不動産を売買する時、とくに売却する時、まずは不動産屋と契約する必要があります。しかしここに、最初の落とし穴が隠されています。

 

まず、多くの不動産屋が「専任媒介契約」を強く勧めてきます。しかし、その理由は本当に「お客様のため」なのでしょうか?

 

そうではありません。

 

その裏側の仕組みを知っておいた上で、不動産売買にのぞんでください。

 

 

 

1. 不動産売却と3つの媒介契約

 

家売却を依頼する際、3つの契約方式があります(細かく見なくても大丈夫です)。とりあえず、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の3種類があることを押さえてください。

 

媒介契約の種類 概要 注意点 おすすめ度
一般媒介契約 複数の不動産会社に売却を依頼できる 複数の会社に依頼する手間がかかる
専任媒介契約 1つの不動産会社にのみ売却を依頼する 囲い込み行為など、悪徳な行為のリスクがある
専属専任媒介契約 1つの不動産会社にのみ売却を依頼し、買主も見つける必要がある 囲い込み行為など、悪徳な行為のリスクがある

 

 

2. 専任媒介契約を勧める表向きの理由

 

たいていの不動産業者は以下のような営業トークで専任媒介(専属専任媒介)をすすめてきます。

  • 広告費を多くかけられる
  • 希少価値を高められる
  • 販売活動に集中できる

 

3. 専任媒介契約を勧める本当の理由

 

実際の理由は、不動産屋が仕事をしやすく、また儲かることにあります。

  • 両手仲介で儲かる

専任媒介契約では、売主と買主両方から仲介手数料を得られる可能性があります。これは、不動産屋にとって非常に儲かる取引です。

 

4. 専任媒介契約の大きなデメリット

 

最近では有名になりましたが、不動産屋が売り物件情報を独占して他社に流さない「囲い込み行為」が問題になっています。

 

  • 囲い込み行為

 

レインズに登録した物件情報を、他の不動産屋に知らせずに自社で買主を探し、両手仲介を狙う行為です。

 

  • 情報操作

 

買主の希望価格を操作し、売主にとって不利な契約を結ばせようとする行為です。これにはさまざまなテクニックがあります。

 

 

5. 悪徳不動産が顧客を誘導できる

 

  • 購入希望者への嘘

 

不動産屋が情報を独占でき「他業者から申し込みがあり、すぐ契約になる」と嘘をつき、購入させることにつながります。逆に売主に対する情報もコントロールし、価格を強引に下げるなどの操作も可能になります。

 

  • 情報伝達の制限

 

専任媒介契約であることを利用し、他の不動産屋からの情報を売主に伝えない。その結果、自社で買主を見つけて、売主買主両方から仲介手数料をもらうことができます。

 

 

6. 不動産売却で失敗しないための対策

 

  • 複数の不動産屋を比較検討する
  • 契約内容をしっかり確認する
  • 悪徳不動産を見抜く

 

悪徳不動産業者の見抜き方は、以下の記事が参考になります。

 

7. まとめ

 

  • 専任媒介契約は、不動産屋にとって非常に儲かる仕組みになっている。
  • 専任媒介契約には、囲い込み行為や情報操作などのリスクがある。
  • 不動産売却で失敗しないためには、複数の不動産屋を比較検討し、契約内容をしっかり確認することが重要。

 

プロの不動産業者の中には「一般媒介がいいのではないか」という人がたくさんいます。その点も押さえた上で、不動産屋の話を聞き、契約を結んでください。

 

8. 参考情報

 

専属専任媒介、専任媒介契約を締結した場合、不動産屋はレインズに登録する義務があります。しかし、一般媒介契約(義務ではない)の場合であっても、普通の不動産屋はレインズに登録します。

 

 

「一般媒介だからレインズに登録しない」という業者がいたら、そことは契約しないでください。