この子たちの柔らかい肉球は
人間の体のどの部分にも当てはまらない
柔らかさは耳たぶくらいかな
でも弾力も厚みも違う
天国へ旅立つと
もう二度と触れることが出来なくなる
このなめらかな毛並みも
ピンと凛々しく立つ耳も
ふさふさと揺れたしっぽも
頬の毛は甘くていい匂いがして
うっすら湿る少し冷たい鼻先も
すべてがこんなに愛おしかったかと
燃えてなくなるその体のすべてを
改めて深く深く記憶の中にとじこめる
最後に肉球にインクを付けて
色紙に残した足跡を
今も毎日眺めている
このいつでも触れていた可愛いあんよは
私の指の記憶の中でしか
もう感じられなくて
やすきち