突然あらわれた亮に驚く百音(清原果耶)(C)NHK
宮城県気仙沼出身のヒロインが気象予報士として成長する姿を描く、連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK朝ドラ)。第74回(8月26日放送)では、百音の前に突然、幼なじみの亮が現れる。
仕事で近くまで来たついでに、百音を訪ねて来たという幼なじみの亮(永瀬廉)。その夜は百音たちの下宿先「汐見湯」で、未知(蒔田彩珠)や明日美(恒松祐里)らを交えてみんなで楽しく夜を過ごす。
翌朝、百音と出掛ける予定の菅波が「汐見湯」を訪れる。一方で、亮は仕事があるからと足早に気仙沼へと戻っていくのだった。そしてその夜、百音と未知が寝ているところに母・亜哉子(鈴木京香)から電話があり・・・。
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~更に詳しく(笑)~
突然百音(清原果耶)の前に現れた、りょーちんこと亮(永瀬廉)。なんと菅波先生(坂口健太郎)とのデート前日の夜という、まあ何とも間がいいのか悪いのかわからないタイミングでの刺客に、観ているこっちが焦ってしまった『おかえりモネ』第74話。
以前、永浦家で耕治(内野聖陽)の「百音に医者の彼氏が出来た」という上機嫌そうな言葉を聞き、亮が少し顔を曇らせていたのを思い出す。えっ、もしかして亮……! やっぱり百音のことが気になるの!? そんなドキドキの展開にも関わらず、当の本人である百音の「あれ? 来たの? とりあえずうち入る?」みたいなマイペースさ。彼女の鈍感具合がここで光る。
それでもやはり、亮が突然来た理由は気になる百音。亮は「銚子港に来たついでに築地に来た」と、いかにもここが目的地ではなかったように話す。築地の感想として「“うち”の魚も負けてない」と強気に笑顔で話す様子に、彼がもう立派な一人の漁師としてのプライドを持っていることに百音は感心する。一方、話題は百音の中継デビューとなり、何度も見たくせに亮は少し表情を変えて「まだ見ていない」と嘘をついた。しかし、百音が「キャラを変えているし、見なくていい」と言った途端、どこかホッとした様子で「なんだ、キャラ変えているんだ」とうれしそうにつぶやいた。たぶん、テレビの向こうに映る百音が別人に思え、距離を感じたから複雑な気持ちになっていたのかもしれない。
なんだかまるで、百音のことが好きみたいな雰囲気を出す彼に、百音は「元気?」と彼の様子を再び伺う。突然来たことを言われているのだと気づき、「来ちゃダメなの?」と少し切なそうな顔で答える亮。「ダメじゃないけど……」と面食らう百音に、「あのさ……」と少し真剣な言葉で亮が何かを伝えようとした瞬間、明日美(恒松祐里)が乱入! ザ・王道のラブコメドラマのような間の悪さだ。そう、今回はみんな間が悪い。しかも彼女の後ろには亮が来ることなんてつゆほども予想していなかった未知(蒔田彩珠)が呆然と立ち尽くしている。たまたま明日美プロデュースで特別おしゃれな格好をしていた彼女だけ、間が良い。「かわいいね」と亮に褒められると嬉しくて照れて下を向いてしまう未知が本当に可愛い。
さて、亮も泊まることになりワイワイ盛り上がる一行。しかし、このとき百音は亮の表情をこっそり見ていた。楽しそうにしているが、何か伝えたいことが、抱えているものがあるのではないかという心配。一方、未知も表情を盗み見るがそれは姉とは異なる動機だ。「楽しいなあ」とつぶやく亮を、未知は複雑な顔をして見つめていた。
その後、一人でいる亮の元に行って話しかける未知。みんなができなくて、自分だけができる話……今旬な魚の話題を彼にふった。未知も、亮にとっての“みんな”ではなく“特別”になりたいのだ。そして彼に東京に来て不安な気持ちなこと、早く帰りたいと弱さを見せる未知。そんな彼女に「たまにはいいじゃない。そういう格好も、良いよ」とサラッと言ってしまう。彼が誰にでもすぐ、何の気なしにそんなことを言うんだと思っている未知は、うれしさ半分、少し切ない。しかし、そんな彼女に亮は「嘘じゃないって」とさらに畳かける。2人きり、暗がりでこっそり話しながら「寒くない?」「寒くない」なんてやりとりをしているものだから、こちらも「もしかしたら亮は未知のことを“妹”以上に見ているのかも?」と勘繰ってしまうし、その様子を遠目に眺めて微笑む百音と明日美も同じ気持ちだったに違いない。
彼らを見ていた百音は「明日のデート緊張する」と、自分の方の恋について思い出す。しかし、その言葉を拾った亮は遠くから百音を見つめていた。未知とのいい感じのやりとりを一気に無かったことにする、その永瀬廉の表情が悩ましい!
そしてその“疑惑”がほぼ確証に変わる瞬間がやってきた。翌日、デートが楽しみだからって早く着いてしまった菅波。家の中からワンピースがどうこう、とおめかしをしている女の子たちの声に、思わず彼も微笑んでしまう。そんなニヤニヤ顔の菅波の前に現れたのは、百音……ではなく、亮だった! また、間が悪い! 「おーいモネ、来たよー」と声をかける亮、その距離感に菅波先生が「何者?」と怯んでしまう。
一方、亮は「こいつか……」みたいな顔で菅波を見る。百音が菅波に亮を紹介しようとしても、「俺はいい」と断るなど強めの態度を取った。「もう行くから」とその場を去ろうとする彼に、地元の友達だと気づいた菅波が「久しぶりだったのでは?」と気を使うも、「いえ、自分が邪魔しちゃった感じなんで」と、さらに牽制してくる亮。その2人の間には確かに火花が散っていた。
なんとここにきて、『おかえりモネ』は本格的な三……四角関係の恋物語となったようだ。菅波先生、サメ展のチケットで浮かれている場合じゃないぞ! しかも“間が悪い”ことに仕事が入ってしまい、百音とのお出かけも次の日にお預けとなった。しかし、そうなったことで改めて「2人で出かける」から、ちゃんとした「デート」になった印象もあり、怪我の巧妙かもしれない。
『おかえりモネ』はこれまで繊細かつ巧妙な脚本で、主にヒューマンドラマや人生観のような話を描いてきたが、今週、得に本日の放送では月9や火9の恋愛ドラマを彷彿とさせるラブコメ要素がふんだんに盛り込まれていた。その脚本力の幅広さに再び脱帽してしまうものの、夜中の2時半に母・亜哉子(鈴木京香)からかかってきた不穏な電話で一気に空気が変わる。船に戻っていない亮は、一体どこに行ってしまったのか。何を抱えているのか。何を、百音に伝えようとしていたのだろうか。(ANAIS(アナイス))