今朝も6時ころから“ホーホーボッボッ、ホーホーボッボッ”という低い鳥の鳴き声で目をさましました。

キジバト(ヤマバト)の鳴き声です。

 

子供の頃、家の高い庭木の上に巣を作り、低い声て “ホーホーボッボッ” と鳴くのを、他の動物の鳴き声と間違えて不気味にさえ感じていましたが、今はそのころをなつくしく思いながら毎朝聞いています。

年齢のせいか、早起きもあまり苦にならなくなったからです。

 

キジバトは羽にうすい茶色が混じった地味な色をしており、ヒトにはめったに近づきません。

これと間違えられるのが公園にいて人からエサをもらっているドバトです。

こちらは “クッククック、クッククック” と可愛らしく鳴きます。

 

もともとドバトは人に飼われていた伝書バトが野生化したもので、そのためか人にはすぐになつくのです。

子供の頃、となりの家のお兄ちゃんも屋根の上に巣を作り、十数羽の伝書バトを飼っていました。

屋根の上に巣を作るのはネコに襲われないようにするためです。

ちょうど宮崎駿監督の映画『 天空の城ラピュタ 』に登場する少年バズーが飼っていたのと同じようにです。

 

このころは多くの家で伝書バトが飼われていて、このハトによるレースもひんぱんに開かれていました。

東京近郊で飼われているハトを北海道あたりまで車で運び、そこで放すのです。

するとハトは帰巣本能により、自分で自分の巣のある方向を見つけて帰ってくるのです。

そして、その時間を競うというものでした。

そんなレースですから、途中で道に迷ってしまいそのまま野生化したものも多いでしょう。

また、飼われているだけのハトでも昼間は自由に巣に出入りできるようにしてあるので、しばらくエサをやらなかったりすると帰ってこなくなってしまうのです。

 

ドバトは伝書バトの子孫のせいか空を飛ぶことには自信があるようです。

お腹をすかせたカラスがドバトをつかまえようとして近づいてきても平気です。

20~30cmの至近距離にまで近づかないと逃げようとしません。

いったん空に舞い上がってしまえば、もうカラスにはどうにもならないことがわかっているからでしょう。

 

ある日子供を連れて公園に行き、そこでハトにエサをあげていました。

このとき、たまたま子供の投げたひもがハトにからみついてしまいました。

びっくりしたハトがあわてて空に舞い上がりました。

ところがひもが引っかかっているためか飛び方がぎこちなくなってしまいました。

すると、どこからともなく大きなカラスがそのハトをめがけて襲いかかってきたのです。

空中で2匹は接触し、そのときハトは大きく方向を変えました。

そのときのしょうげきでうまくひもが外れ、かろうじて逃げることができました。

 

ひもを投げたわが子を見ると、顔は青ざめ、体はまさに固まっていました。

何気なくふざけてやった自分の行為がハトの命をあやうくしたことがわかったようです。

十分に反省しているようでしたので、

「助かって良かったね。」

とだけ声をかけました。

 

わが家の近くに住み着いたキジバトにはつがいもいて、こちらは “ボッボッグルグル” なんて鳴き声を上げています。

駐車場の上の電線に止まって鳴いているのもちょくちょく見られるようになり、ペットが1つ増えたような気分になるのです。

ただ、鳴き声をうるさく思う人が出てきて追い払ったりしないで欲しいな、と願うのです。

 (カーネル笠井)