バガヴァッド・ギーターを読んでいる。

 

 

自分の軸が、グラグラした。

今までの価値観は、勉強は、いったい

何だったのか、という目眩さえする。

 

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バガヴァッド・ギーターとは、

神の歌という意味だ。

 

自分の所属するA軍と、

敵対するB軍との戦いの目前で、

勇士アルジュナは悩む。

 

だって、AもBも親戚同士だから。

この戦いに意味はあるのか?と。

 

そこに、神であるクリシュナが、

アルジュナを説得する、という話で、

迷いの吹っ切れたアルジュナが

戦いを始める、という流れのようだ。

 

ようするに、さんざん言われたのだ、

「私(クリシュナ神)のために戦え」と。

 

神の言うとおりじゃ、しょうがない。

 

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とはいうものの、バガヴァッド・ギーターは、

「マハーバーラタ」という大叙事詩の一部。

 

マハーバーラタのあらすじをよく読むと、

ちょっと、まてよ、と思う。

 

このクリシュナは、アルジュナと

同じA軍にいるわけなんだよ。

 

でもって、クリシュナ神というのは、

厳密に言えば、神と人間の間の子で、

しかも、アルジュナも、

インドラ神と人間の間の子。

(クリシュナとアルジュナは、従兄弟。

 クリシュナの父とアルジュナの母は、兄弟)

 

しかも、アルジュナは

クリシュナの妹を妻にしている。

 

そうなると、「帰依しなさい」は、

「神である私のために戦え」ともとれるし、

「同じA軍の自分と戦おうぜ」ともとれる。

 

ちなみに、B軍の方にも、

アルジュナの祖父や他の従兄弟たちがいたり、

太陽神と人間の子、カルナがいる。

で、カルナは、アルジュナの兄弟だ。

(母が同一。)

 

神同士、身内同士で、何故戦うのか。

それは、単なる土地の取り合い。

アルジュナの悩みもむべなるかな。

 

で、クリシュナが説得する内容は、こう。

 

「クシャトリヤ(王族)として生まれた者は、

 義務(ダルマ)に基づく戦いをするのは幸福だ。

 相手に殺されれば、天界に行けるし、

 勝てば、地上を享受できる。

 相手が誰かとか考えないで、

 ただ戦うこと(行為)だけに専念(専心)せよ」

 

また、こんなことも言う。

「戦いから逃げるのは、我執で、恥さらしだ」

「魂と体は別。また生まれ変わればいいだけ」

「(肉体を持つ)私が、この世のすべてであり神だ」

「私を愛するものだけが、罪悪から解放される」

「結果は考えなくていい。ただ私のために戦え」

「迷いを捨て、ただ坐れ」

 

戦いの中で、坐れって、いきなり坐禅?

 

でも、アルジュナは、このとき、

戦車から降りちゃって悩んでるところ。

これ、戦車に乗れ、って言ってるだけ?

 

そうやって、勝手に読み解いていくと、

インド哲学って、仏教って、

神話の一部だけを切り取って、

一意専心だのただ坐れだの、

迷いを捨てよだのというところを、

ありがたがってるだけじゃないか、

という風に思えてきて、

私はクラクラしてきた。

 

私は、これまで、

迷いを捨てる仏教ってすごいなあとか、

坐禅って素晴らしいことなんだよなあ、

とか考えて、勉強してきたつもり。

 

でも、そういうのを、

根底からひっくり返されちゃった。

 

神、とは書かれているけれども、

王族とか貴族とか、当時の、

そういうくくりの階級を表してるとしたら、

神の定義すら曖昧で、

「あーあ」と脱力するしかない。

 

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この地球上には、

さまざまな宗教があって、

いろんな考えがあって、未だに

戦争やら紛争を巻き起こしてる。

 

そういう原因をずっと遡ると、

昔の神話とか物語とかの一部を

ありがたく膨らませたあげく、子孫は

その歪んだ価値観で動かされている。

 

同じ人間同士、なぜ戦わねばならぬ、

というアルジュナの悩みは、私の悩み。

 

世間のしがらみに勝てるかわからんが、

私の真の希望が叶うなら、こうしたい。

 

「王族とか義務とか、どーでもいい。

 無駄だし辛いから戦いたくないんだ。

 やりたいやつは、やれ。

 俺は降りる。いちぬけた。

 腰抜けと笑いたいなら笑え。

 残りの連中で、勝手にしろ」と。

 

そして、出家ならぬ、絶縁する。

アホにはつきあっとられん、と。

 

怒ったクリシュナに殺されたっていい。

 

だって、人間の寿命なんて、

戦おうが戦うまいが

長くてもたかだか120年なんだぞ。

自分の好きにさせろや。

 

これまでに、いろんな宗教にがっかりして、

さらには最後の綱だった仏教にまで、

見切りをつけそうになってる自分がいる。

 

あーもう、

これから、どうやって生きよう。

 

草木のように、

風になびかれて生きるしかないかも。

 

しばらく、考えてみよう。

 

今日も元気だ、焼きそばがうまい。

 

 

 

 

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(追記)

その後をどうするか悩んだ末、

『自灯明』にたどり着けたので、一安心だ。