翔さんの言葉に、担任の風間先生は多少なりとも困った顔をしてたけど
夏休み中にしっかりと考えをまとめ、夏休み明けからは自分の選んだ道に向かって全力で取り組むということで、この日の面談は終了した。
もちろん、どっちを選ぶにしても課外授業は受けるつもりでいるけれど。
「翔さん」
「ん?」
「今日はありがとうございました」
「別に礼を言われることなんてしてないだろう。
俺はお前の保護……」
つうか、俺のせいでドタキャンになった三者面談に足を運んだ
「ただそれだけだよ」
「…………」
翔さんは、本当はどう思ってるんだろう。
就職したい!なんて言っといて、蓋を開けてみればなりたい職種も、入社したい会社もないなんて
きっと呆れてるよね?
「あのさ、雅紀」
「……はい」
「本当にどっちでもいいからな」
「えっ?」
「雅紀が就職したいって言うならそれでもいい。
俺はいくらでも相談にのるから」
でも、やっぱり進学したいっていうなら、勿論それでも構わない。
「それこそ、志望大学によっては
ひとり暮らしが出来るだろう?」
だから、焦らずゆっくり考えろって、翔さんは言ってくれたけど
就職も、進学も、ひとり暮らしも
オレは本当に決められるんだろうか。
つづく