前回に続き、日本語教師のお話です。

 

日本語学習者は、初級のけっこう序盤で時間のよみ方を学習します。

 

特に、会社の学習者は技能実習生なので、これから日本で働く事を踏まえ、時間厳守の習慣も身につけたいです。

そうでなければ、そもそもラオス人は時間という概念がありません。

待ち合わせ時間やタイムスケジュール、というものを持ち合わせておらず、常に、その場その場の行動をします。

これは遅刻魔という意味ではありません。

9時からの授業で、私が8時半に教室に着いて準備を始めた日がありました。

そのとき敷地内の寮にいた学習者たちは、私の姿が見えるなり教室に集まり「きりーつ!れい!」と、授業を始めようとしたのです。

まだですよ、と訂正して9時まで待ってから授業を始めました。

彼らは "9時から授業" という時間の概念がなく、"先生が来たから授業" という習慣の元に行動しているだけなんですね。


なので、日本人は常に時間どおり "on time" に行動することを何度も説明し、実践を繰り返します。

労働時間を1分でも遅刻したら、給料がカットされますよ!なんて指導もします。

ラオス人はとても真面目な人が多いので、時間の概念さえ把握できれば時間厳守もできるはずです。



さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題の授業です。


私は実際に時計を用いて時間の課を始めます。

 まずは "1時" から。 (数字は既習)

 さすがに、これは大丈夫ですよね?

はい、6-7割は大丈夫です。

でも、いました!こんな学習者↓

「12じ…?」

長い針の方を言っていますね。。


日本語の問題ではありません。

アナログ時計がよめないのです。


さらには…

「6…?」(←さすがに稀)

秒針をよもうとしてます。。


練習あるのみ。

1時が浸透したら、次はこれ

 「1時3分…?」

長い針が3の所にあるから、3分?


そして。

難しいですよね、これ↓

 「2時50分?」

↑これに関しては、頭のいい子でも100%間違えます。

「あと10分で2時ですね、まだ2時じゃないです」とヒントをあげると、暫く考えてからやっと正解に辿り着きます。


学習者は18歳以上、高校卒業以上です。

でも、このようにアナログ時計がよめない学習者がけっこういるんですよね。


それというのも、そもそも時間を気にして生きていない、ということなのでしょう。


 私は、会社以外でも私立の小学校で日本語の授業をもっているのですが、小学校の教室には時計がありません。

授業の中ではアナログ時計も学習するそうなのですが、日常的には時計を使用していないみたいです。


事務所や公共の場所に時計があっても、電池切れや故障で時間があっていないまま放置されていることが多いです。


こんな風に。


時間を気にして生きていない人たちに、時間を教えるのは大変です

と言うお話しでした。