近年、高気密高断熱住宅の普及とともに、床下エアコンへの注目が高まっています。床下エアコンは、1台のエアコンで家全体を暖房・冷房できる画期的なシステムですが、導入にはいくつかの注意点もあります。
本記事では、専門家による講演内容を元に、床下エアコンの基礎知識について詳細に解説します。
1. 床下エアコンとは?
床下エアコンは、床下に設置したエアコンで床下全体を暖房・冷房するシステムです。温風または冷風を床下に送り、床下から各部屋に熱を伝えます。
どちらかというと冷房には適しておらず、暖房メインで考えるのがいいでしょう。
2. 床下エアコンの歴史
床下エアコンの歴史は古く、40年以上前に北海道で開発されました。その後、北関東や東北など寒冷地を中心に普及し、近年では温暖地でも導入事例が増えています。
3. 床下エアコンのメリット
ランニングコストが安い
エアコンは熱源を生成するのではなく、熱を移動させるヒートポンプを使用するため、エネルギー効率が高い。
初期費用が安い
- 床暖房と比べて、設置費用が安い。
- 無垢フローリングを使用できる
- 床暖房と異なり、床面温度が低いため、無垢フローリングを使用しても割れや反りが発生しにくい。
- 設計・デザインの自由度が高い
- エアコンが室内に設置されないため、壁や天井のデザインを自由に設計できる。
- 火災の心配がない
- エアコンは燃焼系ではないため、火災の心配が少ない。
- 家全体を均一に暖房・冷房できる
- 床下全体を暖房・冷房するため、部屋間の温度差が少ない。
4. 床下エアコンのデメリット
- 高気密高断熱住宅が必要
- 床下エアコンは、高気密高断熱住宅でないと効果を発揮できない。
- フィルター清掃が面倒
- エアコンが床下に設置されているため、フィルター清掃がやや面倒。
- 基礎断熱が必要
- 床下エアコンを設置するためには、基礎断熱が必要。
- 床暖房のような体感温度はない
- 床暖房と比べて、体感温度が低く感じる。
- 基本的に1階リビングのみ有効
- 2階には効果が薄いため、別の暖房・冷房方法が必要。
5. 床下エアコンの設置方法
床下エアコンの設置方法は、業者によって様々です。代表的な設置方法は以下の通りです。
- 床下エアコン専用機器を使用する
- 壁掛けエアコンを床下に設置する
上記の両パターンがあります。
6. 床下エアコンの性能
床下エアコンの性能は、以下の要素によって決まります。
- 住宅の断熱性能
- エアコンの能力
- 設置方法
- 計画する地域
7. 床下エアコンの費用
床下エアコンの費用は、設置方法や住宅の規模によって異なりますが、一般的には10万円~50万円程度です。
8. まとめ
床下エアコンはランニングコストが安く、家全体を均一に暖房・冷房できるというメリットがあります。しかし、高気密高断熱住宅が必要であったり、フィルター清掃が面倒であったりと、いくつかのデメリットもあります。
また、冷房については効率がいいとも言いきれず、暖房メインで考えるのがいいでしょう。
床下エアコンの導入を検討する際は、メリットとデメリットをよく理解した上で、専門家に相談することをおすすめします。
参考資料
免責事項
本記事は、情報提供のみを目的としており、専門的なアドバイスを代替するものではありません。床下エアコンに関する具体的なアドバイスについては、専門家に相談することを推奨します。