妄想は飽くことを知らず、ただ年末が過ぎゆくのみ。 | 羅列される言葉はどの方向性に向かって飛んでゆくのかも見当もつかないまま書き綴られていく

妄想は飽くことを知らず、ただ年末が過ぎゆくのみ。

今日の仙台は夜半過ぎから、ちらちらと雪が降り始めました。








安酒場が並ぶこの小さな通りには、年末だというのにまだ灯りが燈っていた。

小料理屋を賄う恵美子は、最後の客がいい加減千鳥足で店を出た後、独り

皿を片づけながら飲みかけの熱燗を手酌する。もうすっかり冷めた酒を喉に

流し込むと「ふぅっ」と思わず溜息ともつかない息が漏れる。

「今年も終わりかぁ」

誰ともなく声に出すと侘しさが募ってしまうような気がして、打ち消すように

おもむろに席を立った。


恵美子は5年前、自分を残して出て行った辰夫を思い出していた。

あの日もこんな寒い年の瀬だったなと、つい思い返してしまう。

恵美子はまだ忘れられないでいた。

彼のことを思い返すと、体の中に彼の残滓が留まっているような気がする。

心の奥底でまだ揺らいでいる自分が情けなかった。


暖簾を下げていないことに思い出し、外に出ようとして戸に手をかけると、

外の影に気付いた。戸を開けて、

「すいません、今日はもう…」

と、口にした言葉は声にならなくなっていた。

目の前の客は、今思い出していた辰夫その人だった。


「一杯だけ、いいか…」

彼は5年前と変わらず、ぶっきらぼうにそう一言告げた。

恵美子は、はじめ多少戸惑ったものの変わらない彼の声に郷愁とも温もりとも

つかない気持ちが次第に広がり、自然に彼を受け入れ始めた。

「熱燗でいいかしら」

そう話す彼女の顔にうっすらと笑みがこぼれた。

彼のコートの肩口に白いものが付いている。ふと見上げると夜空には小雪が舞

い始めていた。

「あっ、雪」

恵美子は思わず子供っぽい声を上げた。


この雪はきっと明日の朝まで降り積もるだろう。

まるで二人の距離を埋めるように。











そんな妄想が思わず頭をよぎるような、雪がしんしんと降る年の瀬の今日。

皆さんの一年はいかがだったでしょうか。

オレは色々ありすぎていまだ整理がつきません。

なんだかなぁ…。



来年こそは、いい一年になりますように。


それでは良いお年を。