラシの写真より)
13.5メートルにも及ぶ『鶴下絵三十六歌仙和歌絵巻』も圧巻でした。
俵屋宗達の鶴の下絵に光悦が和歌をしるしています。
濃淡をつけた文字は奥行きを感じさせ、鶴の羽ばたきに舞いおどっているかのようにも感じました。
一発勝負の仕事ですから、度胸とセンスが必要になります。
自分のアビリティーを信じ切った仕事、とも言えるのではないかと思いました。
かれの多才さを見せつけられた展覧会でしたが、もとをたどればやはり
・審美眼
・信仰心
から「創造性」をもって大きく広がっていったのだと思います。
そもそも人間の「創造性」というのは脳のどんなはたらきによっておこるのかを調べてみました。
興味深い記事を見つけました。
『WIRED』のサイトです。
https://wired.jp/2018/03/31/brain-network-creative-person/
要約しますと…
創造性とは現在持っている情報から新しいものを作り出す力、です。
創造性には脳の3つのネットワークが関わっています。
1 デフォルト モード ネットワーク
安静時やなにかをぼんやり空想している時の「基礎状態」ではたらく脳のネットワーク。
独創的な考えを思いつくためのブレインストーミングとして重要。
2 実行機能ネットワーク
思いついたアイデアが実際に使えるかどうかを評価したり、目標にむかって修正したりするときに起こる脳のネットワーク。
3 顕著性ネットワーク
1と2を切り替えるスイッチのような役割を持つ脳のネットワーク。
普通は1、2、3が同時にはおこりにくいところ、創造性、独創性がある人はこれらを連携して働かせることができるそうです。
面白いですね。
また、これらのネットワークは人によって「ある」か「ない」かなのではなく、どこまで広げていけるか、ということです。
子どもの頃に抱いた小さなひらめきが思わぬところで役に立った、ということがあると思います。
子どものころ遊びに使っていたアイデアが料理のマイレシピをつくったり、壊れたものを使える程度にDIYする…などの作業にいかされることってありますよね。
また、よく右脳型のひとがクリエイティブ…なんてききますが、創造的な脳のネットワークというのは脳全体の複合的な働きなのだそうです。
そして「退屈」や「不幸」、そして「散らかった部屋」に身を置いているとクリエイティブ能力が高まる、というのも面白いとかんじました。
わざわざ不幸になることはありませんが、ピンチに直面した時には「今ならたくさんのアイデアが思いつくぞ!」とポジティブにとらえることができるかもしれませんね。
光悦は作品に取り入れられたモチーフをみていても大変な知識人だったのが分かります。
豊富な情報からまず小さなアイデアをもち、そのアイデアを2転3転…と、大きく波及させていったのかもしれません。
私もこれから美術展を問わず、何でも興味を持って見に行き、少しずつ知識をたくわえていきたいです。
そして自分の作品へのエッセンスにしていけたらと思います。
映像のブースでは写真撮影も可能でしたよ。
刀剣って、こんなにも美しいんですねぇ…
(うちの包丁とは大ちがい。)
改めて
「本阿弥光悦の大宇宙」展は
2024年3月10日(日)まで上野の東京国立博物館にて開催中です。お急ぎください!
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます。
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