夏休み前、担当している6年生のお父様からこんな相談を受けました。

 

父親「先月の月例テストで70あった国語の偏差値が、今月の月例テストでは56まで下がってしまったんです。国語の勉強の仕方が悪かったのでしょうか。勉強方法を変えるなど、何かすぐに手を打った方が良いのでしょうか?」

 

そこで成績表を見せてもらうと、国語とは逆に算数と理科の偏差値が先月の55~56からともに60まで上がっていました。

 

父親「算数、理科は良くなったので4教科の偏差値は62で変わらなかったのですがね」

 

この成績表を見せてもらい、すぐに2つのことがわかりました。

 

1つ目は、この子がこのテストで発揮した全体の力は先月も今月も同じだということです。

きっと、先月は国語の成績がとても良かったので、あと算数、理科をもう少し頑張れば目標校への偏差値まで届くと思い、今回のテストではここに勉強時間を使ってしまい、多少国語がおろそかになってしまったのだろう、ということです。

まだこの時期の6年生ですと、国語が得意と言っても、算数、理科を意識して頑張るとそちらに力を使ってしまい、国語までは集中力がまわり切れないということなのです。

 

2つ目は、時間が限られているときには国語に集中して取り組ませれば、すぐに国語の成績を大きく伸ばせる能力を持っている、ということです。

偏差値70ということは、そこまでの理解力があるということで、最終的にこれは大きな武器となります。

 

長い間子供達の偏差値を見てきましたが、偏差値はこういう面に関してはとても正直に、そして正確なデータを提供してくれるものだと思います。

 

私「前回は国語がとても良くできたこと、今回は算数、理科でも今までにない偏差値を取れたことを喜んであげて下さい。この時期ですと1つの試験内でも、どこかで頑張ればその他では力が抜けてしまうのは当たり前ですから、勉強の仕方を変える必要は全くありません。頭の持続力がついてくる夏休み以降には、どの教科でもそのときの最高にまで持っていけるようになるはずですから心配はいらないですよ」

とお話しして納得してもらいました。

 

すぐ後で本人に聞いてみましたが、テストに向けた彼の取り組み方は、ほぼ私の予想通りの答えが返ってきました。

 

大人ではあまり考えられないような成績の変動は、子供達には当たり前のことのようによくあることなのです。

ですから、ここであわててあれこれやると逆に長い迷路に入ってしまい、成績がどんどん下がってしまうというケースが多いのです。

このようなときには全体の偏差値をみて判断することがとても大切なのです。 〔 カーネル笠井 〕