わたしが看護学校に通っていた25年ほど前というのは、看護師そのものの立場が変化しはじめた時期だったと思います。
男性看護師が登場し、わたしの1つ下の学年から男子生徒が入学してきました。
また、必死で勉強して入った国立大学付属の学校でしたが、まだ当時は短期大学で「4年生に編入して学位を取ることも考慮しては」なんて教授から言われて衝撃だったのを覚えています。
看護師の地位を確立させようという気風がたかまっていた頃だったのではないかと思います。
一番ショックだったのは・・・
学校に「戴帽式」なるものがないということでした。
理由もよくわかりませんでしたから、自分たちで企画・開催しよう!ということになったのですが、これを聞きつけた先生が飛んできて
「必要ありません。
もともとナースキャップはキリスト教のシスターの帽子です。うちは国立の学校です。
そもそも私はナースキャップ自体なくして良いと思ってます。
アメリカの看護婦はキャップなんて被ってませんしね。」
とそっけなく言うのでした。
わたしには全く意味がわかりませんでした。ナースキャップをなくす?いらない?
戴帽式どころかキャップの存在まで否定されて頭が混乱しました。
キャップをかぶって働く、と言うのが憧れでしたし、キャップがナースとしての誇りそのもののような気がしていたからです。
その後、なんとかナースキャップを頭に乗せて実習には出ることができました。
はじめてかぶった時には夢が叶った!と言う気持ちでいっぱいでした。
その後付属の大学病院に就職し、男性も女性も「看護師」に統一されました。
そして3年目の頃にキャップが全国に先駆けて廃止となりました。
その時に思ったのは・・・
「スッキリした〜」(笑)。
実はあのキャップ、すごく邪魔です。
患者さんを抱えるのに目を突くなどの怪我をさせはしないかと心配でしたし、ピンで髪の毛に固定しているものですから、ガサッと何かに当たるととても痛いです。
そして、「格好で仕事をするわけではないのだ」ということに誇りを感じたのです。
キャップに誇りを感じていた学生時代から、少しはわたしも成長したのかな、と思いました。
今ではキャップをかぶっている施設の方が少なくなってきたようにおもいます。
キャップがなくても
「看護師さん」
と呼んでいただけるのはうれしいな、と思います。
きょうも読んでくださってありがとうございました。