今から52年前の奥能登のお葬式は

セレモニーハウスや公民館ではなく、

自宅でとりおこなった。


お寺さん(馴染みの下寺のお坊様)がおっしゃるには祭壇の周りを空けておいて欲しいとの事。


いよいよ本葬が始まり、たくさんのお坊様が祭壇の周りを、なんだか綺麗な小判型の紙を撒きながら、

お経をお唱えし始めた。


散華というらしい。


寺男として、長年お寺さんに尽くした時太郎爺様を

最大級のお見送りをしてくださったのだ。


時太郎爺様を棺に抱いて納めたのは、

高校を卒業したばかりの兄だった。

父の後を継いで、石川県警に奉職が決まって

爺様が、大変喜んでいた。


3日ほど前からお迎えが来てかなわないから、

そろそろ旅立つと、朝つぶやいて、

お昼に旅立った。


安心して、愛妻のまっているあの世に

旅立っていったのだと思う。