小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
百輪村の人
V(元SE・パートタイマ) 美々 ビビ
E(村長・教諭)     栄一  エデン
 
草切村の人
草切マーケット・店長  (No Name)
α(パートタイマ・気弱) 在子  アルマ
δ(パートタイマ・賛同) 丑実  グロリア
γ(パートタイマ・強気) 寅代  デイジー

 

 

では、どうぞ。↓

 

見えない風穴(3)

 

 

店長は味方してくれるのかなって思ったんだけど、

ちょっと想像と違いました。

が、私は、気になることは、やっぱり言ってしまいます。

 

「困るって、どう困るんですか?

 具体的に教えてください」

店長に食い下がってみました。

 

「え、具体的にって言われても・・・。

 従業員に休まれると、普通に困るんだよね」

 

「休みを見込まないで、シフトを組んでるんですか?

 異常じゃないですか?」

 

「異常って・・・、君が変だよ」

 

「ちょっと、シフト表見せてください」

 

大きくため息をついた店長にくっついて、

私も控室に入ります。

 

店長の読みにくい字を解読しながら、全体を見渡しました。

 

「なんで夕方の一番忙しいときに、人が少ないんですか?

 それでいて、朝にはこんなにいらないでしょう?

 ひょっとして、シフトがおかしいから、

 みんな、休みが取れないんじゃないですか?」

 

「シフト表を作るのって、頭を使うんだよ~。

 みんなの意見も取り入れなくちゃいけないし。

 そうしてたら、こうなったんだよ~」

 

「こうなったんだよ~、じゃないですよ」

 

私は控室をぐるっと見渡して、

古いパソコンを見つけました。

 

「・・・あれ、使えます?」

 

「ほこりかぶってるよ」

 

「ちょっと触らせてもらっていいですか?」

 

起動ボタンを押したら、ちゃんと動きました。

「少し時間をもらっていいですか?

 自動のシフト表が作れるか、やってみますから」

 

「うそーお。Vちゃん、すごいね」

 

私は、両手の指を組んで、手首をくるくる動かし、

「うまくできるか、わかんないですけどね」

と言いながら、エクセルを立ち上げました。

 

横で見ている店長から、一か月の総作業時間、

社員とパートとバイトの人数、

一人当たりの作業時間、時間帯の人数調整、

その他の要望をこまごまと聞きます。

 

計算式を当てはめて・・・。

あんまり難しくし過ぎても、

店長が使えないと意味がないから、なるべく、

最低限の入力データでうまくいくようにしなくちゃ。

 

控室に、キーボードをカタカタ鳴らす音が響きます。

 

店長が「コーヒー飲む?」などとウロウロするから、

「私の代わりにレジやっててください」と頼みました。

 

 

 

(続く)