先日久しぶりに北野武の座頭市を観て、あらためてシビれました。

そういえば、好きな映画の中には盲目の登場人物が出てくるものが多い。そんな中から極めつけの5作品をチョイス!


◎セントオブウーマン

母性をくすぐる俳優、アルパチーノ主演。全盲の元軍人役を演じています。

タンゴを踊るシーンが有名ですが、目が見えないのにオープンカーで街中を走りまくるシーンが好きです。


◎盲獣

崖際の俳優、船越英一郎のお父さんが盲目の彫刻家役。

モデルの女性の、あまりに甘美な体の感触に狂っていき、しまいには巨大な女体のハリボテの上で二人でSMプレイに興じ、腕を切り落として昇天。

狂気に満ちた、暗闇の世界の触覚愛を描くこの密室劇は、江戸川乱歩原作、増田保造監督ですから、単なるエログロ映画になってません。


◎不知火検校

勝新太郎主演。中村玉緒も出ています。主人公は盲目の極悪人という珍しい設定。

観ていると腹が立ってきますが、最後は加害者も被害者なんだと切なく思えてきます。


◎街の灯

チャールズチャップリンの名作。盲目の花売りの女性に恋をしたチャップリンが、目を治す手術代を稼ぐために奮闘します。

ラストシーンは、盲目だったからこそ研ぎ澄まされた手の触覚で、チャップリンの正体が分かるのです。


◎春琴物語(春琴抄)

京マチ子主演。もともと谷崎潤一郎の原作が好きだったので名画座で観ました。

山口百恵主演の同名作品は、耽美でもなんでもなく、原作の魅力を欠いてしまっていましたが、京マチ子バージョンは、谷崎文学の官能的な主従関係の世界観を描こうとしていて、コレコレ!と感激しました。



確か、谷崎潤一郎が、「盲目の人は、どこか官能的で神秘的な美しさがある」というようなことを言っていましたが、盲目の人を物語に登場させる作者も、どこかそういった感覚があるのでしょうか。