10月期のカンテレ・フジテレビ系ドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」(毎週月曜午後10時~※初回放送日未定)で、長澤まさみは、約4年半ぶりに連続ドラマの主演を務めることが明らかになった。本作は、実在の複数の事件から着想を得て制作された社会派エンターテインメントで、長澤が演じるのはスキャンダルによってエースの座から転落したアナウンサー。彼女と共鳴した仲間たちが、連続殺人事件の犯人とされ死刑が確定した男の冤罪疑惑を追う。共演に眞栄田郷敦、鈴木亮平。脚本は、映画『ジョゼと虎と魚たち』(2003)や連続テレビ小説「カーネーション』(2011)などで知られ、本作で初めて民放連続ドラマを執筆した渡辺あや。演出を、長澤も出演した映画『モテキ』(2011)や大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」(2019)の大根仁らが名を連ねる。
タイトルのエルピス(Elpis)とは、古代ギリシャ神話で、中からさまざまな災厄が飛び出したと伝えられる「パンドラの箱(壺)」に唯一残されていたものとされ、良きことの予測として「希望」、悪しきことや災いの予測として「予兆・予見」とも訳される言葉。ドラマでは、深夜の情報番組のコーナーMCを担当する落ち目のアナウンサー・浅川恵那(長澤)と彼女に共鳴した仲間たちが、10代の女性が連続して殺害された事件で犯人とされ死刑が確定した男の冤罪疑惑を追う中で、一度は失った自分の価値を取り戻していく。真相に迫っていく過程で登場人物たちはさまざまな希望を見いだすが、自身や周囲、所属する組織に対し、痛みや破綻といった災いも降りかかる。
現在、語りを担当する大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も話題の長澤にとって、月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系、毎週夜9時~)以来の連ドラ主演となる本作。演じる恵那は、入社当初は抜群の容姿と好感度の高さから「10年に一人の逸材」と持てはやされ、ゴールデンタイムのニュース番組のサブキャスターを務めていた。しかし、複数番組を担当する激務のなかで次第に疲弊していき、徐々に人気に陰りが見え始めたところで週刊誌に路上キス写真を撮影され、ニュース番組を降板。現在は、社内や視聴者から「落ちぶれた」と後ろ指をさされながら、“制作者の墓場”と揶揄される深夜の情報番組「フライデーボンボン」のコーナーMCを担当している設定だ。物語では、番組で見せる華やかなアナウンサーの表情とは異なる恵那が抱える葛藤・苦悩が随所で描かれていくという。
主演ドラマ「カナカナ」(NHK)も記憶に新しい眞栄田が演じる岸本拓朗は、深夜の情報番組で芸能ニュースを担当する新米ディレクター。物語は、ひょんなことから拓朗が連続殺人事件の犯人とされる死刑囚の冤罪疑惑を知り、恵那に持ち掛けるところから始まる。弁護士夫婦の息子として裕福な生活を送り、能天気でマイペースな性格だがディレクターとしての実力・評価は低く、現場では怒られてばかり。一見何不自由ない人生を送っているように見えて、自分の価値を失った過去の出来事を記憶の底に抱えている。
主演を務めたTBS日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(2021)の映画化が決定している鈴木が演じる斎藤正一は、恵那と拓朗の先輩で報道局のエース記者。拓朗の新入社員時代に指導担当だった縁で、恵那と拓朗が追う連続殺人事件の冤罪疑惑について相談に乗る役どころ。面倒見がいい先輩として、そして政権中枢の要人とも懇意な間柄の官邸キャップとして、2人の味方となる。
劇中音楽を作曲するのは、連続テレビ小説「あまちゃん」(2013)、大河ドラマ「いだてん」、映画『花束みたいな恋をした』(2020)などの大友良英。(編集部・石井百合子)
