この時期になると、よく父母からこんな質問をされます。

「受験校の過去問演習を家で時間を決めてやった方がいいのでしょうか?」

といった内容のものです。

この答えは『はい』の場合と、『いいえ』の場合があります。

まず1回、規定時間でやってみて、合格基準点をクリアーしている生徒ならば『はい』です。

もしこれがクリアーしていない生徒ならば『いいえ』なのです。

たとえば、合格基準点が60点のとき、1回目の過去問演習で60点とれていれば、これを1ヶ月続けると平均65点まで取れるようになります。

この時期の子供の学力の伸びはこの程度のものなのです。

一方、50点しか取れなかった生徒がこれを1ヶ月続けると平均して45点しか取れなくなってしまうのです。

きっと、60点取れた生徒はもっと頑張って安全圏までもっていこうと前向きに取り組みます。

ところが合格基準点に達していない生徒は、もっと急いでやらなければとあわててしまうのではないでしょうか。

子供はあわててやらせると全く学力が伸びないものなのです。

 

この例外となる生徒は、できなかった問題を何時間もかけて納得するまで復習できる子だけです。

そのためには睡眠時間をもけずっているのです。

では、どうやって効果的に過去問演習をすれば良いのかと言うと、たとえば制限時間が50分のテストであっても、合格基準点に達するまでいくらでも時間をかけてやる方がいいのです。

それでも、1時間30分ぐらいが限度でしょうか。

普通の問題演習では40分くらいで集中力が途切れてしまいますが、過去問演習ということになると1時間30分もの長時間の集中力が可能になるのです。

そして少しずつこの基準点に達するまでの時間を短くしていく努力を続けるのです。

入試に間に合わなくてもかまわないぐらいの気持ちで待ってあげてください。

制限時間をオーバーしても合格基準点をクリアーできる子は合格する可能性は十分にあります。

内容が良く理解できている問題は、すぐに短時間で解けるようになるものだからです。

 

小テストをしていて、『解けそうだからあと5分待って欲しい!』という生徒には、終了しないでそのまま続けさせます。

見ていると一心不乱に取り組んでいます。

あと5分が、あっという間に15~20分が過ぎてしまいます。

時折、このように顔をのぞかせる子供の集中力。

時間の無駄のように思えますが、それは全くの逆で、こんなときそれを中断させるようなことはもったいなくてできません。

こんなときほど、子供の思考力、そして学力がのびている時間は他にはないからです。

 

これは受験直前になってもでも同じで、その先の学習にもつながるものなのです。 〔 カーネル笠井 〕