突然の呼びかけに一瞬身構えた。
「どちら様ですか?」
自分の正体には触れずに聞き返す。
「水戸です。」
「そうでしたか、失礼しました。私はデリルと申します。」
お互いに軽く頭を下げた・
・・・以外だな、まだ幼いように見えるが、ただの童顔か?見かけに騙されての油断は禁物だな。
「そこのホテルでと・・・・思っていたのですが、お互いに世間には身分を伏せる必要がありますよね。そこで提案なのですが政府専用航空機で話すというのはどうでしょうか?ご安心下さい、実際に離陸することもありませんから。」
最初からホテルで話す気などなかったわけだな・・・・切り札を持ってきて良かった。
「いいでしょう、確かに私も・・・・陽のあたる場所を堂々と歩ける身ではない・・・・。」
そう言うと水戸の案内に従い黒いリムジンに乗り込んだ。
デリルは空港に着くまでの間、水戸の質問にのらりくらりと答えながら全く別のことを考えていた。
この水戸という女性が”地球人なのか?”ということに若干の疑いを持ち始めていたのだ。
普通、地球人が”宇宙人”と遭遇してこんなに落ち着いていられるだろうか・・・
「さあ、到着しましたよ。右手に見えるのが専用機です、行きましょう。」
無言で水戸のあとをついて歩いた。
タラップをのぼり応接セットのある一角に腰をかけると飲み物や軽食が運ばれてくる。
「すみません、デリルさんがどんなものを飲食されるか知らなかったもので・・・お口に合わなければ他のものを準備させますので・・・。」
水戸が申し訳なさそうに話す。
「いや・・・・十分ですよ、ただ・・紅茶は苦手なのでジャスミンティーに交換してもらえますかな?」
「そうでしたか・・・。」
水戸は側近に手で合図する。
「じゃあ、早速ご用件から伺いましょうか。」
デリルが座りなおした。