毎年この時期は、
大分大学医学部での研修医オリエンテーションにて、
医療面接研修に参加させていただいています。
個人的にも医療教育に携わらせていただいていますが、
豊の国医療教育ボランティア会のメンバーでもある私は、
昨日は模擬患者として、
新人医師(研修医)の研修で医療面接のロールプレイに参加しました。
病院を受診したとき、
「今日はどうしましたか?」といって診察が行われますよね。
これを医療の現場では「医療面接」といっています。
ちなみに模擬患者は、
医療者(医師・看護師・医療スタッフ)や医学生など医療教育の場で、
患者役を演じ、医療コミュニケーションの向上を目的に活動しています。
患者としては、「あそこの病院は対応がよくない…」とか、
「あの先生は患者の話を聴いてくれない」なんてことありますよね。
医療機関はもちろん、医療系大学でも
患者さんとのコミュニケーション教育を重視して、
様々な研修やトレーニングを重ねています。
患者さんが不調や苦痛を感じ病院を受診し、
その軽減や解決のために診察して、治療するわけですが、
そのための情報源は患者さんにありますよね。
だから患者さんと医療者がコミュニケーションを重ねることで、
患者さんの不調や苦痛が軽減されたり解決されます。
そこで昨日は、大分大学医学部での研修でした。
医師国家試験に合格し、
大分大学医学部附属病院で研修医としてスタートする方々との
研修では、毎年いろんな気づきを私自身いただいています。
ロールプレイは研修生全員が医師として体験しますが、
その中で当事者としてはもちろん、
観察者として客観的に体験する中で、
それぞれに感じることがあり、そこが学びにつながります。
実際の医療現場で、
「今の私の対応はどうでしたか?」なんて
医師が患者に聞くわけにはいかないですが、
このロールプレイでは、模擬患者がロールプレイ中に感じたことを
医師にフィードバックします。
「私が話しているのに、
先生が机に向かってカルテばかり記入しているので、
話を聴いてもらえていないと思い悲しくなり、
それ以上は話すことができませんでした…」
「最近、頭が痛くてたまらないんです。って私が言ったら、
今は大丈夫ですか?って声をかけていただいたので、
この先生はわかってくれた!と思って安心しました…」
というように、そのロールプレイ中の出来事で感じたことを
医師に伝えることをします。
模擬患者は講師ではないので、指導するわけではありません。
「こうすると患者は安心しますよ」とか、
「あなたのこの言葉はよくありません」など、
評価したり指導するのではなく、
ロールプレイ中のことに対し、感じたままをお伝えすることで、
研修生の気づきや発見につながり、
臨床の場で活かしていただくことにつながっています。
私は患者としての人生は長く深く、
私の人生を語るうえで医療の話題はつきものですが、
「医療のせいで私の人生は悲惨だ」
そう思っていましたが、
模擬患者として活動させていただくようになり、
そして、大分大学での医学教育に携わらせていただくようになり、
私自身の誤解や私自身の責任が大きかったことも
気づかせていただきました。
そのことはいずれ綴らせていただきます。
昨日の気づき・発見としては、
一番に、真剣に取り組む新人医師の姿に感動しました。
そして、「不安」についての気づき。
患者さんは、そもそも自身の状態に不安を抱いて受診します。
体そのものについての不安はもちろん、
「先生はどんな先生?」
「私のことをわかってくれる?」
「病気のことがわかるかなぁ?」
「悪い病気じゃない?」
「どんな検査するのかなぁ?」
「待ち時間はどれくらいかかるかなぁ?」
「治るかな?」
「治療費はどれくらいかかるかなぁ?」
などなど、いろんな不安を抱いて受診します。
そして、そこを受け止めるべき先生も不安なのかなぁ?
そう感じた私でした。
昨日は、対応が難しい患者さんをいろんなパターンで設定しての
ロールプレイでした。
・怒る患者
・泣く患者
・不信感をもった患者
・思い込みの患者
・全身状態が悪い患者
・まとまりなく話す患者 などなど・・・
新人医師は、呼び入れと同時に いきなり怒鳴られたり、
診察中に泣かれたりするわけで、
そんな中、どう対応したらよいのか戸惑う方もいらっしゃいます。
とはいえ、そもそも医師としてスタートし、
新人医師の方々も緊張感でいっぱいで、
「大丈夫かな?」「自分につとまるのかな?」など
不安でいっぱいだった方も多いのでは・・・と感じました。
患者も医師も不安だった時間のように思います。
患者も不安だから泣くし、
不安だからいろいろとしゃべりたい。
不安だから怒る。
「医師」だから「看護師」だから、
患者さんに安心してもらえる良き医療者を心掛けることは大切。
そして、医療者である前に一人の人であり、
医療者も感情をもった人間。
しかし、医療のプロして自分の感情を抑えたり、押し殺したり
することが身についてくると、
自分の感情そのものが感じにくくなるということもあるのかもしれない。
これは私の体験ですが、
私は非一般的な病歴で、医療者を振り回すことが多かったので
先生や看護師さんに不安を感じさせることも多かったかもしれません。
「どう接したら良いのか」という医療者の不安は、
私に対しての怒りとして現れていたのかも…。
子供の頃から、すっごく怒ったりする先生や看護師さんと出逢うことが
多かった私です。
先生や看護師さん自身の気づいていなかった
「不安」という感情が、私にぶつけられていたことが多く、
私も自分のことが「不安」で、
医療者に対して様々な形で感情をぶつけていたように感じました。
お互いが自身の感情に気づき、
素直に伝えることが大切だったと今は感じています。
医療者も患者に対して安心してもらうことは重要ですが、
医療者も「不安」を感じることは自然なことで、
その感情があるからこそ、患者に対して親身になれるような気がしています。
何より、まずは医療者自身が自分の感情を受け止めること、
このことができて患者の気持ちを感じ、寄り添うことができることにつながり、
真の医療が育まれるのだと私は感じています。
医療の現場で重要とされている
「医療コミュニケーション」
批判したり、否定したりするばかりではなく、
医療者とともに、患者自身が努力し、
お互いが わかりあおうとする姿勢が何よりも大切だと感じます。
そのことが、患者の生きる力を高める真の医療につながると、
私は強く感じています。
批判するばかりの患者、藤咲でしたが、
医学・医療教育に携わらせていただくことで、
気づき、発見し、学ばせていただいています。
いつも励みになっています!!
クリック ありがとうございます♪