では、2,3度深呼吸をする。深呼吸によって、私達は風の力の助力を受けることが出来る。

私達が吸う息は、単なる空気ではない。それは霊気と呼ばれる。私達は日々日々呼吸しながら、霊気を吸っている。物は高い所から低い所に落ち、エネルギーの高いものは低い所へと流れる。私達は霊気を吸って、宇宙のより高いエネルギーを受け取る。すると、私達の人格は高められ、やがて自己と他人の境界線が、本来無いことに気が付いていく。

つまり、わかりやすく言えば、自分と同じような悩みを抱えるのが人であり、自分と同じような希望を抱くのが人だという事に気が付いていく。

 

かつて君が霊界にいたとき、ドイツに住んでいる瓜二つの姉妹の人生を観察したことがあった。これは君の魂が、木星で魂の学びをしているときに与えられたものである。木星の働きは、人間の魂を邪悪なものから守り、愛と平和へと導く働きをしている。この木星で働く神が、あなたに人生の真実を教えようとして、18世紀ドイツに生まれた二人の姉妹を観察するように命じたのだ。

 

君は自然に、ライン川流域にある、二人の姉妹の住んでいる家へと運ばれた。二人の姉妹はまったく正反対の性格を持っていた。姉はドルチェといった。姉は非常に勝気だった。妹はディートリッヒといった。妹はとても控えめだった。二人が年頃になった時に、ほぼ同じ時期にお見合いの話が来た。どちらもハンサムで家柄のいい青年が選ばれたのだ。姉の方は一目で相手が好きになった。姉の方が多少強引に口説く形で、二人はゴールインした。妹の方は、熱烈にプロポーズされたものの、最後の最後までどぎまぎしていた。やっと周囲の説得によって、結婚に至ったという訳である。

 姉の方は夫に次々と仕事上のアドバイスを出した。即ち、人前で自信たっぷりに振舞うこと。わからないことがあっても、決して物怖じしないこと。後で調べればわかることは、その場では何とか取り繕えばよいこと。外見を立派そうに見える立ち居振る舞いを、威厳を持って振舞うこと。外見や服装に気を配ること。たとえ初対面の人であっても、物怖じしないこと。こうしたアドバイスによって、姉の夫はどんどんと成功を遂げていった。そして、ドイツでも名だたる大商売人のひとりとなったのだ。ライン川河畔に豪邸を構え、別荘を三つも四つも持つような身分となった。一方、妹の方はというと、毎日毎日、びくびくと心配しながら暮らした。夫もそれを感じ取ってか、なかなか仕事で成功しないのだった。ついに莫大な借金を重ね、貸家から貸家へと転居の生活を続ける羽目となったのだ。

 あなたはそれを見て思った。やはり最初の出方が重要なのではないか?その時指導霊はあなたにこう言った。

「人の人生は、最後までわかるものではありません。もう少し続きを見ていてごらんなさい。」

働き盛りの若者も、50年も経つと歩くのがやっとの老人となった。次第に姉夫婦の方は、間柄が疎遠になっていった。毎日の生活が単調に感じられた。夫婦共にギャンブルに手を出していった。家は競売にかけられ、家財道具は差し押さえされる羽目となった。まさに生きていくのがやっとだったのだ。そして、最後の一軒家に姉夫婦はしがみついていた。ここを去ると、もはやどこにも行く場所がないのだった。いつ借金取りが来るか、暗闇で怯えていた。あなたは大変気の毒に思った。姉夫婦はいつも、家屋敷を真っ暗にして、物音ひとつ立てずに生活していた。人が住んでいないと思えば、借金取りが来ないと思った。ピクリともせずに、それこそ呼吸の音さえ立てず、ひっそりと生活していた。しかし、そんな生活も長くは続かなかった。ある晩、カンテラを持った一人の老人がやって来た。ドアの陰から、立派そうな紳士が近付いてくるのが見えた。ついに、債権者がこの場所を見つけたに違いない。姉夫婦は身構えてそれを待った。どうしようか。証書を目の前に差し出されたら、何と言って謝ればいいのか。夫も妻も、心臓が高鳴る思いだった。そして、やがてドアが開けられた。姉夫婦は必死で跪いて(ひざまず)許しを請うた。

「こんなはずではありませんでした。いつから私達の人生の歯車が狂ったのか。お許し下さい。それから、命だけは助けてください。」

その老紳士は、大きな咳払いをした。

「ゴホッ。よろしいですかな。」

老紳士は言った。姉夫婦は真っ青になりながら、手を差し出した。

「命だけは…」

もう一度老紳士はこう言った。

「よろしいですかな。よろしいですかな、お兄さん。」

姉夫婦が驚いて、その男の顔を見た。驚いたことにかつてあれほど、貧乏を極めた弟夫婦の夫であった。

「私は本日、お金を提供しに参ったんです。」

姉夫婦は、どうして、あの貧困から立ち上がったのだろうか?これ以上落ちる所が無い所まで落ちると、もはや笑いしか出なかったという。そこまでいって初めて、働くという事がいかに尊いかと言うことに目覚めたという。それまでは、働かなくても突然何か楽になる方法はないか、そればかり考えていたという。

「その日以来、心が変わったんですよ。」

と弟夫婦は言った。

「それから借金がいくらあったとしても、働くことだけ考えました。借金は減りませんでしたが、働くことに喜びを覚えたんです。」

「でもそれだけで人生が好転したんですか?」

「そうではありません。毎日楽しそうに働いていたんですよ。そうしたら、人相が変わっていったんです。一年も経つ内に、それならもっといい仕事がある、次々に周りの人が良い仕事を紹介してくれたんです。私はその時思いました。自分の借金がいくらあっても、それを苦に思わず、楽しそうに生活することが、幸運を引き付けるコツだって。それでようやく、私は人生の前半で築いた、ひがみ根性を消すことが出来ました。私は幸せです。」

それを聞くと、姉夫婦はボロボロと涙をこぼした。二時間も泣いただろうか。今度は姉夫婦が弟夫婦の手を取ってこう泣いた。

「今晩ほどうれしい日はありません。どうやら私は傲慢になっていたようです。人は幸せに成ることを、こんなに喜べたことは人生で未だかつてありませんでした。私は人生の前半で成功し、後半で失敗しました。ですが、今では失敗が良かったと思っているんです。失敗したことによって、やっと人間としての温かみを取り戻すことが出来たんですから。」

 

さて、この二人の姉妹は何を得て何を失ったんだろうか。妹の方は毎日毎日自分をひがむ自分を捨て、毎日毎日笑える自分を取り戻した。姉の方は毎日毎日人の不幸を見て笑う自分を捨て、毎日毎日人の幸せを見て喜ぶ自分を取り戻したと言えるだろう。まったく対照的な人生を送った二人の物語だ。しかし、どちらも自分の中の偽者の部分を捨て、本当の部分を得たという点では、まったく等しい。

さて、死後の世界で、二人の姉妹はどこに上がっていったと思うかね。二人は霊界の同じ場所から生まれた。そしてやっぱり、同じように手を繋いで霊界では同じ高さの世界に戻っていった。

あなたは指導霊に聞いた。

「驚くべき物語ですね。まったく対照的な人生を送ったのに、出て行くところも一緒なら、帰るところも一緒です。」

「そうですよ。」

指導霊は言った。

「神が人間を見る尺度は、この世の成功失敗ではありません。どれだけ成功したか、破産したか、まったく眼中にないのです。本当の自分を取り戻せば、それで成功と言えるのではないでしょうか。あなたは今日までの過去世において、惜しい所まで行きながら、100%力を出すことがなかなか出来ませんでした。それは今はうまくいっているけれど、この先失敗したらどうしようか、あるいは今まで失敗続きだったから、これから先も表面上うまく行っても、必ず失敗するのではないかと、不安と心配がいつもあなたを襲ったからではありませんか?今度あなたが生まれたときは、成功と失敗に、心を囚われるのではなく、あなたの心が何を得たのか、本来の自分を取り戻せたなら、あなたは成功であると言える。そんな人生を送ってください。」

そうしてあなたは、かつて霊界で指導霊と別れた。

 

人は成功失敗というと、とかくこの世の評価で考えがちである。本当に自分がやりたいことをやって、伸び伸びと生きることが出来たら、その時その人はその時点で、完全な成功者なのである。

あなたはこのセッションを受けた直後から、人生が急変すると思われます。

あなたは今世、自分と他人の成功を心から喜ぶことを肝に命じることによって、自分でも想像を絶するような、広がりの中へと導かれます。そういう約束をして、生まれてきたという事です。

 

なお、このときあなたを導いた霊魂は、日本の歴史では小野妹子と呼ばれておる。彼は中国に行って、成功するかどうか、名を残すかどうか、何日も何ヶ月も悩んだと言います。しかし、最後は、この国のより大きな活路を見出すために行くのだ。その様な大儀の中に生きることが出来たとき、何の恐怖も生まれなかったといいます。これこそが自分の使命だ、これこそが自分の役割なんだと気がついたときに、果たしてこの航海が成功するか失敗するか、もはやどうでもいいことになったといいます。こうして彼は日本の歴史に名を留めました。

 

今までこの人にこんな話を持ちかけてよいのだろうか?自分でもどぎまぎして、なかなかうまく話を伝えられなかった相手にも、相手が拒絶するか受け入れるか、そういったことに囚われない、太平洋のような心の力が生まれてまいります。

人はいつか、自分が目標とする世界にたどり着こうとする時、その目標と現実との間にある大きなギャップを、飛び越えなければいけない時期にさしかかるのです。その時に必要な心の態度とは、結果を問う心ではなく、心構えを問う心です。広い世界へ、あなたは飛び立とうとしています。広く、高く、深く飛べ。その溝の深さに慄いてはならない。その距離の遠さに怯えてはならない。

地球上のどのような職業、どの様な地位の人に対してでも、怯えることなく、怖気ることなく、心を開いて、その開いた心の力でもって飛ぶ。

成功するか失敗するかという結果ではなく、心の思いを確認し、自分らしく生き生きと生きる。その時、すでにその溝は乗り越えられたと、いえるのかも知れません。

大きな広い世界へ向って、あなたは飛ぶのです。

 

 

 

 

アカシックレコード書記官