実家で年越しをした櫻井さんは、放っておけば元日にでも帰って来そうな勢いだったけど
色々根回ししといたおかげで、なんとか三が日を向こうで過ごしたのち、こっちに帰って来た。
「どうして涼子さんに連絡なんかしたんだよ!」
開口一番そう言われたけど、そんなの無視無視!
なんだかんだ言っても、オレも櫻井さんも涼子さんには世話になったし
「今度泊まりがけで遊びに来るって
言ってたぞ!!」
マジでどうするんだよ~~!!
あ~ぁ、なんとも情けない声出しちゃって。
オレ的には全然オッケーなんだけどなぁ。
まあ、そん時はそん時……てことかな?
それからしばらく経った1月中旬
オレ達は無事新しい部屋に引越した。
「なんとか片付いたね」
「だな」
「あとは細かいものだから
それは徐々にだね」
洗濯機も冷蔵庫も、テレビもテーブルも、これまでよりひと回り大きくなった。
ふたり分の食器、ふたり分の衣類、ふたり分のベッド
真っさらな時はかなり広く感じていた部屋も、あれこれ運び込んだらちょっと手狭な気がした。
「マサキ」
「ん?」
「これからよろしくな」
つうか
「これからもよろしく」
「櫻井さん……」
真面目な顔で改めて言われると、なんだか照れてしまう。
始まりは最悪だった。
妹を失うと同時に、夢も希望も何もかも無くして
こんなの逆恨みだってわかってたけど
櫻井さんを憎むことで、なんとか自分を奮い立たせていた。
地獄に堕としてやる
オレと同じ苦しみを味わせてやる
来る日も来る日もそんなことばかり考えて
なのに、変わってしまった。
黒から白へ、まるでオセロのように
嫌い、嫌い、大嫌いが
好き、好き、大好きに
もう、笑うしかないよね。
「オレも……」
オレも、よろしく
これから先、色々あると思うけど
どんな時も
嬉しい時はもちろん
辛い時も苦しい時も
ふたり一緒なら、きっとなんて事ない。
「ね、」
「そうだな」
「じゃあ早速、
同居最初の共同作業といきますか」
「えっ、共同作業!?」
それって、まさか……///
「ちょっと櫻井さん、今何考えたの?」
オレはふたりで晩メシ作ろうと思ったんだけど
「ば、晩メシ……ああ、晩メシな」
いや、俺もそうじゃないかなぁと思って……
「櫻井さんて、結構エッチだよねぇ(*‘◇‘)ニヤニヤ」
「だから!別に何も言ってないだろ!!」
「ムキになって、あやしぃぃ!」
「マサキっ!!」
「ハハハ……」
ふたり一緒なら、ほらね
もうこんなに楽しいじゃん!
おしまい