こそっと病院職員のつぶやき
仕事柄、患者さんの退院にむけて住宅の改修が必要なとき
「退院前訪問」に同行することがあります。
(場合によっては入院時訪問も行います)
その時に、どうしてこの土地を選んで
家を建ててしまったんだろう???
というお宅に遭遇することがあります。
 
年をとったら一軒家は売り払って
マンションや高専賃(高齢者専用賃貸住)に
入るわ という方は当てはまらないのでご了解ください。
もしも年をとってもご自宅に住み続けたい!
と思われる方
先祖代々の土地や親御さんが譲って
くださったお土地でしたらその条件で
建築するしかありませんが
今から土地を探すぞ!と考えていらっしゃる方でしたら
是非、頭の片隅にでも覚えておいていただけると幸いです。
 
建物と駐車場の高低差が少ない土地は
あまり問題が少ないと考えます。
 
しかし駐車場(送迎車を含む)と高低差が激しい土地
建物と駐車場の位置が2mを超える高低差がある場合は
注意が必要です。
何故なら車を降りてから
(または道路から自宅に入るまで)階段、もしくはスロープが必要になるからです。
屋内の階段の建築基準は踏面150㎜以上、蹴上230㎜以下
個人の住宅であれば屋外もこれをほぼ満たしていれば問題はないかと思いますが
屋外階段の踏面150㎜はかなり短いですし
蹴上230mmも高く感じるでしょう
譜面300㎜ 蹴上150㎜程度が公共施設に使用されている寸法となります。
2mを超える高低差の土地ですと
13段程度の階段を昇らなければ建物に入ることができないということになります。
 
家を立てようとする年代は現役でお仕事を
していることでしょう
その時は階段の昇降は何気ないことかも知れません。
しかし高齢者(または病気によって歩くことが不自由)になった場合
段差を乗り越えたり
10段の階段を昇り降りするということは
とても大変なことになります
 
歳をとったり病気になったりして
階段をうまく昇降できなくなったら・・・・
家入れない(自宅に退院しにくくなる)ことがあります。
 
過去に20段の階段を上がらないければ
自宅に入れないという道路から
高い位置になるお宅の住宅改修に同行したことがありました。

患者さんは平地は何とか手すりを持って
歩くことはできても階段は昇降できない身体です。
自宅の中はバリアフリーに改修して
何とか住むことはできても家に入るために
どうしたらいいか???
 
ということにならないために
可能な限り道路(駐車場)から
建物の高低差が少ない土地のほうが
高齢になったとき
不便が生じない可能性が高いです

しかし、どうしてもそのような土地に
建物を建てたいと希望される方もいらっしゃるでしょう
その場合は以下の事を考慮して
建物などの配置を考えられると良いかと思います。
①階段に昇降機が設置できるスペース、電源を確保しておく
②車いす用階段昇降機の設置スペース、電源を駐車場内に
 確保しておく
③建物の位置、玄関、窓の位置を考慮する

①は階段の幅に余裕があれば屋外用の昇降機を後付けすることが可能です。
お値段はかかりますが今は様々な会社から
昇降機がでていますので家に入れない!ということは避けられそうです。
②階段の幅が大きくとれない場合は
車を降りた場所に車いす用の階段昇降機を
常設できるスペースを確保しておくと便利です
ただし常設ですので(使わない時はしまうとかはできない)
台数などに注意が必要です。
③敷地から建物に入る場合玄関から入れるとは限りません
建物の位置、もしくは道路に面した方角に掃き出し窓があると選択肢が広がります。
 
 
日当たりや交通の便、過去に水害があったかどうかなど
土地の選択には迷うところも多くあると思います。
しかし、せっかく建てた家で長く暮らすという視点で建物と駐車場の位置関係も気にして頂けると
歳をとったときに長く住まい続けられるのではないでしょうか
今、お探しの方は
良い土地が見つかるといいですね。