子供向けの漫画雑誌の『少年』は、私の小学生の頃の愛読書でした。

 

分厚い本の間に前号で予告されていた沢山の付録が詰め込まれていました。

それがこぼれ落ちないように、十字型にひもが架けられていたのです。

『少年』は連載漫画が中心に掲載された月刊誌でしたが、毎号読み物や様々な情報記事などもたくさん載せられていました。

そんなものも含め、私はこの雑誌の隅から隅まで読みあさっていたのです。

 

そんな1回限りの読み物の中で、今でもその結末をはっきりと覚えているものがあります。

それは、盗まれてしまった大切な薬を捜すという内容の探偵物でした。

 

“エマラテッド”という未知の薬が盗まれてしまい、その行方を、探偵たちがあれこれと考えをめぐらせながら捜していくという物語でした。(何に効く薬なのかは忘れてしまいました)

行方を捜すその過程に、ハラハラドキドキしながら読み進めていきました。

しかし、最後までこの薬を見つけることはできなかったのです。

 

ところが、この物語の結末がとても意外なものだったのです。

それは、“エマラテッド”をアルファベット(ローマ字)で書いて、それを逆に読んで解決した、というものだったのです。

 

習い始めたばかりのローマ字で一生懸命に書いて試してみました。

“EMARATED”と書いて逆に“DETARAME”と読むと、なんと“でたらめ”になるのです。

結局、そんな薬はなかったという“おち(・・)”だったのです。

 

少し拍子抜けした気持ちと、この発想におどろいた気持ちが入り混じり複雑な気持ちになったことを今でも覚えているのです。

 

このような逆読みが問題の解決につながるというお話はそれ以降にもいくつか出会ったことがあります。

しかし、私の中ではこの話が一番印象深いものでした。

 〔 カーネル笠井 〕