『Evolution』Tony MacAlpine(1995) | Welcome Back My Friends to the Blog That Never Ends... Ladies and Gentlemen

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手持ちのCDの感想を書きつらねるブログ

せっかくブログを作ったので。
購入したまま聞いていないCDもあるので、手持ちの音源を聞いていき感想を書いていこうかと。
レビューや解説ではなく、あくまで記録としての感想。もしくは独り言。

 

22枚目はコレ

トニー・マカパインの続き。通算7枚目のソロアルバム。前々回の記事に続き、購入動機はトニー・フランクリンの参加アルバムなので。

今作の参加ミュージシャンは、ベースにフランクリン、ドラムにマイク・テラーナ。マイクを知らなかったため検索したところ、イングヴェイやアーテンションで叩いていたため、ネオクラよりのドラマーなのだろうか。キーボードはいつものようにマカパインが兼任。

 

いきなりネオクラ全開の音色とフレーズのキーボードから、アルバム一曲目の"The Sage"が開始。ネオクラと見せかけて、ギターのメロディーは中東風なので、様々な要素をミックスしたということだろうか。ドラムのツーバスが力強い。様々な要素を混ぜつつも、ハードなロックインストに仕上がっている。

"Oversea Evolution"は典型的なメタル風疾走チューン。サビ前にバックの音が消え、ベース、そしてギターが1フレーズのみ弾くという演出のアレンジがあるが、なぜかそこは7拍子。さりげなく変拍子を混ぜてくるのが、マカパイン流と自分は思っている。ありがちではあるが、1stの頃の単純なだけの疾走チューンではない。

"Eccentrist"はダークなミドルテンポのシャッフル。ベースがウネウネとうごめいて、より曲を妖しくしている。ロックのジャンルでこのスタイルを成立できるのは、フランクリン一人ではなかろうか。中盤に短いベースソロがあり、ベースが主役の曲と言っても良い。哀愁あるメロディーで、悲しいが、ただ泣けるだけの曲ではないのが素晴らしい。

"Time Table" も哀愁ある8分の6拍子の曲。ベースのリフが印象的。ソロ前のコード進行も盛り上がりがあり、マカパインが単純なネオクラとは袂を分かったことが分かる。3曲目と続けて物語性のある好きな曲。

"Seville" もミドルテンポの、切ないメロディー。ベースとバスドラのタイミングが複雑で、ロックながらも凝ったことをしている。ギターソロのレガート奏法や音使いがモロにホールズワースなのは、自然に出たフレーズなのか、狙ったものなのか、、、

"Futurism" はロックではなくフュージョン風の疾走チューン、、、表現が難しいが、けっして単純な楽曲ではないが、勢いで畳み掛ける曲。ある意味、ロックだが他の要素を吸収したマカパインだから成立する曲なのかも。ジャンル分けとしては、コロシアムIIに近いのかもしれないが、、、メンバーのぶつかり合いがメインだったコロシアムIIとはまったく印象は異なる。

"12の練習曲 作品10 第5番"はショパンのピアノ独奏曲。通称「黒鍵のエチュード」と言うそうで、難易度としては中の上、ピアノの専門家でなければかなり難しいピアノ曲とのこと。

軽快なピアノ曲に続いて、今度こそシンプルな疾走チューンの"Powerfield"。 ただし、メロディーそのものは早弾きをしておらず、歌うようなギターが印象的。所々でベースがフェイザー(ただのコーラス?)をかけて雰囲気を出している。進歩した疾走チューンという感想。

"Plastic People"もミドルテンポでヘビーな楽曲。ベースがウネウネと動いて印象的。とてもダークな雰囲気。

"Sinfonia" もハードでダークーでヘビーな楽曲。サビはメロディアスでキャッチーな感じだが、その対比が良い。切ないが、激しい曲。

"ピアノ協奏曲第21番"はモーツアルトの曲を、シンセをバックに、メロディーをギターが歌い上げるアレンジに。実験的な曲、、、と言ってしまえばそれまでだが、元々クラシックの素養があるマカパインなので、曲を自分なりに消化して弾いてるように感じる。ただし、この路線は以降のソロアルバムには無いようなので、本人的に納得できなかったのかもしれない。また、ただシンプルにギターを歌わせる、という技術についても、この頃のマカパインはまだ未熟に聴こえる。

 

楽曲のバリエーションがますます広がり、ネオクラ要素も含まれてはいるが、かなり幅広い要素のロックギターインストアルバムに仕上がっている。

また、通して聞くと、ベースの比重が前作の『Premonition』よりも大きくなり、要所要所で重要なパートを占めている。フランクリンのウネウネした図太いフレットレスが楽しめるアルバム、、、というのは、フレットレスベーシスト視点か。

 

ネオクラから離れたことから、ハードなギターインストとしては、好きな作品の一つ。もちろんトニー・フランクリンも参加しているから、と言うことも重要な理由。