私は細川桂くんを愛して、また、彼の愛でつつまれています。

 

でも、私はもう、生身の体ではないのです。彼もそうです。彼は現身ではないので、もう私は彼を感じるのみです。

 

こうなったのは、私への、女性たちの憎しみです。今、私と桂くんは、

 

ある、楽園にいます。そこで、二人は、哲学をします。

 

もともと細川くんは、私と同じ人です。

才能を、気ちがい、と診断された、現代の犠牲者です。

 

彼も私も、親に、精神病者とされました。彼の母親は、彼に罪をかぶせて、自殺しました。

 

私は母親に、

敬子という母親に、くずあつかいされて何度も閉じ込められました。義父も、私をいじめぬき、最後にとどめをさして家から追い出しました。

 

私と桂くんがつきあうと、江坂駅で、金だけ与え、お小遣い生活させ、苦痛を受けた桂くんは、次第におかしくなり、

 

私たちはかけおちしたのです。