GW中の最高に注目すべきニュースは、ブッシュ政権を批判した映画「華氏911」が、
税制優遇を受けるディズニー社から配給を中止されたというものだとつぶやきで書いた。
そしてその作品が22日、カンヌ映画祭で最高賞を受賞した。
その監督の前作映画が「ボウリング・フォー・コロンバイン」である。
「華氏911」がカンヌ映画祭で最高賞を受賞したニュースを見て、
僕はレンタルビデオ屋に駆け込み、前作を借りてきたわけだ。
「映画」というか完全な「ドキュメンタリー」だが、もう無茶苦茶おもしろい。
というかすばらしい!
これほどまでアメリカ社会の問題点と真正面から向き合った作品を僕は知らない。
もう大絶賛ですね。
今、生きている人はすべて見た方がいい。
中学校の社会の授業で取り上げるべき映画ですよ、これは。
タイトルの「コロンバイン」とは、アメリカで1999年、高校生が銃を乱射した高校の名前。
その事件と監督の地元で起こった6歳の少年が6歳の少女を銃殺するという2つの事件を発端に、
アメリカの社会構造に迫るドキュメントだ。
ここでおもしろいのは、単にアメリカが銃規制をしないからだとか、
アメリカが流血の歴史が多いからというのが理由ではなさそうだということがわかるからだ。
監督自身も突撃取材をしていく中で驚くべき事実を発見する。
ほとんど銃による殺傷事件が起きないカナダでは、
1000万世帯中、700万丁も銃を持っていることがわかる。
しかもカナダではほとんどの人が玄関に鍵をかけないという事実も驚きだった。
「流血の歴史」については、ドイツしかり日本しかり、イギリスしかりフランスしかり、
大虐殺や好戦的な歴史国家は他にもあったが、現在、それらの国で銃による殺人事件は、
アメリカの比にならないぐらい少ない。
なぜ、アメリカに銃がはびこり、簡単に銃で人を殺してしまうのか。
高校生銃乱射事件で犯人が心酔して聞いていたために、
とんだ筋違いの厳しい批判を受けたハードロック歌手、マリリン・マンソンへのインタビューで、
彼はこう語っている。
「……洪水、エイズ、殺人……メディアは恐怖と消費の一大キャンペーンをつくりだす。
そしてこのキャンペーンは、人々を恐がらせることによって消費へと向かわせようとする発想に基づいている。
その恐怖心が人を銃に向かわせるのだ。」 と。
その時、あまりピンと来なかったが、その言葉を裏付けるような取材活動を監督がする。
アメリカの犯罪は実はここ10年、20%減少しているにもかかわらず、
メディアが凶悪犯罪を取り上げるのは600%だという。
しかもそのおかげで、さまざまな自己防衛グッズが大変儲かっている。
驚きなのは、近所のスーパーで銃や銃弾が売られていて、
銃も銃弾も飛ぶように売れている。
そこに9.11テロが起きて、もうあちこちぼろ儲け企業が出て、
しかもそれが政府とグルになってどんどん恐怖を煽って戦争をするから、
さらに儲かるという、政府、メディア、企業が、
アメリカ国民に「恐怖」を飢えつけることで、ぼろ儲けしている社会構造が明らかにされるのだ。
なるほど「恐怖」か。
すると、まさしく、マリリン・マンソンの言葉は至言なわけだ。
ニュースで戦争や犯罪を取り上げ恐怖心を訴えたあと、ぱっとCMに切り替わって、
その恐怖心を利用して物を買わせる。
しかもそれは単に「自己防衛グッズ」に限らず、
「口臭がくさいと人から嫌われる」とか、「いい車に乗らないと女とやれない」とか、
そういった「恐怖心」を煽って消費行動を促進させるという、
非常に全般的な「洗脳」になっているのだ。
なるほどと思った。
だから恐怖心におののくアメリカ国民はバカのブッシュを支持するのだ。
恐怖心におびえ銃を買い込み、簡単に人を殺す。
それはアメリカ国民の行動でもありアメリカ国家そのものの行動でもあるのだから。
またなぜ凶悪犯罪が起きるかについて「暴力映画」だの「テレビゲーム」だの「アニメ」だのに責任を押し付ける人にも、
この映画で一定の考察をしている。
暴力映画が好きなのはカナダでもそうだし、暴力ゲームを生み出しているのは日本だけど、
カナダも日本も銃による殺人事件は極めて少ないと。
やはりそういったことを考えても、アメリカの異様な社会の原因は、
恐怖心を駆り立て、消費行動を煽り、それによってぼろ儲けしている、
メディアであり政治家であり軍事産業であり、全米ライフル協会であることを、
見事にこの映画で描き出している。
もう何度も何度も見返して、メモをとってみたい映画。
絶対みるべし映画でしょう。
「華氏911」も早く見たいなと思う。