こんには。花月(かげつ)です。

 

現在マンションの大規模修繕で

ご迷惑おかけしております。

 

家の周りの工事の音を聞いていると

ふと、今の建物に引っ越して来た当時の

不思議な出来事を思い出したので、

今日はそのお話をしようと思います。

 

 

私が、現在のマンションに越してきたのは、

今から15年前ですが、

 

私が住んでいる建物の前にかつて小さい山

の一部だったような森がありました。

 

引っ越した当時は野生に住むリスは愛らしい

けれど、びっくりするような大きな蜘蛛が出

てくるので、私はその覆い茂る家の前の森の

一部があまり好きではありませんでした。

 

 

けれどしばらくすると、家の周りも住宅開発

が進み、その森も切り倒され、

大きい木の一本のみが残されたのです。

 

家の前はブルドーザーでガリガリと削られ

すっきりした家の周りを見て、私はどこかで

ほっとしていました。ああ、これで蜘蛛や虫

に悩まされずにすむと・・・。

 

そんなある日の出来事です。

 

私は自宅に戻るため、

エッチラオッチラ自宅までの長い坂の道のり

を歩いていると、一本だけ残ったその大きな

木が私の視界の中に入ってきたのです。

 

なにかいつもと違う雰囲気をかもしだすその

木に私は釘づけになってしまいました。

 

私の視線の先にある木の一番上の枝に

なんと、天狗が座っていたのです。

 

 

私は木の精霊に出会うのは初めてなので

すごく驚きました。

 

木の精霊というと、

 

もっとティンカーベルのような素敵な天使

を想像していましたが、

 

私が感じたのは鋭い眼光を放つ

まさにその風貌は天狗だったのです。

 

天狗は遠くを見つめ木の枝に座っていました。

 

それを食い入るように見ていた私にいつしか

気が付くと、その鋭い眼光を今度は私に向け

始めたのです。

 

怖くなった私はそーっと階段をのぼり自分の

部屋に向かいますが、目を大きく見開いた天

狗の目は、ずっと私を追っていました。

 

当時の私は、この世の本質をまだよく理解出

来ずに、傲慢なところがまだあり、その恐怖

から、私を守ってくれている神様の真言を唱

え玄関に結界をはったのですが、その時無意

識にですが、こう思ってしまったのです。

 

家に入らないようにしてください。

私は何も出来ません!

関わりたくない!

 

そうして、後ろで守ってくれている神様に

前に出てもらい、自分を守ったのです。

 

それからです・・・

その晩から私の見る夢は

悪夢ばっかりになりました。

 

ゲジゲジのような虫が出てきたり、

蛇が出てきたり、殺人を目撃したり、

なにしろ気持ちの悪い夢ばかり見るのです。

 

私は後ろの人に相談しました。

 

天狗に嫌な態度をしたせい?

だから怖い夢を見るのですか?

 

すると後ろの人は私が思ってもみなかった

答えを言ったのです。

 

「その夢はそなたが鏡に映った姿を木の精霊

が見せているものである。天狗はそなたの

意識の中のその誰しもが嫌うその姿を

八咫の鏡をつかって夢で見せたのだ」

 

びっくりした私は無言になってしまいました。

 

一応その当時の私なりに、不安になる度に、

嫌な事がある度に、自分の都合の悪い自分に

とことん向き合い安心したいたがための行動

を減らしてきたというのに・・・。

 

私はまだまだ傲慢なのだとその時感じたのです。

 

私は木の精霊(天狗)に対して傲慢な態度を

してしまったのです。

 

天狗にしてみれば、

 

オマエは何様だ?と思ったに違いありません。

 

反省した私は外に出て残った大きな1本の木に

向かって言いました。

 

「私はまだまだ傲慢でした。私の対する態度は

傲慢そのものでした。私の傲慢な意識はまさに

あの夢に出てきた人が誰しも嫌うあの生き物と

同じです。頑張ってこれからも自分を見つめて

いきます。教えてくれてありがとう」

 

天狗は何も言いませんでしたが、

 

「フン!ヤットワカッタカ!」という感じに

私の話をきいていました。

 

八咫の鏡は自分では気が付いていない今の自分

をそのまま映し出す不思議な鏡です。

 

天狗はそれを使って私の傲慢な意識を教えて

くれたのでした。

 

今あれから15年の月日が経ちました。

 

 

工事音の中、庭のお花の間には

現在の大規模修繕の足場が組まれています。

 

私は、その光景を眺めながら

当時の私も本当に未熟だったと、

天狗と遭遇した日を思い出すのでした。

 

花月(かげつ)